wowaka

日本のミュージシャン (1987-2019)

wowaka(ヲワカ、1987年昭和62年〉11月4日 - 2019年平成31年〉4月5日[3])は、日本作詞家作曲家編曲家ボカロP。ボカロにおける代表曲として『裏表ラバーズ』『ローリンガール』『ワールズエンド・ダンスホール』『アンハッピーリフレイン』『アンノウン・マザーグース』など。

wowaka
別名 現実逃避P
生誕 1987年11月4日
出身地 日本の旗 日本 鹿児島県[1]
死没 (2019-04-05) 2019年4月5日(31歳没)
学歴 東京大学[2]
ジャンル
職業
担当楽器
活動期間 2009年 - 2019年
共同作業者 ヒトリエ
公式サイト hitorie.jp
著名使用楽器

動画投稿サイトニコニコ動画初音ミクなどの音声合成ソフト(VOCALOID)をボーカルに用いたオリジナル曲を発表していた。2011年からはロックバンド「ヒトリエ」のボーカル・ギターとしても活動していた[4]

人物 編集

鹿児島県出身。中学生の時にロックバンドに興味を持ちギターを始め、高校、大学でバンド活動を行う。東京大学在学中には、サークル「東大音感」の部長を務め[5]、バンドのオリジナル曲のために作曲をはじめる[6]。初音ミクなどのVOCALOIDを知ったのは2008年の12月ごろで、livetuneの「Last Night, Good Night」を聴き、曲の良さと、それを一人で作っているということに衝撃を受け、それまでのバンド活動とは別に2009年4月より初音ミクを使った音楽製作をはじめた[7][8]

ニコニコ動画で2009年5月に初めて発表した曲『グレーゾーンにて。』の動画では、絵が描けないなりに曲のイメージを伝えようとした結果として、VOCALOIDのキャラクターの登場しない自作のモノクロ画像を使用し、以後も作品に一貫性を持たせる意図からキャラクターを使用しないスタイルでの発表を続けた[6]。本人曰くナンバーガールSPARTA LOCALSから多大な影響を受けており、wowaka名義の曲に関しては母親が初音ミク、父親がナンバーガールなどの発言も残っている。ローリンガールなど、女の子の心を描いた難解な歌詞と、高音で早口のメロディを特徴とする[7]。当初はVOCALOIDでしか出来ないことをやりたいという意識で曲を作っていたが、後にVOCALOIDの良さを生かすことを意識するようになったと言う[9]。VOCALOIDクリエイターとしても活動し、wowakaとも親交のあるハチ(米津玄師)は、バンドサウンド系のVOCALOIDクリエイター界隈にじん、ゆちゃPなどと並び「ボカロっぽさ」に影響を与えた存在と評しており、自身もwowakaの影響を受けた一人で敬意を感じていると語っていた[10]。また、wowakaを親友でありライバルだと語っている。

wowakaの作品はニコニコ動画の中でも特に大きな人気を集め、自主制作CDのリリースなども行った後、インターネットを中心に活動する音楽家たちによる新レーベルとして2011年3月4日に設立された「BALLOOM(バルーム)」に参加し、同レーベルの第1弾として、2011年5月18日に初の全国流通のアルバム『アンハッピーリフレイン』をリリースした[11][12]

ニコニコ動画で発表した楽曲の代表作に『グレーゾーンにて。』、『裏表ラバーズ』、『ローリンガール』、『ワールズエンド・ダンスホール』、『アンハッピーリフレイン』『アンノウン・マザーグース』など多数が挙げられる[13][14][15]

アニメ作品『魔法少女まどか☆マギカ』BD/DVD第5巻の第9話に、BD/DVD版のみのエンディングテーマ曲「and I'm home」の作詞/作曲を担当。

2011年からはロックバンド「ヒトリエ」のボーカル・ギターとしての活動が主体になっていたが、2017年8月22日に約6年ぶりとなるVOCALOID楽曲「アンノウン・マザーグース」を発表。当楽曲はVOCALOID初音ミクの10周年を記念したコンピレーションアルバム『HATSUNE MIKU 10th Anniversary Album「Re:Start」』のために書き下ろした楽曲である[16]。なお、同年10月23日には「ヒトリエ」による当楽曲のセルフカバーバージョンを配信している[17]

