魔法の船』(まほうのふね、原題:The Ship Who Won)は、アメリカ合衆国の作家アン・マキャフリイジョディ・リン・ナイの共作によるSF小説。「歌う船シリーズ」としては、船を舞台としない「戦う都市」も含めて5作目の作品である。なお、東京創元社から刊行された書籍では、作者名は「マキャフリー&ナイ」となっている。

あらすじ 編集

キャリエル(親しい人はキャリと呼ぶ)とケフは長いあいだ、BB船(筋肉・ブローン+頭脳・ブレイン+宇宙船)としてコンビを組んできた。ある日、ステーションSSS-900に滞在していると、大監察官が乗り組んできた。彼はキャリが精神的な病気になっていると考え、しょっちゅう検査をしてくる。キャリは燃料や資材不足のままステーションから急いで出発した。一行が向かったのは、人が住んでいる記録がないのにエネルギー放射が観測されたことがある恒星系。

キャリには、辛い過去があった。16年前、航行中に船体が爆発して筋肉のファニンは死亡し、彼女はセンサー類もほとんど失って孤独の中にいた。どれほど時間が過ぎたのか分からないころ、船体を叩く感じがし、彼女の入った「殻」に触ろうとしている。やがてキャリは軍の輸送船に発見されたが、孤独の中での異常な感覚を、大監察官は病気と考えているのだ。

ともあれ、目標の恒星系に接近し、居住可能な惑星に着陸したキャリとケフ。すると、稲妻が飛び交い、玉座に座った男女が飛び回りはじめた。それらが杖を振ったり、腕輪をいじったりするたびに、まわりで不思議なことが起こる。まるで「魔法の国」に来たようだった。

主な登場人物 編集

  • キャリエル - サイボーグ宇宙船として生まれ変わった女の子。愛称はキャリ。
  • ケフ - キャリエルの相棒である筋肉(ブローン)。
  • マクスウェル・コリー博士 - 大監察官。キャリエルの精神に異常があると疑っている。
  • ショーメル - 魔術師で外交官。
  • ポトリア - 女魔術師。

書誌情報 編集

『魔法の船』 嶋田洋一訳 創元SF文庫 1995年8月25日発行 ISBN 4-488-68308-8

関連項目 編集