消えたエース

西村京太郎の小説 (1982年)

消えたエース』(きえたエース)は、西村京太郎の長編推理小説1982年の作品で、誘拐事件を題材としている。単行本角川書店から刊行された。

現在の西村京太郎はトラベルミステリー作家の印象が強いが、当時の西村作品は主に誘拐ものを扱っていた。推理小説としては珍しく、野球日本プロ野球)を題材としているが、西村には先行作品として『消えた巨人軍』(1976年)もある。

あらすじ 編集

1982年[1]のプロ野球シーズン終盤。それまで弱小球団とされてきた京神ハンタースは18年ぶりのセ・リーグ優勝を目指し、読売ジャイアンツ広島東洋カープと優勝争いをしていた。その原動力は球団社長が情熱家に替わったこと、新監督片岡の采配、打撃・若手投手陣の奮起などが挙げられたが、一番の理由は新リリーフエース江島功の誕生であった。しかし元々わがままな性格だった江島は自分の年俸の安さに不満で、全勝が求められる大洋ホエールズ戦の3戦目を前に「肩が痛むから京都の医者に行く」と言い出し、その上同伴した球団マネージャーを振り切り、同棲していたホステスのアパートに行ってしまう。その翌日、新聞朝刊にそのホステスが自宅アパートで絞殺されたとの記事。しかし江島は行方不明となっていた。犯人は江島なのか……。

設定・登場人物 編集

阪神甲子園球場を本拠とする京神ハンタースとは、阪神タイガースをモデルとした球団である。またハンタースの選手・監督も名前からモデルが推測されるようになっている。例えば、

一方で、読売ジャイアンツなどの選手は実在の人物である。実在の登場人物は以下の通り。

巨人
大洋

脚注 編集

  1. ^ 作品中では年を特定していないが、作品中に「昨年、最多勝最優秀防御率最多奪三振最高勝率と投手のタイトルを総なめした江川卓」や「去年江夏豊というリリーフエースがいなければ日本ハムの優勝はなかった」という文章があるため、1982年と特定できる。