1st フルAL「アンハッピーリフレイン」が米国「Rate Your Music」の『史上最高の日本の音楽アルバム』にて36位となった。

突然の死去 編集

2019年4月5日に急性心不全により急逝。31歳没[3]。当時は同年3月から開始したヒトリエの全国ツアーの最中で、4月6日には京都、7日には岡山での公演を予定していたが、これらを含めた全公演が中止となった[18]。ニコニコ動画に投稿された『裏表ラバーズ』や遺作となった『アンノウン・マザーグース』などの動画には、追悼のコメントや、『ワールズエンド・ダンスホール』の歌詞である「さよなら、お元気で」のコメントが多数寄せられ、彼のTwitterの最後の投稿であった、「令和きれいだー。」というツイートは多くの追悼コメントで埋め尽くされた[19]。当時Twitterのトレンドをwowakaに関連するワードが席巻した[20]

この動きを見たヒトリエは、6月1日に全国ツアーファイナルを予定していた新木場STUDIO COASTにて、お別れの会である「wowaka追悼 於 新木場STUDIO COAST」を開催、チケット所持者を対象に追悼ライブを行った[21]。尚、ニコニコ生放送にて生配信も行われた。

なおYouTubeチャンネルはヒトリエのオフィシャルチャンネルとして2024年1月現在もメンバーにより運営されている[22]

作品 編集

ヒトリエの作品についてはヒトリエの作品を参照。

ニコニコ動画・YouTubeにおけるVOCALOID楽曲 編集

  • グレーゾーンにて。
  • テノヒラ
  • ラインアート
  • とおせんぼ
  • 僕のサイノウ
  • 裏表ラバーズ
  • ずれていく
  • 積み木の人形
  • ローリンガール
  • ワールズエンド・ダンスホール
  • アンハッピーリフレイン
  • アンノウン・マザーグース

アルバム 編集

発売日 タイトル 収録曲
1st ミニAL 2009年11月15日 the monochrome disc
2nd ミニAL 2010年2月7日 World 0123456789
3rd ミニAL 2010年11月14日 SEVEN GIRLS' DISCORD
1st フルAL 2011年5月18日 アンハッピーリフレイン

