豊島区女性殺害遺棄事件
豊島区女性殺害遺棄事件（としまくじょせいさつがいいきじけん）は、2020年9月24日に、保育士の男（当時29歳）が、東京都豊島区内で1人暮らしをしていた女性（当時35歳）のアパートに侵入し、強姦・殺害した後に遺体を栃木県那須町の山中に遺棄した事件である。2人に面識はなく、男は路上で偶然見つけた女性を尾行し、犯行に及んでいた[1]。
| 豊島区女性殺害遺棄事件 | |
|---|---|
| 日付 | 2020年9月 (UTC+9) |
| 概要 | 保育士の男が1人暮らしの女性のアパートに侵入し、強姦・殺害した後、遺体を那須町の山中に遺棄。 |
| 攻撃手段 | 絞殺 |
| 攻撃側人数 | 男1人 |
| 武器 | ロープ（絞殺用の凶器） |
| 死亡者 | 女性1人 |
| 犯人 | 当時29歳の男 |
| 容疑 | 強盗・強制性交等罪 |
| 動機 | 性的暴行 |
| 対処 | 逮捕・起訴 |
| 刑事訴訟 | 無期懲役 |
| 管轄 |
警視庁目白警察署 東京地方検察庁 |
事件の経緯 編集
2020年9月24日午後、男は近所に住む面識のない被害者女性を路上で見つけて尾行し、女性が1人暮らしをしていたアパートに侵入した[1][2]。男は女性に性的暴行を加え、ロープで首を絞めて殺害した。
殺害後、女性が失踪したと偽装するため、女性宅の掃除・指紋のふき取りや、キャリーケースと衣服の持ち出しなどを行った[2]。翌25日、男の親族が所有する那須町内の別荘に遺体を運び、27日に近くの山林に穴を掘って埋めた。
2020年9月25日に父親が警視庁に相談した[3]。防犯カメラの映像を確認したところ、男が被害者女性を含む複数の女性の後をつける様子が記録されていた。なお、本事件においても防犯カメラの映像が重要な傍証となっており、「今、まともな人間は都内で犯罪をしない。すれば防犯カメラ映像がもとになり必ず捕まるから」と語る警視庁の捜査員もいるという[1]。
逮捕・裁判 編集
2020年12月5日に警視庁の取り調べで女性の殺害と死体遺棄を自供した[2]。男は遺体が見つかった直後にまず死体遺棄容疑で逮捕された[3]。その後、強盗・強制性交殺人などの容疑で再逮捕された。
2022年3月17日に東京地方裁判所で行われた裁判員裁判において、求刑通り無期懲役の判決が言い渡された[4]。坂田裁判長は、男が性的暴行の隠蔽のために無抵抗の女性を殺害したことにつき、「残忍で身勝手。酌量の余地は全くない」「侵入した見ず知らずの男に命まで奪われ、女性の恐怖や屈辱、無念は筆舌に尽くしがたい」などと指弾した。
加害者の男 編集
男は被害者と同じ豊島区に住んでおり、被害者の自宅アパートからは600mほど離れた場所に住んでいた[6]。2013年に福祉系の専門学校を卒業後しばらく介護士として勤務した後、2019年から逮捕されるまで豊島区内の保育園で保育士として働いていた[7]。
日頃から婚活アプリを利用して女性を物色しており、都内や埼玉県内の路上で別の複数の女性に対して身体を触るなどの強制わいせつ事件を3件起こしていたことが判明している[8][2]。また、2020年11月には新宿区内の女子小学生にわいせつ行為をしていた[6]。
脚注 編集
- ^ a b c d “「44年ぶりの凶悪事件」に無期懲役判決 逮捕前後、事件記者たちの攻防 「防犯カメラを追え」”. FNNプライムオンライン (2022年4月5日). 2022年4月16日閲覧。
- ^ a b c d “那須女性遺棄、被告が語った身勝手な動機”. 産経新聞 (2022年3月15日). 2022年4月16日閲覧。
- ^ a b “性的暴行後に絞殺か、男を再逮捕へ 豊島区の女性遺棄”. 朝日新聞 (2021年1月6日). 2022年4月16日閲覧。
- ^ “元保育士の男に無期懲役 ３５歳女性殺害遺棄―東京地裁”. 時事通信社 (2022年3月17日). 2022年4月16日閲覧。
- ^ 面識ない女性殺害遺棄の元保育士、2審も無期懲役計画性を認定毎日新聞2022年9月21日付
- ^ a b “《那須・女性死体遺棄事件》母に甘えたバツイチ容疑者、犯行は親族への“あてつけ”か”. 週刊女性PRIME (2020年12月15日). 2022年4月16日閲覧。
- ^ “那須35歳女性死体遺棄「服を着ていない状態で発見」29歳容疑者は老人ホーム勤務の元介護士「鍵が開いていたので…」”. 文春オンライン (2020年12月6日). 2022年4月16日閲覧。
- ^ “《那須女性死体遺棄》29歳容疑者は婚活アプリにハマっていた！ プロフィール欄に「近場でストレス発散」”. 文春オンライン (2020年12月7日). 2022年4月16日閲覧。