この文書はウィキペディアに記事を執筆するにあたっての引用の是非についての指針です。2005年9月25日現在の議論の状況を踏まえて初版が作成されました。ウィキペディアにおける引用の是非については、現在議論が行われています。Wikipedia‐ノート:著作権#引用についての議論Wikipedia‐ノート:著作権/引用についての抜本対策Wikipedia:削除依頼/Wikipedia:引用のガイドラインを経て、現在新しい案(/草案)が作成されています。関心のある方は、Wikipedia:引用のガイドライン/草案のノートにて議論をお願いします。

概要 編集

現時点では、ウィキペディア上で引用を行うことは、たとえ著作権法を満たすような方法であってもお勧めできません。どうしても引用を行わなければ記事が書けない場合でも、あなたの行った引用が後から削除される可能性があることをご了承下さい。

詳細につきましては、以下の項目をお読みください。

前提 編集

定義 編集

  • このガイドラインにおいてとくに断りのない限り、「引用」とは、著作物の引用を指します。
  • このガイドラインに置いてとくに断りのない限り、「著作物」とは日本またはアメリカの著作権法で保護されている著作物を指します。

著作権法と引用 編集

日本国の著作権法では、次のように条件付きで著作物からの引用が認められています。

第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

上記の条文中の「公正な慣行」の要件については、最高裁判所での判決(最高裁第三小法廷昭和55年3月28日判決)により以下の指針が出ています。

  1. 引用する必然性があること
  2. 引用文と地の文が明確に区別できること
  3. 地の文が主、引用文が従の関係にあること
  4. 引用元を明示していること

これらの要件を満たさないものは、たとえ引用のつもりで行ったものでも著作権法上は「複製」と見なされ、著作権者の複製権を侵害していることになります。

ウィキペディアにおける引用の是非 編集

著作権法の要件を満たさない引用 編集

著作権法の求める要件を満たさない引用は、Wikipedia:削除の方針に基づいて削除されます。

著作権法の要件を満たす引用 編集

著作権法の要件を満たす引用が、ウィキペディアにおいてOKなものであるとは限りません。引用には以下のような問題点があるからです。

  1. 引用をした時には著作権法の要件を満たしていても、後からの編集によって要件をみたさなくなる(違法状態になる)可能性がある。
  2. 正当な引用か否かを判定する手間がかかる。
  3. 引用と複製の区別は著作権に詳しくない人には難しく、引用が含まれる記事を真似て書かれた他の記事が複製を含むものになる可能性がある。
  4. 著作権法の要件を満たしていれば裁判では勝訴できるが、苦情や提訴のリスクまでなくなるわけではない。
  5. 引用はGFDL上の自由な再利用を阻害するという意見がある。

このような状況を踏まえ、現在ウィキペディアでは引用の是非や引用を許すとすればどの範囲で許すかといったことについて議論中です。

この議論がまとまるまでの対応についても、「議論がまとまるまでは全ての引用を削除する」という意見と「議論がまとまるまでは著作権法の要件を満たすと思われる引用については容認する」という意見があります。

これらの議論の内容に興味のある方は「引用についての抜本対策」「引用についての暫定対策」をご参照下さい。