New World (L'Arc〜en〜Cielの曲)
「New World」(ニュー ワールド)は、日本のロックバンド、L'Arc〜en〜Cielの26作目のシングル。2005年4月6日発売。発売元はKi/oon Records。
「New World」 | ||||||||||||||||
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L'Arc〜en〜Ciel の シングル | ||||||||||||||||
初出アルバム『AWAKE』 | ||||||||||||||||
B面 | 花葬 平成十七年 | |||||||||||||||
リリース | ||||||||||||||||
規格 |
マキシシングル デジタル・ダウンロード | |||||||||||||||
ジャンル | ロック | |||||||||||||||
時間 | ||||||||||||||||
レーベル | Ki/oon Records | |||||||||||||||
作詞・作曲 | hyde, yukihiro | |||||||||||||||
プロデュース |
L'Arc〜en〜Ciel 岡野ハジメ | |||||||||||||||
ゴールドディスク | ||||||||||||||||
※ いずれも日本レコード協会認定 | ||||||||||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||||||||
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L'Arc〜en〜Ciel シングル 年表 | ||||||||||||||||
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解説 編集
前作「Killing Me」以来約3ヶ月ぶりとなるL'Arc〜en〜Cielの2005年第2弾シングル。本作のレコーディングは、2004年の一連のライヴツアーを終えた同年9月から制作が開始されたアルバム『AWAKE』の録音作業の期間中に行われている。
本作の表題曲「New World」は、ブレイクビーツを採り入れたストレートな8ビートのギターロック。表題曲の作詞は、従来担当しているhydeではなくyukihiroが手掛けており、hyde以外が作詞した楽曲がL'Arc〜en〜Cielのシングル表題曲になるのは、本作が初めてのこととなった。また、作曲もyukihiroがメインで担当している。なお、yukihiroに作曲クレジットが付いた楽曲が、L'Arc〜en〜Cielのシングル表題曲になることも初のことである。yukihiroは今回、これまでに自身が手掛けてきた「Cradle」や「get out from the shell -asian version-」といった楽曲などとは異なる志向で作曲を行っており、表題曲はストレートな8ビートのロックナンバーに仕上げられている。yukihiroが作ったデモ音源を聴いた印象について、hydeは「彼にもそういう(ポップな)血が流れてるっていう。そしてそういう曲を自分で作ってくるって―― 当然いろんな音楽を聴くのは知ってるけど、自分で作ってくるっていうのは、すごく、うん、嬉しかった[3]」と感想を述べている。また、kenも「"すげぇ!yukihiroが明るい曲書いたよ!?"って(笑)。でもそれがうれしかったですね[4]」と述べている。さらに、tetsuyaは「"キラー・チューンを用意してる"ってことだったんで、すごい楽しみにしてたんですけど。本当にキラー・チューンでした。今までのyukihiroの曲の中では、明らかに新しいなとは思いました[5]」とこの曲の印象についてコメントしている。
また、表題曲は本作発売の約5日前の2005年4月1日から同年7月23日までの間、日本テレビ系列で放送されたプロ野球中継番組『1球の緊張感 THE LIVE 2005』の上半期テーマソングに使用されている。ちなみに本作のリリースプロモーションとして、2005年4月2日に実施された読売ジャイアンツ対広島東洋カープ戦のテレビ中継に、hydeとkenがゲスト出演している。
表題曲のミュージック・ビデオは、2007年12月5日に発表したクリップ集『CHRONICLE 3』に初収録されている。また、2019年12月11日に、公式YouTubeアーティストチャンネルにおいて映像の無料公開が開始されている。なお、この映像のディレクターは前作「Killing Me」ならびに前々作「自由への招待」のミュージック・ビデオを手掛けた野田智雄が務めている。
フィジカルの初回限定仕様は、ピクチャーディスク仕様となっている。
本作は発売初週となる2005年4月18日付のオリコン週間シングルチャートで、前作「Killing Me」に続く6作連続通算15作目の首位を獲得している[6]。
収録曲 編集
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「New World」(L'Arc〜en〜Ciel) | yukihiro | yukihiro, hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
2. | 「花葬 平成十七年」(P'UNK〜EN〜CIEL) | hyde | ken | HYDE P'UNK | |
3. | 「New World (hydeless version)」(L'Arc〜en〜Ciel) | yukihiro, hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | ||
4. | 「花葬 平成十七年 (TETSU P'UNKless version)」(P'UNK〜EN〜CIEL) | ken | HYDE P'UNK | ||
合計時間: |
楽曲解説 編集
- New World / L'Arc〜en〜Ciel
