IBM形式フロッピーディスク

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IBM形式フロッピーディスク(フロッピーディスクにおける IBMフォーマット)とは、フロッピーディスクにおけるIBM方式の論理フォーマット。大別して以下がある。

  • IBM社が採用したフォーマット(8インチ用、5.25インチ用、3.5インチ用)詳細はフロッピーディスク#IBMフォーマット
  • 日本独自の「IBM形式(IBMフォーマット)」(日本の一部メーカーが、IBM社の8インチ用フォーマットを、5.25インチや3.5インチなどに独自に適用したもの。IBM社は未採用。電電公社形式とも。)当記事で記載

概要 編集

フロッピーディスクにおける「IBM形式(IBMフォーマット)」とは、本来(狭義)にはIBM社が標準的に採用したフォーマットで、8インチ用、5.25インチ用、3.5インチ用などがある。

しかし特に日本では、一部の国産メーカーが独自に、8インチ用のIBMフォーマットを、5.25インチや3.5インチなどに適用したものを特に「IBM形式(IBMフォーマット)」と呼ばれている。これらはIBM社は採用しておらず、事実上の日本独自規格で、更に各社独自の拡張が含まれているために機種依存性が高い。なお「IBM形式」のフロッピーディスクをパーソナルコンピュータで扱うには、サポートされているハードウェアと専用のソフトウェアが必要である。

日本独自の5.25インチ、3.5インチの「IBM形式」は、IBM社による8インチ用の形式である「IBM Diskette 2D」を、2HDで再現したフォーマットである。なおIBMの「5.25" Diskette 2HD」を含め、当時のフロッピーディスクの大多数は、未フォーマット状態で発売されていた。この5.25インチ2HDは日本で電電公社(現 NTTグループ)主導で開発されたため、当初は「公社規格ディスク」と呼ばれていた(フォーマット形式ではなくディスクの種類そのもの=5.25インチ2HDを示す用語)。このフォーマット形式が「電電(公社)フォーマット」とも呼ばれのはこの名残である。なお上述の理由により、3.5インチ2HDでは同じフォーマットでも「公社規格ディスク」とは呼ばれず、「電電(公社)フォーマット」と呼ばれることもあまりない。現在「IBM形式」という名前で利用されているのは、この3.5インチがほとんどである。

「IBM形式」では、0シリンダの表側(サイド0、実際のサイド0はラベルを貼る「見かけ上の」表側ではなく裏側にある)をインデックス領域として使う。インデックス領域の文字コードEBCDICで記述される。また、インデックス部はビットごとに必ず磁極が反転するFM方式で書き込まれ、データ部は前のビットを参照して磁極が反転するMFM方式で書き込まれる。なおFM方式・MFM方式の詳細についてはModified Frequency Modulationを参照のこと。

種類 編集

「IBM形式」と呼ばれるフォーマットを使用する主な国産メーカーには以下がある。

  • 日立製作所の2HDのIBM形式では、レコードブロックがトラック境界をまたいだ配置を許さない。
  • 三菱電機の2HDのIBM形式は、ディスクの回転速度が300RPMである。フォーマット後の容量は「IBM Diskette 2D」に合わせて985KBとなっている。
  • 富士通では、セクタサイズ1024バイトでありながら、その他の仕様が「IBM Diskette 2D」に準拠した形式も扱う。
  • 東芝のレガシーコンピュータではIBM形式と似たフォーマットを採用する。特徴はインデックス領域がJIS X 0201の8ビット符号表現(JIS8)で表現されていることである。
  • 特許出願形式と呼ばれるものもIBM形式と似ている。東芝形式と同じくインデックス領域をJIS8で表現する。この特許出願形式をIBM形式と呼ぶことはない。

主なフォーマットの種類には以下がある。

  形式名 回転数

(RPM)

容量

(KB)

セクタサイズ

(バイト)

セクタ数 ヘッド数 シリンダ数
8インチ1S 360 243 128 26 1 77
8インチ2S 493 2
8インチ2D 985 256
  5インチ2HD
  3.5インチ2HD
  • ★がつくものは海外でも利用されている形式。その他は日本国内でしか利用されていない。
  • IBM形式では77個のシリンダの内、0番目をインデックスとして、末尾の二つを予備用として利用するため実際にデータとして使えるのは74個のシリンダである。

用途 編集

かつては、銀行との取引の際に全銀フォーマットのデータを格納するのによく使われた。現在では、全銀フォーマットデータの格納にはDOS形式フロッピーディスクを利用することが多くなった。織物の世界では、メカ式ジャカードを電子制御する方法として、ダイレクトジャカードを使用している。そのフロッピーは、IBM形式フロッピー(8インチ、5インチ、3.5インチ)が用いられており、現在ではその扱い難さから、大きな問題になっている。

3モードとの関係 編集

IBM形式のフロッピーディスクは一般的に360RPMの回転速度でアクセスされる。なお「3モードフロッピーディスクドライブを使用すれば、IBM形式を扱うためのハードウェアの要件を満たしている」と考えることはできない。3モード対応であってもIBMフロッピーを扱えない場合が存在するからである。

3モードの要件とは、2HDと2DDのフロッピーを300RPM及び360RPMの回転速度でアクセスできることである。IBM形式を扱うためには、それだけでなく、FM(単密度)アクセスの能力が必要である。DOSフォーマットでは全てのトラックがMFM記録なのに対して、IBM形式では一番外側シリンダの表側トラック(ファイルインデックス領域)がFM記録されているからである。

三菱電機の2HDのIBM形式は、300RPMで回転するため、3モードとは無縁である。ただし、0シリンダは、300RPMのFMアクセスで読み書きされる。

関連項目 編集

外部リンク 編集

IBM形式フロッピーディスクをPCで扱うための製品