模様(もよう)は囲碁用語の一つで、大きなになりうる可能性のある勢力圏のことを指す。多くの場合、隅から辺、中央へ広がるものを呼ぶ。カタカナで「モヨウ」と表記されることもある。

例えば下図では、右辺一帯が黒の「模様」である。黒模様はaなどへの侵入、bなどへの消しの余地があって完全な地ではなくこの先の展開によっては目減りすることも有り得るが、一方でcなどに打てばさらにスケールを拡大し、より大きな利得に成り得る。

このような性質のため、確定地は価値が変動することがない「現金」、模様は状況によって価値が変動する「株式などの投資」にたとえられることがある。

多くの場合、模様を築くには相手に実利を譲る必要がある。棋士の棋風は、先に実利を取りに行くタイプと、相手に地を与えて模様を張るタイプに大別することができる。模様を張るためには、隅の着点を高目など位の高い位置に打つことが多い。模様を築くことを目的とした布石としては、三連星などが代表的である。

模様は確定地ではないため、相手から打ち込みを受けて荒らされる可能性を残している。この侵入してきた相手の石を攻めて利得を図るのも、模様を張る目的の一つである。また、ほぼ確定地に近いような固まった模様を「地模様」と呼ぶことがある。

大模様 編集

スケールの大きな模様を「大模様」と呼ぶことがある。明確な基準はないが、盤面全体にわたるようなサイズのものを指す。下図は、模様派の棋士として知られる武宮正樹(黒)による大模様の一例。

模様の接点 編集

たとえば上図で黒1の点に打てば、下辺の黒模様を盛り上げ、左辺から上辺の白模様を削減できる。逆に白が1の点に先着すると、白模様が大きく拡大して黒模様の規模が小さくなる。このように、互いの模様の接点は価値が大きく、しばしば必争点となる。

参考文献 編集