- 作詞: yukihiro / 英語訳詞: Anis / 作曲: yukihiro, hyde / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel & Hajime Okano
- 日本テレビ系プロ野球中継番組『1球の緊張感 THE LIVE 2005』上半期テーマソング。
- ブレイクビーツを採り入れたストレートな8ビートのギターロック。作詞・作曲を手掛けたyukihiroは、この曲の制作イメージについて「8ビートの速い曲っていうのは僕、避けてたんですよ。ずっとそれだけは避けてた。自分がやってきたバンドにおいても、そういう曲がメインになるバンドが多かったんで。自分は"そういうのばっかりがメインじゃつまんないなあ"と思ってた部分があったから、こういうテンポの8ビートの曲は避けてたんですね。でもなんか、"やりようによってはカッコいい曲ができるんじゃないかなあ"っていうのもあったかな…何だろう、今のラルクで、こういうギターのリフで持って行く8ビートの曲、装飾なしの曲っていうのをやってみたかったって感じですね[7]」と述べている。こういった志向に至ったのは、yukihiro曰く、レーベルメイトであるASIAN KUNG-FU GENERATIONの楽曲を聴いたことがきっかけだったという[8]。本作発売当時に受けたインタビューにおいて、yukihiroは「アジカン、カッコいいなと思って。(中略)"ああいう曲、書けねえかな"と思って。ポップで自由な曲、という意味ですけど[8]」と語っている。
- この曲の制作過程では、作曲者であるyukihiroの意見を踏まえ、yukihiroが手掛けたサビ部分のメロディをhydeが根本から変更している。hydeがサビ、yukihiroがそれ以外を手掛けたことにより、L'Arc〜en〜Cielの楽曲としては初めてyukihiroとhydeの合作クレジットとなった[注 1]。ちなみにhydeが作り直したサビは、yukihiroが制作した当初のサビと比べてキーが異常に高く、hydeは「もうビックリするぐらいキーが高くて、自分で自分の首を絞めたっていう(笑)[9]」とコメントしている。
- また、この曲では、yukihiroが演奏する生のドラムがリズムを刻む一方、ブレイクビーツが随所に採り入れられている。この曲のリズムアプローチについて、yukihiroは「ブレイクビーツを入れるということを最初から決めてたんで、それをカッコ良く聴かせるには打ち込みと生ドラムの共存が必要だろうなと思って[10]」「最初にブレイクビーツ―― 打ち込みのほうのリズムを作ったんですけど、その時からもう生ドラムを考えながらやってました[10]」と語っている。
- さらに、この曲のギター録りにおいてkenは、珍しく同じようなフレーズを2本のギターで弾いており、ギターサウンドに厚みを出すアプローチを採り入れている[11]。kenはダブリングした経緯について「今までL'Arc〜en〜Cielでは、ダブル…左右同じことを弾いて、音の壁にするっていうやり方は、避けてきたんだよね。こっちでアルペジオを弾いてるんだったら、こっちは違うメロディーを置くとか、絶対同じものにはならないようにしたいなと思ってて。けど、『SMILE』のころからは曲のテイストとかで、そういうふうにしたほうが映える曲が出てきた感じもしたんで。『SMILE』のとき、ちゃんと同じダブルにしたものはほとんどなかったと思うけど、今回は同じものを2つ弾こうと思って、実際そうした[11]」「(この曲は)基本2本のダブル。そこにオブリみたいなのが入ったり、クリーンみたいなのが入ったりっていうだけで、ずっと弾いてる基本は2本[11]」と語っている。ちなみにこの曲のレコーディングでは、開放の音を弾かないようにするためカポタストを使用しているが、ライヴで演奏する際は使用していない[12]。
- さらに、この曲の2サビ以降の間奏では、kenによるギターソロではなく、tetsuyaのベースソロパートが入っている。なお、この曲の弦楽器は全て半音下げチューニングとなっているが、ライヴでこの曲を披露する際はレギュラーチューニングに変更し演奏されることが多い。
- 歌詞は、前述のタイアップが付いたことを踏まえたうえでyukihiroが手掛けている。作詞を担当したyukihiro曰く、スタッフから「前向きな詞を書いて[13]」というリクエストがあり、この要望を反映させたリリックが綴られている。yukihiroはタイアップやシングル化が決まる前から歌詞を書き進めていたというが、yukihiro曰く、当初の歌詞は「突き当たって終わってしまう[13]」イメージだったといい、前述の要望を踏まえ、前向きな歌詞に書き直している。歌詞のイメージについて、yukihiroは「(前の歌詞は)ぶつかって砕けて終わるっていう感じだったんですけど。でもこれは、"ぶつかって、突き抜けていく"って感じですね[13][14]」「(自分は)音楽の雰囲気としてはそういう(壊していく)ものがやっぱり好きだし、退廃的であることが好きですけど。だからといってネガティヴに考えて後ろ向きになってるわけじゃなくて(笑)。そういうネガティヴから突き抜けていくっていうか、そういうもので攻撃していくっていう姿勢が好きなんです[15]」「現実からもっと突き抜けたいっていうことですよね。だから、どんな現実も気にしないところまで行けたら気持ちいいんじゃないかなあっていう感じで。何が現実で何が夢だ、とか空想だとかそういうことすらどうでもいいようなところがあれば、すごい気持ちがいいんだろうなっていうような感じです[16][17]」と語っている。
- また、歌詞の冒頭の<此処に在る確かなリアリティー>というフレーズについて、音楽雑誌のインタビューで聞かれた際、yukihiroは「それは自分自身のことだと思ってもらっていいんじゃないですかね。僕なら僕の感じ方とか考え方、そういうものが自分にとってのリアリティなんで、人それぞれでいいと思うんですけどね[16]」と述べている。なお、hydeは、yukihiroが手掛けた歌詞の印象について、hydeは「もっと小難しい歌詞になると思ったら、そうでもなかったので、意外といえば意外。すごく前向きだなと思った[18]」と語っている。
