1986年ハンガリーグランプリ

1986年ハンガリーグランプリは、1986年F1世界選手権の第11戦として、1986年8月10日ハンガロリンクで開催された。東側諸国で開催された初のF1レースである。このレースではネルソン・ピケアイルトン・セナを激しくドリフトしながら追い抜いたシーンがあった。

ハンガリーの旗 1986年ハンガリーグランプリ
レース詳細
日程 1986年シーズン第11戦
決勝開催日 8月10日
開催地 ハンガロリンク
ハンガリー モジョロード
コース長 4.013km
レース距離 76周(305.064km)
決勝日天候 ドライ
ポールポジション
ドライバー
タイム 1'29.450
ファステストラップ
ドライバー ブラジルの旗 ネルソン・ピケ
タイム 1'31.001(Lap 73)
決勝順位
優勝
2位
3位

概要 編集

ハンガロリンクはF1レースを開催するにあたり新設された。このコースでのF1は初開催となるため、木曜日に2時間のフリー走行が行われた。

予選ではセナがポールポジションを獲得したが、セナのロータスは最新のEF15Cではなく標準仕様のEF15Bエンジンを使用していた[1]

決勝日のウォームアップではアラン・プロストケケ・ロズベルグの2台のマクラーレンが1位と2位のタイムを記録したが、プロストのマシンはレース前にトラブルに見舞われスペアカーへの乗り換えを余儀なくされた[1]

セナはウォームアップでEF15Cエンジンのミスファイアに見舞われ、EF15Bエンジンでレースに臨むこととなった。EF15Cはセナとルネ・アルヌーだけに供給されていたが、アルヌーもウォームアップでエンジントラブルに見舞われ、こちらもEF15Bでレースに臨むこととなった[1]

レースはセナが序盤から逃げ、序盤でマンセルを抜いたピケが追走した。12周目にはピケがセナを抜いてトップに浮上した。

中盤にピケがタイヤ交換を行うと、2位につけていたセナが大きくペースを上げた。セナがタイヤ交換を済ませると、トップはセナのものとなっていた。

ピケはセナを激しく追いたてた。55周目の第1コーナーでピケはセナのイン側から前に出たが、コーナーではらんだためにセナに抜き返された。57周目、再度第1コーナーで今度はアウト側から仕掛けたピケは、セナの鼻先を押さえるようにドリフトし、カウンターステアを当てながらコーナーに進入した。

これでセナを追い越すことに成功したピケは充分なリードを得て勝利を獲得した。当初は78周が予定されていたが、76周終了時点でレース時間が2時間を超えたため、ここでレースは終了した。

"West"のスポンサーを得ていたザクスピードは、東側諸国で初開催となったこのレースに、ジョナサン・パーマーのマシンのロゴを"East"と書き換えて参戦した(ヒューブ・ロテンガッターのマシンには"West"のまま)。

結果 編集

予選 編集

順位 No. ドライバー コンストラクタ 1回目 2回目
1 12   アイルトン・セナ ロータスルノー 1'32.281 1'29.450
2 6   ネルソン・ピケ ウィリアムズホンダ 1'31.417 1'29.785
3 1   アラン・プロスト マクラーレンTAG 1'33.113 1'29.945
4 5   ナイジェル・マンセル ウィリアムズホンダ 1'30.516 1'30.072
5 2   ケケ・ロズベルグ マクラーレンTAG 1'34.146 1'30.628
6 16   パトリック・タンベイ ローラフォード 1'34.187 1'31.715
7 28   ステファン・ヨハンソン フェラーリ 1'35.092 1'31.850
8 11   ジョニー・ダンフリーズ ロータスルノー 1'36.108 1'31.886
9 25   ルネ・アルヌー リジェルノー 1'36.552 1'31.970
10 15   アラン・ジョーンズ ローラフォード 1'33.737 1'32.401
11 20   ゲルハルト・ベルガー ベネトンBMW 1'32.886 1'32.491
12 26   フィリップ・アリオー リジェルノー 1'35.129 1'32.575
13 19   テオ・ファビ ベネトンBMW 1'35.265 1'32.707
14 7   リカルド・パトレーゼ ブラバムBMW 1'35.337 1'32.956
15 27   ミケーレ・アルボレート フェラーリ 1'34.255 1'33.063
16 3   マーティン・ブランドル ティレルルノー 1'34.725 1'33.368
17 24   アレッサンドロ・ナニーニ ミナルディモトーリ・モデルニ 1'36.266 1'33.656
18 4   フィリップ・ストレイフ ティレルルノー 1'35.831 1'34.414
19 8   デレック・ワーウィック ブラバムBMW 1'34.561 1'34.502
20 23   アンドレア・デ・チェザリス ミナルディモトーリ・モデルニ 1'37.796 1'34.670
21 17   クリスチャン・ダナー アロウズBMW 1'36.540 1'35.294
22 18   ティエリー・ブーツェン アロウズBMW 1'37.260 1'35.392
23 21   ピエルカルロ・ギンザーニ オゼッラアルファロメオ 1'39.564 1'36.232
24 14   ジョナサン・パーマー ザクスピード 1'37.937 1'36.485
25 29   ヒューブ・ロテンガッター ザクスピード 1'42.736 1'38.527
26 22   アレン・バーグ オゼッラアルファロメオ 1'40.984 -

