フサイチパンドラ

日本の競走馬

フサイチパンドラ:Fusaichi Pandora2003年2月27日 - 2017年10月28日)は[1]日本競走馬繁殖牝馬。主な勝ち鞍はエリザベス女王杯GI)、札幌記念JpnII[1]。父サンデーサイレンスラストクロップ(最終世代)である[2]

フサイチパンドラ[1]
2007年11月25日 東京競馬場`
欧字表記 Fusaichi Pandora[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 栗毛[1]
生誕 2003年2月27日[1]
死没 2017年10月28日(14歳没)[1]
抹消日 2007年12月26日[1]
サンデーサイレンス[1]
ロッタレース[1]
母の父 Nureyev[1]
生国 日本の旗 日本北海道安平町[1]
生産者 ノーザンファーム[1]
馬主 関口房朗[1]
調教師 白井寿昭栗東[1]
厩務員 永田繁秋[1]
競走成績
生涯成績 20戦4勝(中央競馬
1戦0勝(地方競馬[1]
獲得賞金 3億6411万3000円(中央競馬)[1]
1400万円(地方競馬)[1]
勝ち鞍
GI エリザベス女王杯 2006年
JpnII 札幌記念 2007年
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戦歴 編集

2005年11月12日京都競馬場の2歳新馬(芝1800m)で初勝利[3]。2戦目に出走した阪神ジュベナイルフィリーズで3着となった[4]

3歳になってきんせんか賞で2勝目を挙げ、続くフラワーカップでは2着となり賞金を加算。牝馬クラシック初戦の桜花賞は14着と敗れたが、角田晃一から福永祐一に乗り替わった優駿牝馬(オークス)ではカワカミプリンセスに続く2着となった[5]

秋になってからは、ローズステークスで3着に入ると、秋華賞でも3着に入る好走を見せた。その後エリザベス女王杯へ出走し、このレースでも1位で入線したカワカミプリンセスに続く2位入線も審議となり、カワカミプリンセスが最後の直線でヤマニンシュクルの進路を妨害し、12着に降着となったため[6]、フサイチパンドラの繰り上がりでの優勝が決まった[6]。日本でのGI競走における繰り上げ優勝はプレクラスニーが優勝した1991年第104回天皇賞(秋)(降着処分対象馬はメジロマックイーン)以来15年ぶり2頭目であった。ただ、陣営も繰り上がり優勝には戸惑いを隠せなかった。また、鞍上の福永は古馬になってからのカワカミプリンセスと改めて再戦を望むコメントをしている。なお、この勝利により父のサンデーサイレンスは全世代でGI馬を輩出する快挙を達成した。その後は中一週でジャパンカップに出走。ディープインパクトに敗れはしたもののこの年の牡馬クラシック二冠馬メイショウサムソンらに先着する5着とここでも優れたパフォーマンスを披露した[7]

古馬となっての初戦はダートグレード競走エンプレス杯に出走し初のダート戦ながら2着に入るが[5][8]、以後しばらく不振に陥り、夏まで4戦して最高5着という成績だった。しかし秋口に出走した札幌記念で[注釈 1]、初騎乗の藤田伸二を背に逃げきりで優勝し、きんせんか賞以来の1位入線、エリザベス女王杯以来の復活勝利を果たした[9]。その後エルムステークス11着を経て、エリザベス女王杯に出走。2年連続の2位入線で、ダイワスカーレットに続く2着となった。以後ジャパンカップで9着となったのち、有馬記念での引退が発表される。しかしレース前日に左寛跛行のため出走取り消しとなり[10]、引退レースを行うことなく、2007年12月26日付でJRAの競走馬登録を抹消し、引退することとなった[11]

競走成績 編集

以下の内容は、netkeiba.comの情報に基づく[12]

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)

オッズ

(人気)

着順 タイム

(上り3F)

着差 騎手 斤量

[kg]