- ちなみに、yukihiroが本作以前にL'Arc〜en〜Cielで作詞を担当した楽曲として「L'heure」(フランス語詞)、「trick」(英語詞)の2曲が存在するが、いずれも日本語詞ではなく、この曲が初めて日本語を主体としたリリックとなっている。なお、yukihiroがL'Arc〜en〜Cielで日本語の歌詞を手掛けるのが初だったこともあり、作詞作業にhydeがサポートとして参加し、歌詞のチェックをしていたという[3]。
- 花葬 平成十七年 / P'UNK〜EN〜CIEL
- 作詞: hyde / 作曲: ken / 編曲: HYDE P'UNK
- パートチェンジバンド、P'UNK〜EN〜CIELによる、11thシングル「花葬」の表題曲のセルフカバー。
- これまでに発表したP'UNK〜EN〜CIELによるセルフカバーにテンポの速いアレンジを施したものが多かったことから[19]、hydeは「ヘヴィな曲が1曲あってもいいだろう[19]」と思っていたといい、このカバーではヘヴィ・メタリックなアレンジが採用されている[19]。アレンジするにあたり、歌のメロディは原曲のものを残しているが、コードは一から付けなおしている[19]。アレンジを担当したhydeは本作発売時のインタビューにおいて、コードを付け直した理由について「ア・パーフェクト・サークルの「イマジン」(ジョン・レノンのカバー)を聴いたときに、全然コードが違って、"あ、その手、ありだな"と思って[19]」と語っている。また、この曲では、yukihiroが1サビと、2サビ終わりの歌詞をポエトリーラップ調で歌っている。
- 余談だが、P'UNK〜EN〜CIELとして発表するカバー音源には、必ず副題として「音源を発表した年」を曲名の末尾に付けているが、この曲に限り西暦でなく元号で音源の発表年を表記している。
- New World (hydeless version)
- 花葬 平成十七年 (TETSU P'UNKless version)
参加ミュージシャン 編集
収録アルバム 編集
- オリジナルアルバム
- 『AWAKE』 (#1)
- ベストアルバム
- 『QUADRINITY 〜MEMBER'S BEST SELECTIONS〜』 (#1)
- 『TWENITY 2000-2010』 (#1)
- 『WORLD'S BEST SELECTION』 (#1)
- セルフカバーアルバム
- 『P'UNK IS NOT DEAD』 (#2)
参考文献 編集
- 『WHAT's IN?』、ソニー・マガジンズ、2005年5月号
- 『CDでーた』、角川書店、2005年7月14日号 vol.17 No.7
- 『GiGS』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2005年11月号
- 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、角川書店、2005年
- 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 03』、ソニー・マガジンズ、2006年
脚注 編集
注釈 編集
出典 編集
- ^ ゴールドディスク認定 2005年3月 - 日本レコード協会
- ^ ダウンロード認定 2016年8月 - 日本レコード協会
- ^ a b 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、p.86、角川書店、2005年
- ^ 『CDでーた』、p.34、角川書店、2005年7月14日号 vol.17 No.7
- ^ 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、p.104、角川書店、2005年
- ^ “ラルク アン シエルが6作連続NO.1!”. ORICON NEWS (オリコン株式会社). (2005年4月12日) 2021年12月14日閲覧。
- ^ 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、p.110、角川書店、2005年
- ^ a b 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、p.80、角川書店、2005年
- ^ 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、p.85、角川書店、2005年
- ^ a b 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、p.149、角川書店、2005年
- ^ a b c 『GiGS』、p.18、シンコーミュージック・エンタテイメント、2005年11月号
- ^ 『GiGS』、p.20、シンコーミュージック・エンタテイメント、2005年11月号
- ^ a b c 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、p.111、角川書店、2005年
- ^ 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、p.112、角川書店、2005年
- ^ 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、p.113、角川書店、2005年
- ^ a b 『CDでーた』、p.31、角川書店、2005年7月14日号 vol.17 No.7
- ^ 『CDでーた』、p.32、角川書店、2005年7月14日号 vol.17 No.7
- ^ 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 03』、p.196、ソニー・マガジンズ、2006年(『WHAT's IN? 2005年5月号』の再掲)
- ^ a b c d e 『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、p.90、角川書店、2005年