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アノマロカリス類Anomalocaridid、Radiotontan)は、基盤的な節足動物と考えられる古生物の1グループ。1対の前部付属肢を有し・眼柄にある複眼・対をなしに並んだ鰭(ひれ)をもつ海棲動物である。主にカンブリア紀の地層から出土する化石として知られ、中国アメリカカナダポーランドオーストラリアなどで発見されている。

アノマロカリス類
生息年代: Cambrian Stage 3–Lower Devonian
Laggania cambria 01.JPG
アノマロカリス類の一種ペユトイアの復元模型
地質時代
カンブリア紀Cambrian Stage 3[1] - デボン紀前期[2]
分類
: 動物界 Animalia
上門 : 脱皮動物 Ecdysozoa
階級なし : 汎節足動物 Panarthropoda
: (ステムグループ)
節足動物門 Arthropoda[3][4][5][6]
: †(和訳なしDinocaridida
: 放射歯目 Radiodonta
Collins, 1996
亜目 : アノマロカリス亜目
Anomalocarida
Vinther et al., 2014
英名
Anomalocaridid
Anomalocarid
Radiodontan
Radiodont
本文も参照

センチしか及ばないものもあるが、アノマロカリス類には数十センチ以上にも及ぶの種類が多く、既知のカンブリア紀動物の中で最大であるものをも含む。モロッコで発見されたものの中には、体長が2メートルほどにも及ぶものがある[5]。また、多くの種類が、活発な肉食動物であったと考えられている。

アノマロカリス類の体は化石に残りにくく、中間の期間の化石は残されていない。長い間、本群の生息期間はカンブリア紀に限定されると考えられてきた。しかし、デボン紀シンダーハンネスオルドビス紀エーギロカシスの発見によって、生息期間の記録がカンブリア紀を越え、数千万年も延長された[2]

目次

学名と総称編集

時期と文献によって、アノマロカリス類に採用した分類階級や該当する学名の定義はやや異なる。それに応じて、英語には「Anomalocaridid[5][7][8][4]」・「Anomalocarid[8]」・「Radiodontan[6][9][10]」・「Radiodont[11][12]」などの総称が用いられる。

特徴編集

アノマロカリス類の特徴は以下の例が挙げられる。基本として頭部には殻のような甲皮、放射状の歯、眼柄の付いた1対の複眼関節肢である触手(前部付属肢)を持ち、そして胴体には一連の(ひれ)状の付属肢とらしき櫛状の構造体「setal blades」が具わっている[9]

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上下に扁平または円柱状に近い体型で[15]体節制をもつ動物である。体は頭部・胴体部と大まかに分かれ、その間には"首"として区別できる集約した3-4節が見られる種類も少なくない[15][3][6][4]。ほとんどの表皮(クチクラ)は柔軟で、真の節足動物のように硬質化していないと考えられる[9]。また、この類として断言できるものに限れば、腹側には脚およびその接続部らしい構造が見当たらない[3]

頭部の甲皮編集

 
頭部に巨大な殻を持ったフルディア(旧復元)。

殆どのアノマロカリス類の頭部の前背側からには、甲皮のような硬組織の存在が発見されており、「head shield」・「cephalic carapace」・「head sclerite」など様々な通称をもつ。これは種によって背側中心のパーツ(H-element、dorsal carapace、dorsal plate、anterior sclerite)のみを持つものと、その両側に1対のパーツ(P-elements、lateral sclerites)が追加されて計3パーツを持つものがある[6][16][17]

遊泳性の獲物を摂る活発な捕食者であったと思われるアノマロカリスアンプレクトベルア科の頭部の甲皮は小さな円盤状であり、捕獲用の前部付属肢の可動範囲の邪魔にならない同時に防衛の役割をも果たしたと思われる[16]。一方で、底生性で堆積物から獲物を捕獲すると考えられるフルディア、および水中のプランクトンを摂る濾過摂食者とされるエーギロカシスなど多くのフルディア科の種類は[11]、頭部の甲皮が著しく発達しており、前方に向かって突き出した巨大な殻になっている[5][16]

