釈放とは、身体を拘束されている被疑者被告人または受刑者等の身体拘束を解くことをいう。

判決前の釈放 編集

刑事訴訟法の身体拘束の各根拠規定には、定められた期限を過ぎた場合や要件を満たさなかった場合には、被疑者・被告人を釈放しなければならないと規定されている。

司法警察員による釈放の手続 編集

被疑者が留置されている場合において、留置の必要がなくなったと認められるときは、司法警察員は、警察本部長又は警察署長の指揮を受け、直ちに被疑者の釈放に係る措置をとらなければならない(犯罪捜査規範130条3項)。

検察官による釈放の手続 編集

検察官が刑訴法207条の規定により勾留された被疑者を釈放するときは、釈放指揮書を作成して釈放を指揮する(事件事務規定39条1項)。

保釈 編集

勾留の目的は罪証の隠滅を防ぎ、公判や刑の執行への出頭を確実にすることに求められるが、起訴後の被告人については、物理的に身体を拘束しなくとも、保釈金の没収という経済的圧力によってこの目的を達成しうる。

このため、起訴後の被告人については保釈の制度が存在する。

判決後の釈放 編集

無罪判決・罰金判決等による釈放 編集

公判中に被告人の身体を拘束する根拠は勾留状である(刑訴法60条1項、62条)。 この勾留状は、無罪、免訴、刑の免除、刑の全部の執行猶予、公訴棄却、罰金又は科料の裁判の告知があったときには効力を失うので(刑訴法345条)、身体拘束の根拠が失われ、被告人は釈放される。

禁錮以上の有罪判決後の釈放 編集

刑法においては、刑事罰の執行における釈放について、刑期の終了の日の翌日に行うことと定められている(刑法24条2項)。

実際には、今日の交通事情などを踏まえ、釈放される者の交通機関の利用の便などを考慮し[1]、通常は刑期終了の翌日の午前中が釈放期限となる(刑事収容施設法171条1号、2号。ただし、恩赦等の場合には同条3号、4号により異なる取扱いとなる。)。

仮釈放 編集

懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、一定の要件を満たすことで仮釈放の処分が行われることがある(刑法28条)。

出典 編集

参考文献 編集

  • 林真琴ほか『逐条解説 刑事収容施設法』(第3)有斐閣、2017年11月30日。ISBN 978-4-641-01845-7