1着馬(2着馬)
2005 11. 12 京都 2歳新馬 0芝1800m(稍) 18 7 15 02.1(01人) 01着 01:48.1 (35.5) -1.0 角田晃一 54 (トウカイワンダー)
12. -4 阪神 阪神JF GI 0芝1600m(良) 18 8 16 04.0(02人) 03着 01:37.6 (35.9) -0.3 角田晃一 54 テイエムプリキュア
12. 25 阪神 2歳500万下 0芝1600m(良) 15 8 15 01.3(01人) 03着 01:36.1 (35.8) -0.4 角田晃一 54 シェルズレイ
2006 -2. -4 京都 エルフィンS OP 0芝1600m(良) 13 3 3 01.7(01人) 06着 01:36.1 (36.4) -1.3 角田晃一 54 サンヴィクトワール
-2. 25 中山 きんせんか賞 5下 0芝1600m(良) 16 5 10 01.8(01人) 01着 01:35.1 (35.4) -0.5 角田晃一 54 (ユノブラッキー)
-3. 18 中山 フラワーC GIII 0芝1800m(良) 16 3 16 02.0(01人) 02着 01:49.1 (37.3) -0.2 角田晃一 54 キストゥヘヴン
-4. -9 阪神 桜花賞 GI 0芝1600m(良) 18 8 17 06.6(02人) 14着 01:36.4 (37.4) -1.8 角田晃一 55 キストゥヘヴン
-5. 21 東京 優駿牝馬 GI 0芝2400m(良) 18 1 2 12.6(05人) 02着 02:26.3 (35.4) -0.1 福永祐一 55 カワカミプリンセス
-9. 17 中京 ローズS GII 0芝2000m(良) 17 4 8 03.0(02人) 03着 01:59.0 (35.5) -0.8 福永祐一 54 アドマイヤキッス
10. 15 京都 秋華賞 GI 0芝2000m(良) 18 3 5 11.7(04人) 03着 01:58.5 (34.6) -0.3 福永祐一 55 カワカミプリンセス
11. 12 京都 エリザベス女王杯 GI 0芝2200m(良) 15 8 15 26.2(07人) 01着 02:11.6 (34.8) -0.0 福永祐一 54 スイープトウショウ
11. 26 東京 ジャパンC GI 0芝2400m(良) 11 7 8 52.6(08人) 05着 02:25.9 (34.8) -0.8 福永祐一 53 ディープインパクト
2007 -2. 28 川崎 エンプレス杯 JpnII 0ダ2100m(良) 13 8 12 02.1(01人) 02着 02:16.7 (38.3) -0.3 福永祐一 56 トーセンジョウオー
-3. 24 中山 日経賞 GII 0芝2500m(良) 14 3 4 08.1(04人) 09着 02:33.0 (37.1) -1.2 福永祐一 55 ネヴァブション
-4. 14 阪神 マイラーズC GII 0芝1600m(良) 15 8 15 30.8(12人) 09着 01:33.4 (33.9) -1.2 福永祐一 56 コンゴウリキシオー
-5. 13 東京 ヴィクトリアマイル JpnI 0芝1600m(良) 18 3 5 22.2(06人) 12着 01:33.5 (34.6) -1.0 福永祐一 55 コイウタ
-8. 12 札幌 クイーンS JpnIII 0芝1800m(良) 11 6 8 06.5(03人) 05着 01:47.1 (34.6) -0.4 福永祐一 55 アサヒライジング
-9. -2 札幌 札幌記念 JpnII 0芝2000m(良) 16 1 1 09.8(05人) 01着 02:00.1 (34.8) -0.0 藤田伸二 55 アグネスアーク
-9. 17 札幌 エルムS JpnIII 0ダ1700m(稍) 13 4 5 05.5(04人) 11着 01:45.1 (37.0) -1.8 藤岡佑介 56 メイショウトウコン
11. 11 京都 エリザベス女王杯 GI 0芝2200m(良) 14 7 12 08.3(03人) 02着 02:12.0 (33.9) -0.1 C.ルメール 56 ダイワスカーレット
11. 25 東京 ジャパンC GI 0芝2400m(良) 18 6 12 74.8(12人) 09着 02:25.7 (35.1) -1.0 藤田伸二 55 アドマイヤムーン

繁殖牝馬 編集

 
2015年産のアーモンドアイ(鞍上:クリストフ・ルメール

引退後はノーザンファームで繁殖生活に入り、2009年2月20日に初仔となるシンボリクリスエス産駒の黒鹿毛の牡馬を出産。以後、9頭を出産したが、2017年10月28日に死亡した。

パンドラの死後、2018年1月8日のシンザン記念で7番仔のアーモンドアイが優勝し、産駒初の重賞制覇を達成。続く4月8日の桜花賞も制し、GⅠ馬の母となった。さらには5月20日の優駿牝馬、10月14日の秋華賞を制し、2012年のジェンティルドンナ以来となる史上5頭目の三冠牝馬に、更に11月25日ジャパンカップも制し四冠を達成。その後、4歳シーズンではドバイターフ天皇賞(秋)を、5歳シーズンではヴィクトリアマイル、天皇賞・秋(連覇)、ジャパンC(2勝目)を勝ち、JRA調教馬では史上初となる、芝GI9勝馬となった。

生年 馬名 毛色 馬主 厩舎 戦績 出典
初仔 2009年 スペルヴィア 黒鹿毛 シンボリクリスエス 佐々木主浩 栗東・橋田満 23戦2勝(抹消・乗馬[13]
2020年12月13日死亡
[14]
2番仔 2010年 ピュクシス 青毛 (有)キャロットファーム 栗東・石坂正 8戦1勝(抹消・繁殖) [15]
3番仔 2011年 サンエルピス 栗毛 キングカメハメハ 三田昌宏 栗東・浅見秀一 12戦1勝(抹消・繁殖) [16]
4番仔 2012年 パンドラズホープ 黒鹿毛 窪田康志 栗東・松永幹夫
愛知・角田輝也[17]
11戦2勝(抹消・繁殖) [18]
5番仔 2013年 ダノンエール 鹿毛 ハービンジャー (株)ダノックス 栗東・安田隆行 4戦1勝(引退・乗馬) [19]
6番仔 2014年 パンデリング 栗毛 キングカメハメハ 不出走(繁殖) [20]
7番仔 2015年 アーモンドアイ 鹿毛 ロードカナロア (有)シルクレーシング 美浦・国枝栄 15戦11勝(引退・繁殖) [21]
8番仔 2016年 ユナカイト 栗毛 ヨハネスブルグ 美浦・木村哲也[22]
→美浦・宮田敬介
17戦2勝(引退・繁殖) [23]
9番仔 2017年 サトノエスペランサ 鹿毛 ルーラーシップ (株)サトミホースカンパニー 美浦・堀宣行 5戦1勝(抹消)
2020年12月8日死亡
[24]

