アウトリガー英語: outrigger)は、舷外浮材(げんがいふざい)とも訳し、安定性を増し転覆を防止するために、外(通常、船体の横)に突き出して固定される浮きである。転じて、船舶に限らず、安定性を増すために側部に突き出した装備も意味する。

元は海事用語で、舷外に突き出した装具全般(突き梁、クラッチ受けなど)を意味する。rig艤装・装備の意味である。

艤装 編集

 
カヌーのアウトリガー

アウトリガー艤装の一種であり、主船体から支柱によって側部(片側または左右)に突き出された細長い小船体である。

アウトリガーカヌーや小型帆船などにおいて、元来不安定である単胴の主船体を安定させるために用いられる。アウトリガーは主船体と平行に舷縁を越えて側部に固定され、船体の転覆の可能性を減じさせる。船体の片方のみにアウトリガーが用いられる場合には、アウトリガーの浮力が装着方向への転覆を防ぎ、アウトリガーの重さが反対方向への転覆を防ぐ。

派生した用法 編集

建設機械 編集

 
アウトリガー(車体横の赤い部分)
 
アウトリガーで車体を支持しているので車輪は浮いている

建設機械のアウトリガーとは、クレーン車や高所作業車コンクリートポンプ車などでアームを伸ばしたり物を吊ったりする際に、車体横に張り出して接地させることで車体を安定させる装置である。

重心位置が大きく移動するこれらの車両で、サスペンションスプリングタイヤのたわみによる動揺を排除し、実質的な底辺長を増す目的で使用される。真横に張り出すものが多いが、X字になるように展開させるものもある。走行装置が無限軌道である車両でもアウトリガーが装備される場合がある(駐鋤)。

作業時はアーム(ブーム)の伸長前に、しっかり張り出して車体が水平になるように固定する。横方向への引き出しは手動または油圧などの動力だが、多くの場合、接地させるための上下動作は動力である。転倒事故防止のため、これらの機械や車両の作業時にはアウトリガーを展開することが日本の法令上で義務づけられている[1]

軟弱地盤での作業や、アウトリガーに大きな荷重が掛かることが予想される場合、接地面積を増し、面圧を下げ、地面の陥没を防ぐために鋼板を敷く必要がある。

ほとんどのアウトリガーを装備したクレーン車両では、アウトリガーを展開させないと油圧がアーム部分に掛からず、操作レバーを操作しても大半の操作が出来ない安全装置(フェイルセーフフールプルーフ機構)が搭載されている。

スキー 編集

 
手前の人物が使用しているもの

スキーのアウトリガーとは、障害者スポーツチェアスキーで用いられる補助具である。

脚の障害が重いクラスでストックの代わりに使用される。先端に小さなスキーがついており、グリップ(にぎり)部分につけられた紐で角度を自在に調節できる。

歩行等の際に杖としての使用も可能なようにできている。

脚注 編集