このページでは、ペルシア語に由来する地名・人名などの固有名詞をカタカナで表記する際のオーソドックスな転写規則を紹介しています。ウィキペディア内の表記をこの規則に従って統一することは想定されていません。迷ったときの参考資料の1つと位置づけられます。また、日本語として定着しているものがある場合はそちらを優先させてください。

現在ペルシア語のカナ表記は、ペルシア語そのものから字音をあてたものの他に、英語経由のローマ字表記に由来するものがあります。そのため慣用表記の中では、表記にいくつかのヴァリエーションがあって揺れがあったり、ペルシア語本来の音からあまりにはずれてしまっているものも少なくありません。

以下の転写規則は主に『基礎ペルシア語』(大学書林刊)で岡崎正孝氏が提唱しているカナ表記規則に基づき、あくまで表記の際、参考となるよう列挙するものです。この表記は基本的には原音主義に基づくものですが、必ずしも音声学的に現地音に忠実というわけではありません。

母音 編集

短母音 編集

ََ

  1. ـَ  ファトヘ。ペルシャ語では短母音のaを表す。これは「ア」段の音で表記する。
  2. ـِ  キャスレ。ペルシャ語では短母音のeを表す。これは「エ」段の音で表記する。
  3. ـُ  ザンメ。ペルシャ語では短母音のoを表す。これは「オ」段の音で表記する。

長母音 編集

  1. آ  マッデの付いたアレフ。ペルシャ語では長母音のāを表す。これは「アー」と表記する。
  2. اِی  ペルシャ語では長母音のīを表す。これは「イー」と表記する。
  3. اُو  ペルシャ語では長母音のūを表す。これは「ウー」と表記する。

※ただしペルシャ語の語彙に長母音が使われていても、長音を表さない場合がある。

子音 編集

  1. خ  ローマ字表記ではkhあるいはxと表記する。「ハ」行で転写する。
  2. ع  ローマ字表記では'と表記する。「ア」で表記する。
  3. غ  ローマ字表記ではghあるいはqと表記する。「ガ」行で転写する。
  4. ق  ローマ字表記ではqと表記する。「ガ」行で転写する。

خについては、「カ」行で転写する例も少なからずある。

※無声子音の前のغقについては、「ク」と転写する。

語尾のه 編集

  1. 有音のه  基本的に表記しない。ただし直後にエザーフェがつく場合は「ヘ」とする。
  2. 黙音のه  語尾を「エ」段の音にする。

エザーフェ 編集

エザーフェのついている語の語尾を「エ」段の音にする。ただし母音の後のエザーフェは「イェ」と表記し、エザーフェを独立して表記する。

  1. الは「オル」音とし、前の語に続けて表記する。
  2. ابو الは「アボル」とする。
  3. الのあとに「ت・ث・د・ذ・ر・ز・س・ش・ص・ض・ط・ظ・ن」がある場合、لは直後の子音と同じ音となる。

参考文献 編集