償い(つぐない、: Reparation)とは、メラニー・クラインによって用いられた、傷ついた内的世界に対する精神的修復を行う心理過程を指し示す用語である[1]対象関係論においては、償いは妄想-分裂ポジションから抑うつポジション—後者の痛みは償いへの促進を駆り立てる助けとなる—へと移る重要部分を表している[2]

躁的償い 編集

クライニアンの考え方では、真の償いと躁的償い(Manic reparation)を区別しており、後者はそれを克服するのではなく、罪悪感に駆り立てられてなされるものである[3]。躁的償いは刺激的な修復方法を用いることで、罪の意識を感じることからくる痛みと不安を拒絶する[4]。それはまた件の対象に対する全能的支配を維持し、対象が別個の存在として在ることを拒絶する[5]

脚注 編集

  1. ^ Lani A. Gerity, Creativity and the Dissociated Patient (1999) p. 20
  2. ^ Robert Caper, Immaterial Facts (2000) p. 117
  3. ^ Hyam Sydney Klein/Joan Symington, Imprisoned Pain and its Transformation (London 2000) p. 19
  4. ^ Hanna Segal, Introduction to the Work of Melanie Klein (London 1964), p. 84-5 and p. 88
  5. ^ Hanna Segal, Introduction to the Work of Melanie Klein (London 1964), p. 83

関連人物 編集

関連項目 編集