V.92とは、電話回線を使ってコンピュータの通信を行う高速モデムの規格のひとつ。 上り方向は48Kbps、下り方向には56Kbpsの伝送速度を持つ。ADSLが普及する以前では、電話回線の音声伝送帯域を使った最高伝送速度であった。電話回線用のモデムはユーザーがプロバイダにダイヤルアップ接続する場合に使用された、弁当箱大の電話線に接続した通信装置であった。但し、V.92は中継回線がデジタル回線となっていることが前提となる。純粋なアナログ回線により実現されている速度ではない。

以下に主な電話回線での通信モデムの物理層を規定したITU-T規格と規定年、上限速度を示す。

  • V.21:1964年 300bps
  • V.22:1980年 1.2Kbps
  • V.32:1984年 9.6Kbps
  • V.34:1994年 28.8Kbps
  • V.90:1998年 上り33.6Kbps/下り56Kbps
  • V.92:2000年 上り48Kbps/下り56Kbps

出典 編集

  • 高橋健太郎著 「プロトコルはなぜ必要か」 日経NETWORK 2007年7月号 p.73