決勝 編集

順位 No. ドライバー コンストラクタ 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 6   ネルソン・ピケ ウィリアムズホンダ 76 2:00'34.508 2 9
2 12   アイルトン・セナ ロータスルノー 76 +17.673 1 6
3 5   ナイジェル・マンセル ウィリアムズホンダ 75 +1 Lap 4 4
4 28   ステファン・ヨハンソン フェラーリ 75 +1 Lap 7 3
5 11   ジョニー・ダンフリーズ ロータスルノー 74 +2 Laps 8 2
6 3   マーティン・ブランドル ティレルルノー 74 +2 Laps 16 1
7 16   パトリック・タンベイ ローラフォード 74 +2 Laps 6  
8 4   フィリップ・ストレイフ ティレルルノー 74 +2 Laps 18  
9 26   フィリップ・アリオー リジェルノー 73 +3 Laps 12  
10 14   ジョナサン・パーマー ザクスピード 70 +6 Laps 24  
リタイヤ 25   ルネ・アルヌー リジェルノー 48 エンジン 9  
リタイヤ 15   アラン・ジョーンズ ローラフォード 46 ディファレンシャル 10  
リタイヤ 20   ゲルハルト・ベルガー ベネトンBMW 44 トランスミッション 11  
リタイヤ 18   ティエリー・ブーツェン アロウズBMW 40 電気系 22  
リタイヤ 2   ケケ・ロズベルグ マクラーレンTAG 34 サスペンション 5  
リタイヤ 19   テオ・ファビ ベネトンBMW 32 トランスミッション 13  
リタイヤ 24   アレッサンドロ・ナニーニ ミナルディモトーリ・モデルニ 30 エンジン 17  
リタイヤ 27   ミケーレ・アルボレート フェラーリ 29 アクシデント 15  
リタイヤ 8   デレック・ワーウィック ブラバムBMW 28 アクシデント 19  
リタイヤ 1   アラン・プロスト マクラーレンTAG 23 アクシデント 3  
リタイヤ 21   ピエルカルロ・ギンザーニ オゼッラアルファロメオ 15 サスペンション 23  
リタイヤ 17   クリスチャン・ダナー アロウズBMW 7 サスペンション 21  
リタイヤ 7   リカルド・パトレーゼ ブラバムBMW 5 ギアボックス 14  
リタイヤ 23   アンドレア・デ・チェザリス ミナルディモトーリ・モデルニ 5 エンジン 20  
リタイヤ 29   ヒューブ・ロテンガッター ザクスピード 2 ラジエター 25  
リタイヤ 22   アレン・バーグ オゼッラアルファロメオ 1 ターボ 26  
  • 予選、決勝順位は、公式サイト[1] および AUTOCOURSE 1986-1987[2] より。

脚注 編集

  1. ^ a b c Hamilton, Maurice (ed.) (1986). AUTOCOURSE 1986-87. Hazleton Publishing. pp. pp.154-ff. ISBN 0-905138-44-9 
  2. ^ Hamilton, Maurice (ed.) (1986). AUTOCOURSE 1986-87. Hazleton Publishing. pp. p234. ISBN 0-905138-44-9 

関連項目 編集

前戦
1986年ドイツグランプリ
FIA F1世界選手権
1986年シーズン
次戦
1986年オーストリアグランプリ
  ハンガリーグランプリ 次回開催
1987年ハンガリーグランプリ