1894年の大馬糞危機(1894ねんのだいばふんきき)とは、イギリスアメリカ合衆国で馬糞が大量に発生した問題である。

名称 編集

名称の1894年のとは1894年タイム誌が「50年後には、ロンドンのすべての通りが9フィートの糞尿の下に埋もれるでしょう。」と予測し報道したことからである。また大馬糞危機とは2004年にスティーブン・デイヴィス氏が1894年の大馬糞危機として紹介したことが由来である[1][2]

概要 編集

産業革命以後もイギリスの馬の頭数は増え続け、1900年のロンドンでは約50000頭まで増加した[3][4]

馬の1日の糞尿の量は多くて糞23.0kg、尿量は5.0kg[5]、少なくても7kgもあり、約50000頭もいると少なく見積もっても一日約340トン糞尿が出るということとなる。

この結果撒き散らされた糞にハエが集まり、腸チフス等の疫病が蔓延する原因になった。

またこれはロンドンだけの話ではなくニューヨークにも1880年には15~17万の馬がいて、同様の問題が発生していた[3][4]

対策として1898年にニューヨークで初の国際都市計画会議が開かれるも解決策は見つからなかった[3]

しかし蒸気自動車の登場や、1899年ニューヨーク・トリビューンによると自動車と馬車のコストが逆転。これにより1894年の大馬糞危機は回避された[3]

現在、1894年の大馬糞危機という用語は、間違った視点で見られているため、解決が不可能と思われる問題を示すために使用される[6]

出典 編集

  1. ^ スティーブン・デイヴィス (2004年9月1日). “The Great Horse-Manure Crisis of 1894”. FEE. 2023年3月12日閲覧。また同じくFEEの9月の印刷雑誌フリーマンには以下のように述べられている: Viettelmetter, Georg; Sell, Yvonne (6 February 2014). Leadership 2030: The Six Megatrends You Need to Understand to Lead Your Company into the Future. Amacom. p. 199. ISBN 978-0814432761. https://books.google.com/books?id=zwRPAgAAQBAJ&pg=PA199 2023年3月12日閲覧。 
  2. ^ Crisis of 1894”. Gallimaufry's Attic. 2023年3月12日閲覧。
  3. ^ a b c d The Great Horse Manure Crisis of 1894” (英語). Historic UK. 2023年3月12日閲覧。
  4. ^ a b Team, S. W. M. (2019年9月6日). “New York, manure and stairs: when horses were the cities’ nightmares” (英語). Smart Water Magazine. 2023年3月12日閲覧。
  5. ^ 宮城県. “家畜排せつ物発生量等記録表の記入について”. 宮城県. 2023年3月12日閲覧。
  6. ^ Nast, Condé (2009年11月9日). “Hosed” (英語). The New Yorker. 2023年3月12日閲覧。