楽曲提供・参加作品 編集

CD 編集

  • 『EXIT TUNES PRESENTS Supernova』(EXIT TUNES、2009年12月2日発売)
  • EXIT TUNES PRESENTS Vocalolegend feat.初音ミク』(EXIT TUNES、2010年1月20日発売)
    • VOCALOIDを用いた楽曲を収録したコンピレーション・アルバム。「裏表ラバーズ」を提供。
  • 『EXIT TUNES PRESENTS Supernova 2』(EXIT TUNES、2010年3月3日発売)
    • ネットで人気のミュージシャンの楽曲を収録したコンピレーション・アルバム。「ローリンガール」を提供。
  • 『LOiD-02 -postrock- LOiD's MiND』(LOiD、2010年3月17日発売)
    • VOCALOIDプロデューサーのインスト曲を集めたコンピレーション・アルバム。「delayed verb」を提供。同曲は『World 0123456789』収録のomake音源の別アレンジ版。
  • EXIT TUNES PRESENTS Vocalogenesis feat.初音ミク』(EXIT TUNES、2010年5月19日発売)
    • VOCALOIDを用いた楽曲を収録したコンピレーション・アルバム。「ローリンガール」を提供。
  • VOCAROCK collection feat. 初音ミク』(FARM RECORDS、2010年7月21日発売)
    • VOCALOIDを用いたロックを収録したコンピレーション・アルバム。「ワールズエンド・ダンスホール」を提供。
  • 『ニコニコ東方見聞録 原曲集』(BinaryMixx Records、2011年1月5日発売)
    • ニコニコミュージカルの公演「ニコニコ東方見聞録」へ提供した楽曲の原曲を収録したコンピレーション・アルバム。「ワールズエンド・ダンスホール」を収録。
  • Letters to U』(アニプレックス、2011年4月20日発売)
    • LiSAのミニアルバム。「覚醒屋」の作曲・編曲を担当。
  • 『「ニコニコ東方見聞録」歌ってみた 〜キャストボーカル集〜』(BinaryMixx Records、2011年4月27日発売)
    • ニコニコミュージカルの公演「ニコニコ東方見聞録」へ提供した楽曲を収録したコンピレーション・アルバム。ぽこた蛇足、野宮あゆみ、やまだん による「ワールズエンド・ダンスホール」を収録。
  • 『SUPER VOCALO BEAT』(ドワンゴ・ミュージックエンタテインメント、2011年6月1日発売)
    • VOCALOID曲をユーロビートにリミックスしたアルバム。「ワールズエンド・ダンスホール」を提供。歌い手は湯毛
  • VOCALOID BEST from ニコニコ動画 (あか)』(ソニー・ミュージックダイレクト、2011年6月22日発売)
    • ニコニコ動画でVOCALOIDを用いて発表された曲を集めたベストアルバム。「ワールズエンド・ダンスホール」を提供。
  • 『V.I.P Append(Marasy plays Vocaloid Instrumental on Piano)』(ドワンゴ・ミュージックエンタテインメント、2011年7月27日発売)
    • marasyのピアノソロアルバム。「ワールズエンド・ダンスホール」を提供。
  • 「antinotice」 /「花弁」(トイズファクトリー、2011年8月17日発売)
    • 秋赤音のシングル。「antinotice」の作詞・作曲を担当。
  • 初音ミク-Project DIVA- extend Complete Collection』(ソニー・ミュージックダイレクト、2011年11月9日発売)
    • ゲームソフト『初音ミク -Project DIVA- extend』の公式コンピレーションアルバム。ゲームに提供した「裏表ラバーズ」、「ローリンガール」を収録。
  • 『かえしうた』(dmARTS、2011年11月30日発売)
    • おさむらいさんによるVOCALOID楽曲のアコースティックギターによるソロアレンジカバーを収録したアルバム。「ワールズエンド・ダンスホール」を提供。
  • 『初音ミク DANCE REMIX Vol.1』(ビクターエンタテインメント、2011年12月7日発売)
    • VOCALOID関連楽曲のダンスリミックスアルバム。「ワールズエンド・ダンスホール」を提供。
  • LOVER"S"MiLE』(アニプレックス、2012年2月22日発売)
    • LiSAのファースト・アルバム。「EGOiSTiC SHOOTER」の作曲・編曲を担当。
  • 『TwinTail・TwinGuiter』(Royal Records、2012年5月9日発売)
    • 海賊王×[TEST]によるアレンジカバーアルバム。「ローリンガール」を提供。
  • 初音ミク 5thバースデー ベスト〜impacts〜』(ドワンゴ・ミュージックエンタテインメント、2012年8月1日発売)
    • 初音ミク発売5周年を記念したベストアルバム。「裏表ラバーズ」を提供。
  • 有形世界リコンストラクション』(ポニーキャニオン、2012年10月17日発売)
  • 『V-box』(dmARTS、2012年10月31日発売)
    • まらしぃのピアノアルバム。「アンハッピーリフレイン」を提供。
  • 『初音ミク -Project DIVA- F Complete Collection』(ソニー・ミュージックダイレクト、2013年3月6日発売)
    • ゲームソフト『初音ミク -Project DIVA- F』の公式コンピレーションアルバム。ゲームに提供した「アンハッピーリフレイン」、「ワールズエンド・ダンスホール」を収録。
  • LANDSPACE』(アニプレックス、2013年10月30日発売)
    • LiSAの2枚目のアルバム。「ヒトリワラッテ」の作詞・作曲・編曲を担当。
  • 『HATSUNE MIKU 10th Anniversary Album「Re:Start」』(ドワンゴ、2017年8月30日発売)
    • 初音ミク発売10周年を記念したコンピレーション・アルバム&ベストアルバム。「アンノウン・マザーグース」を提供。
  • 愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ」(トイズファクトリー、2020年4月15日発売)※3年前のレコーディング。

その他 編集

  • 『ミクうた、おかわり』(セガ、2010年3月25日発売)
  • 魔法少女まどか☆マギカ』BD/DVD第5巻(アニプレックス、2011年8月24日発売)
    • テレビアニメの映像ソフト。テレビ放送版ではエンディングテーマ曲が用いられなかった第9話での、BD/DVD版のみのエンディングテーマ曲「and I'm home」の作詞作曲を担当[23]。第9話の劇中で死亡した登場人物のキャラクターソングという体裁となっている。
  • 『初音ミク -Project DIVA- extend』(セガ、2011年11月10日発売)
    • ゲーム内でプレイできる楽曲として「裏表ラバーズ」、「ローリンガール」を提供。
  • 『初音ミク -Project DIVA- f』(セガ、2012年8月30日発売)
    • ゲーム内でプレイできる楽曲として「アンハッピーリフレイン」、「ワールズエンド・ダンスホール」を提供。
  • 『初音ミク -Project DIVA- F』(セガ、2013年3月7日発売)
    • ゲーム内でプレイできる楽曲として「アンハッピーリフレイン」、「ワールズエンド・ダンスホール」を提供。
  • プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク
    • ゲーム内でプレイできる楽曲として「裏表ラバーズ」、「ワールズエンド・ダンスホール」、「ローリンガール」、「アンノウン・マザーグース」、「アンハッピーリフレイン」を没後提供。

