報道各位

ウィキペディア日本語版が75000項目を達成

2004年9月29日
ウィキペディア日本語版

  ウィキメディア財団(The Wikimedia Foundation = 本部・米国フロリダ州タンパ)は、オープンコンテントなオンライン百科事典プロジェクト 『ウィキペディア』日本語版 ( http://ja.wikipedia.org/ ) の掲載項目が、本日、記念すべき75000件目に達したことをここに発表します。75000件目の項目は“貞応”でした [1]

  2001年1月に開始されたウィキペディアは、共同作業を介して執筆、更新、校正などを行うボランティア達によって作られています。現在のところ、120を超える言語版のうち、14の言語版が1万記事を超えており、日本語版はそのうち英語、ドイツ語に次ぐ3番目の規模となっています。日本語版は現在最も精力的に執筆が行われている言語のひとつであり、今後も発展が予想されます。なお全言語のウィキペディアを合計すると、既報の通り、9月20日に100万件目の項目が執筆され[2]、現在も世界最大規模の百科事典として成長を続けています。

  ウィキペディアは MediaWiki と呼ばれるウィキクローンのソフトウェアで運用されており、誰でも好きな時にページを編集することが可能で、変更はすぐにページに反映されます(「ウィキ」はハワイ語で「すぐに」の意)。訪れた人はその項目がどのように発展したかを知るために古い版の内容も見ることができます。

  編集プロセスは、公式な方針である「中立的な観点」(Neutral Point of View —NPOV) によって規定されています。この方針は参加者達が執筆の際に内容の偏った記事を書くことを避けるために必要とされます。激しい論争の的になりやすい事柄を扱った記事であっても、このプロセスを通じて編集が続けられてきました。参加者は他人の投稿・編集の成果の上に自分の貢献を加え、不適切な書き込みはすみやかに修復されます。

  また、ウィキペディア上の文章はすべてGNU Free Documentation License (GFDL) [3] の定めるところによって公開されています。GFDLはコピーレフトとして知られる理念に基づいて、他人の編集に加筆したり修正したりすることを可能にします。またこのライセンスは、これに基づいている限り、第三者がウィキペディアのコンテンツを再利用することも許可しています。MediaWikiソフトウェアもまたソフトウェア向けの同様のライセンスに基づいて自由に利用することができます。

  2001年5月に開設されたウィキペディア日本語版の実質的な活動は、最初の日本人ユーザーが登録した2002年12月から始まりました。翌年年頭には、ともに有名なニュースサイトである Wired News日本語版 [4]、スラッシュドット・ジャパン [5] で紹介され、日本語版の登録利用者数や項目数が大幅に増えました。5000項目を達成したのは2003年3月23日、10000項目は6月15日、30000項目は2004年2月9日に達成しました。3万項目以降の進捗は、ほぼ50日に1万項目のペースで安定しています。

  複数の国や地域で用いられている言語と違い、日本語版は主として日本人によって編集されることから、地域性の強い項目も多く執筆されてきました。しかし先に述べた「中立的な観点」の立場に基づき、ウィキペディア日本語版は、日本版ではなく、あくまで地球規模の見地を持った百科事典の日本語版としての性格を持っています。実際に、海外に在住する執筆者からも積極的にその国や地域に関する文章や写真が寄せられており、また、複数の言語で同じ項目について同時に参照することができる仕組みは、より多面的な理解を助けています。

ウェブクリエーションアウォード
ウェブクリエーションアウォード

  ウィキペディア日本語版は2004年9月9日、日本広告主協会の内部組織、Web広告研究会より、第2回Webクリエーションアウォード 特別賞を受賞しました。この賞は日本語のWeb上で活躍した「人」を対象とするもので、特にマーケティングに貢献された方を選定するものです。しかしながらウィキペディアは140言語に及ぶ国際的な活動をしており、代表は財団の代表であるジミー・ウェールズただ一人です。またウィキペディアは、財団の他のプロジェクト同様、広告の掲載をしないことを方針に掲げています。主催者側の贈賞対象には本来当たらないサイトながら、インターネットでしかできないことを実践している点で相当に大きく評価され、特別に対象となったものです。

  ウィキペディアはすでに英語圏では強い支持を得ておりますが、日本語圏においてもYahoo! JAPANなどニュースサイトからしばしばリンクされ、インターネットにおける日本語情報源のファーストステップとしても利用されはじめています。これは誰もが編集可能な百科事典に、一定の信頼が得られるということが広く認められた結果であると、私たちは認識しています。

  国際的には、ウィキペディア全体としていずれもコンピューター界の名誉ある賞である2004年アルス・エレクトロニカ賞 [6] の「デジタル・コミュニティ」部門と、Webby Award [7] の「ベスト・コミュニティ」部門を獲得しており、ウィキペディアに向けられる評価と期待はますます高まっております。

  広告収入に頼らないウィキメディア財団では、運営資源の多くは財団創設者のジンボ・ウェールズの個人的な寄付によって賄われています。また増大するトラフィックに対応するための新規設備の導入に、全世界から米ドル換算で100,000ドル以上の寄付が集まっています。寄付についてのより詳しい情報はウィキメディア財団のウェブサイト ( http://wikimediafoundation.org/wiki/%E5%AF%84%E4%BB%98 ) をご覧下さい。

  ウィキメディア財団は今後も、フリーで利用できる画像、音声ファイルなどの資源を収集するウィキメディア・コモンズ [8] の立ち上げをはじめとして、誰もが自由に利用できる知の構築を進めています。運営財源の確保や日本における法的窓口の設置など課題点はまだ多く残されておりますが、これからもウィキペディアを初めとするプロジェクトをご愛顧いただけますよう、心よりお願い申し上げます。

補足情報

ご質問や取材の申し込みについては、以下にお問い合わせ下さい。

ウィキペディア日本語版 問い合わせ受付アドレス
ジミー・ウェールズ (Jimmy Wales)
ウィキメディア財団理事長 (Board of Trustees Chair, Wikimedia Foundation) (プロフィール)

さらに参考となる資料は以下をご覧下さい。

このプレスリリースは下記のURLで配布されております。

※pdf版、sxw版はウィキペディアロゴを含むためパブリックドメインではなく、GFDLでライセンスされます。

改定履歴

  • 2004-09-29: 初版
  • 2007-04-03: 報道受け付け用メーリングリストの廃止に伴いアドレスを差し替え