泔坏(ゆするつき)は、日本平安時代以後にもちいられた、調髪のためののとぎ汁、白水(しろみず)をいれる容器。

「類聚雑要抄・巻4」にある泔坏

白水は、性、冷たいもので、これをにつけて髪をけづると、人の血気を下げる効用があるとされた。「つき(坏)」は、まるみのある器。

ゆするつきは、蓋付きの茶碗茶托のうえに置いたようなかたちである。木製で、漆塗りのうえに蒔絵をほどこす。また金銅もしくはで製し、毛彫りをほどこしたものもある。これを台に置いた。

台は、尻ともいわれ、周縁は2分高く、小文唐錦を敷き、5本の足があり、高さは7寸5分、金物を打ちつけ、5箇所で緒を総角(あげまき)に結び垂らし、足の下も環になっている。

ゆするつきと台を二階厨子(二階棚)のうえに置き、室内装飾とした。

『雅亮装束抄』の母屋廂の調度立る事の条に、二階を立てることを記し、「はしに泔坏を置く台あり、錦の表押したり、泔坏蓋あり、皆金なり」と、また童殿上のことの条に、「泔坏に水入れて、柳 に置きて具すべし」とある。

なお、男子の元服の際に髪を整えるための湯水を入れた泔坏を扱う役を「泔坏」と称した[1]

脚注 編集

  1. ^ 浜口誠至『在京大名細川京兆家の政治史的研究』思文閣出版、2014年、P96。