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ ヒトリエ「イマジナリー・モノフィクション」インタビュー”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ. 2019年4月8日閲覧。
  2. ^ 第1回講義録! 東大で注目の講義「ボーカロイド音楽論」全文掲載 - 東大新聞オンライン
  3. ^ a b インフォメーション | ヒトリエ | ソニーミュージック オフィシャルサイト
  4. ^ ボーカロイド“現実逃避P”からバンド活動へ 「ヒトリエ」wowakaの辿ってきた道”. クランクイン (2015年8月19日). 2015年8月19日閲覧。
  5. ^ 「この学生サークルが面白い! vol.16 東大音感」音楽主義より。
  6. ^ a b 『ボカロ神Pと超絶クリエイターたち〜才能が出逢う場所』ヤマハミュージックメディア、2011年、22-24頁。ISBN 978-4636867572 
  7. ^ a b 「ボカロPインタビュー」『Gekkayo』第426号、ゲッカヨ、2011年7月、26頁。 
  8. ^ “バンドとニコ動、2つの顔を持つ「裏表ラバーズ」作者の素性”. ascii.jp (アスキー・メディアワークス). (2010年2月13日). http://ascii.jp/elem/000/000/497/497898/ 2011年5月27日閲覧。 
  9. ^ 『VOCALOIDをたのしもう6』ヤマハミュージックメディア、2011年、40頁。ISBN 978-4-636-86584-4 
  10. ^ “米津玄師、wowakaさん訃報をRT 過去には「影響受けた人間の一人」とツイート”. デイリースポーツ online. (2019年4月8日). https://www.daily.co.jp/gossip/2019/04/08/0012223521.shtml 2019年4月8日閲覧。 
  11. ^ “ネットの音楽クリエーターたちが新レーベルを設立”. 日経トレンディネット (日経BP). (2011年3月5日). http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20110304/1034794/?ttr&rt=nocnt 2011年5月27日閲覧。 
  12. ^ “「毎回外さないようにしているのは焦燥感や、もやもやした気持ち」ニコ動ヒットメーカーwowakaが描く思春期の感情”. webDICE (アップリンク). (2011年5月20日). http://www.webdice.jp/dice/detail/3062/ 2011年5月27日閲覧。 
  13. ^ “「裏表ラバーズ」「ローリンガール」などを発表したボカロP&バンド・ヒトリエのwowakaさんが急性心不全のため死去”. にじめん (kusuguru). (2019年4月8日). https://nijimen.net/topics/22009 2019年4月8日閲覧。 
  14. ^ 岡田有花 (2019年4月8日). ““現実逃避P”wowakaさん急死 ニコ動に追悼と「ありがとう」 「裏表ラバーズ」など曲名もトレンドに”. ITmedia NEWS. https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1904/08/news104.html 2020年5月26日閲覧。 
  15. ^ 橋川良寛 (2019年4月28日). “「超ボカニコ2019」に見た“wowakaが残したもの” DJ’TEKINA//SOMETHING「『またどうせ見れるから』って言わないで」”. リアルサウンド テック: p. 1. https://realsound.jp/tech/2019/04/post-355387.html 2020年5月26日閲覧。 
  16. ^ “【知りたい】wowakaの6年ぶりボカロ曲“アンノウン・マザーグース”までを貫く世界観とは?”. rockinon.com. (2017年8月30日). https://rockinon.com/news/detail/166353 2019年4月8日閲覧。 
  17. ^ “ヒトリエ、wowakaボカロ楽曲「アンノウン・マザーグース」セルフカバー配信&サブスクリプション開始”. Musicman-net. (2017年10月23日). https://web.archive.org/web/20190408072812/https://www.musicman-net.com/artist/69960 2019年4月8日閲覧。 
  18. ^ ヒトリエ TOUR 2019”. ヒトリエ | Sony Music. 2021年2月20日閲覧。
  19. ^ wowakaさんの最後のツイート。” (2019年4月1日). 2024年2月12日閲覧。
  20. ^ “現実逃避P”wowakaさん急死 ニコ動に追悼と「ありがとう」 「裏表ラバーズ」など曲名もトレンドに”. 2020年8月29日閲覧。
  21. ^ ヒトリエwowaka追悼会、シノダが全曲熱唱「天国に聞こえるぐらいみんなで歌おう」”. 音楽ナタリー (2019年6月3日). 2023年9月4日閲覧。
  22. ^ ヒトリエ/wowaka”. YouTube. 2024年4月16日閲覧。
  23. ^ 丹羽一臣 (2011年7月23日). “「まど☆マギ」さやか&杏子の公式キャラソン 作曲はニコ動で活躍のボカロP”. ニコニコニュース (ニワンゴ). https://news.nicovideo.jp/watch/nw90829 2011年8月24日閲覧。 

関連項目 編集

外部リンク 編集

公式サイト 編集

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