MSISDNは、GSMあるいはUMTSといった携帯電話網への加入を一意に識別する番号である。簡単に言えば、携帯電話のSIMカードに対応した電話番号である。 何の略かについてはいくつかの解釈があるが、一般に "Mobile Subscriber Integrated Services Digital Network Number" の略とされることが多い(詳しくは後述)。

MSISDNとIMSIの2つが携帯加入者を識別する重要な番号である。MSISDNは携帯電話に挿入されているSIMカードを識別し、IMSIはその加入者への呼のルーティングに使われる。IMSIは Home Location Register (HLR、加入者データベース)のキーとしてよく使われ、MSISDNは携帯電話に電話をかけるときに普通にダイヤルする番号である。SIMカードとIMSIは1対1に対応しているが、MSISDNは必要に応じて変更できる(番号ポータビリティなど)。つまり、1つのSIMカードに異なる複数のMSISDNが対応しうる。

MSISDNはITU-T勧告 E.164 で定義された番号計画に従う。

何の略か

編集

出典とする資料や標準化団体によって、MSISDNが何の略か、いくつか異なる例が存在する。以下に最もよく見られる例を示す。

組織名 意味 出典
3GPP

ITU
OMA

Mobile Subscriber ISDN Number Vocabulary for 3GPP Specifications (new)[1]

ITU-T Rec. Q.1741-4 (10/2005)[2]
Dictionary for OMA Specifications [3]

3GPP

ITU
GSMA

Mobile Station International ISDN Number(s) GSM 03.03 (old)[4]

ITU-T Rec. Q.1741-4 (10/2005)[2]
Mobile Terms & Acronyms[5]

ITU Mobile International ISDN Number Vocabulary of Switching and Signalling Terms [6]

これらはいずれもISDNを Integrated Services Digital Network の略としている。しかしMSISDNは電話番号であり、ISDNとは直接の関係はない。次のように定義される。

Mobile Station International Subscriber Directory Number (MSISDN)
携帯電話番号を国際的に識別するための番号。MSISDNは E.164 電話番号計画で定義されている。この番号には国番号 (Country Code)、国内あて先番号 (National Destination Code) が含まれ、それによって加入者のオペレータを識別する。
E. 164
国際公衆通信番号計画。E.164の番号は公衆網の端点を一意に識別するもので、一般に3つのフィールドで構成され、全体で15桁である。3つのフィールドはCC(Country Code、国番号)、NDC(National Destination Code、国内宛先番号)、SN(Subscriber Number、加入者番号)である。

MSISDNフォーマット

編集

MSISDNは15桁までに制限されている(プレフィックスは含まない。例えば、スウェーデンでは海外の携帯電話にかける場合に00をプレフィックスとして最初にダイヤルする)。

GSMおよびその一種である DCS 1800 では、MSISDNは次のように構成される

MSISDN = CC + NDC + SN
CC = Country Code(国番号)
NDC = National Destination Code(国内宛先番号)
SN = Subscriber Number(加入者番号)

GSMの一種 PCS 1900 では、MSISDNは次のように構成される

MSISDN = CC + NPA + SN
CC = Country Code(国番号)
NPA = Number Planning Area(番号計画地域)
SN = Subscriber Number(加入者番号)

MSISDN: 79261234567

CC 7 ロシア
NDC 926 MegaFon
SN 1234567 Vasily Pupkin

関連項目

編集

脚注・出典

編集

外部リンク

編集