血統 編集

フサイチパンドラ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サンデーサイレンス系
[§ 2]

*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛
父の父
Halo
1969 黒鹿毛
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
父の母
Wishing Well
1975 鹿毛
Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss

*ロッタレース
Lotta Lace
1992 栗毛
Nureyev
1977 鹿毛
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Special Forli
Thong
母の母
Sex Appeal
1970 栗毛
Buckpasser Tom Fool
Busanda
Best in Show Traffic Judge
Stolen Hour
母系(F-No.) Best in Show系(FN:8-f) [§ 3]
5代内の近親交配 Almahmoud 4×5 [§ 4]
出典
  1. ^ [25]
  2. ^ [5]
  3. ^ [26][25]
  4. ^ [25]

世界的な名牝系ベストインショウ系の出身であり、伯父にはEl Gran Senorトライマイベストがいる。祖母の半妹にはケンタッキーオークス、サンタスザナステークス等の優勝馬Brush with Pride 、その孫にJazilRags to RitchesPeeping Fawnカジノドライヴらがいる。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 本来8月最終週に行われる競走だが、この前週に発生した馬インフルエンザにより当週に延期された。また、フサイチパンドラ自身もインフルエンザ陽性と診断されていた。

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u フサイチパンドラ”. JBISサーチ. 2020年8月16日閲覧。
  2. ^ マルカシェンク産駒がJRA初勝利を記録”. 競走馬のふるさと案内所. 2020年8月17日閲覧。
  3. ^ 2歳新馬|2005年11月12日”. netkeiba.com. 2020年8月17日閲覧。
  4. ^ 阪神ジュベナイルF|2005年12月04日”. netkeiba.com. 2020年8月17日閲覧。
  5. ^ a b c フサイチパンドラ - Fusaichi Pandora - 競走馬データベース”. 競馬ラボ. 2021年11月28日閲覧。
  6. ^ a b カワカミプリンセス1位入線も12着降着/G1復刻|極ウマ・プレミアム」『日刊スポーツ』。2020年8月17日閲覧。
  7. ^ ジャパンカップ|2006年11月26日”. netkeiba.com. 2020年8月17日閲覧。
  8. ^ エンプレス杯|2007年02月28日”. netkeiba.com. 2020年8月17日閲覧。
  9. ^ 札幌記念|2007年09月02日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2020年8月17日閲覧。
  10. ^ フサイチパンドラ出走取消―有馬記念(22日)”. 競馬ブック. 2020年8月17日閲覧。
  11. ^ “フサイチパンドラ引退、繁殖生活へ”. ラジオNIKKEI. http://keiba.radionikkei.jp/keiba/entry-143776.html 2020年8月17日閲覧。 
  12. ^ フサイチパンドラの競走成績”. netkeiba.com. 2020年8月16日閲覧。
  13. ^ 乗馬クラブクレイン:「【あの競走馬は今】 クローディオ& スペルヴィア@クレイン北大阪”. Instagram. 2021年1月15日閲覧。
  14. ^ スペルヴィア | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2020年8月16日閲覧。
  15. ^ ピュクシス | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2020年8月16日閲覧。
  16. ^ サンエルピス | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2020年8月16日閲覧。
  17. ^ サラ系3歳2組|2015年10月01日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2020年8月16日閲覧。
  18. ^ パンドラズホープ”. 地方競馬全国協会. 2021年3月7日閲覧。
  19. ^ ダノンエール”. JBISサーチ. 2021年3月7日閲覧。
  20. ^ パンデリング | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2020年8月16日閲覧。
  21. ^ アーモンドアイ | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2020年8月16日閲覧。
  22. ^ 2歳新馬|2018年08月05日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. netkeiba.com. 2020年8月16日閲覧。
  23. ^ ユナカイト | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2020年8月16日閲覧。
  24. ^ サトノエスペランサ | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2020年8月16日閲覧。
  25. ^ a b c 血統情報:5代血統表|フサイチパンドラ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2017年2月12日閲覧。
  26. ^ 平出貴昭 (2014年9月17日). “『覚えておきたい日本の牝系100』収録の全牝系一覧”. 競馬“血統”人生/平出貴昭. 2017年2月12日閲覧。

外部リンク 編集