Setal blades編集

 
ペユトイア(旧ラガニア)の復元模型。胴体背側には一連の櫛状構造体がある。

アノマロカリス類のそれぞれの体節の背面には、「setal blades」という櫛状の構造体がある。これは無数の細長い葉状附属体「lanceolate blades」から構成されており、管状の内部構造がそれぞれのlanceolate bladesの前縁部付近を貫通しながら繋がっていると思われる[5]。この部分は、中心から左右に区切れて対をなすものと、一面の構造体になって左右が完全に会合するものがある。背側のヒレが存在する場合、この構造の両端はその基部に接続する[5]。機能に関しては呼吸用の鰓であった可能性が多くの文献に挙げられており[3]、その表面にある表面積を増やした皺構造もこの仮説に裏付ける[5]。この構造体は近縁として考えられたオパビニアにも見られるが、胴体部の代わりにヒレの表面に張り付くという相違点がある[5]パンブデルリオンケリグマケラのヒレの表面にある繊毛状の構造も、この部位に相同であると考えられる[5]

多くのアノマロカリス類の部位と同様に、これも遺骸ないし脱皮殻から脱落しやすい部分であると考えられる[18]フルディアのはよく発達しているため化石例が少なからず見つかっており[18]、代わりにアノマロカリス属やアンプレクトベルア科においてこの部位が保存された化石は非常に稀である[6]。多くのアノマロカリス類の復元図には、この部分が描かれていないものがほとんどである。

触手編集

 
アノマロカリス・ブリッグシ(A)とかつてペユトイアのものと考えられてきた所属不明(B)の触手[19]

Frontal appendages」(前部付属肢[20])といい、他にも「grasping appendages」と呼ばれ、Megacheiraに近縁とされた時期では「great appendages」(大付属肢)扱いともされてきた[7]。アノマロカリス類の唯一の関節肢であり、口の前方に左右2本を持ち、多数の節に分かれ、上下に湾曲でき、造形はエビの腹部に似ている。様々な器官のうちこの付属肢は往々にして保存状態が最も良好な部分であるため、硬質であったと考えられる。アノマロカリス類の中で、触手のみによって知られる種類も少なくない[21]

触手の形態、特に腹面にある棘などの突起は種によって異なり、同定性質であると同時に、その動物の食性と生態を示唆する重要な部分ともされる[19]。例えばアノマロカリスのは典型的な捕脚状で、アンプレクトベルアライララパクスのはのように嚙合わせる大きな棘があり、ペユトイアフルディアのは数本のブレード状の突起を持ち、タミシオカリスエーギロカシスのは懸濁物食や濾過摂食に適した繊毛状の構造が並んでいる[5]。腹側の関節膜の面積から、その可動範囲を推測することもできる[8][21]

ライララパクスの化石に保存された神経系の痕跡により、この付属肢の神経は前大脳の前方に対応であると判明し、従って先節由来の有爪動物の触角と真節足動物の上唇に相同であると考えられる[4]

口(歯)編集

 
十字放射の円盤状の歯。

Oral cone」と呼ばれる円盤状の口器。頭部の下面、触手の付け根の後方にある放射状に並んだ歯構造であり、パイナップルの輪切りのような造形をもつ。そのうち最も発達した歯は典型的な「ペユトイア口」の十字放射(フルディアラガニアライララパクス)、または三放射(アノマロカリス)に並ぶものが知られる[3]フルディアの場合、開口部の奥にはノコギリ状の多重構造が加えている[15]

かつて、このような口はアノマロカリス類と環神経動物汎節足動物以外の脱皮動物)に特有の形質と考えられたが、アノマロカリス類の近縁であるパンブデルリオンは放射状に並んだ歯を持ち[22]、他の葉足動物からにもらしき口器が次々と発見される。そのため、この放射状の歯は必ずしもアノマロカリス類に限る派生形質ではないと思われるようになった(葉足動物#口器を参照)[23]

鰭(ヒレ)編集

 
背腹2列のヒレがあるエーギロカシス

「Flaps」ないし「lobes」といい、付属肢に由来で遊泳用の器官であると考えられる。腹側から両側に向かって張り出し、水平に並んでいる。多くの種類には、ヒレの基部は次のヒレに覆われる部分があり、後方から1対ずつ重なり合う構造をもつ。また、ヒレの外縁は往々にして筋のような構造があり、「strengthening rays」・「tranverse rods」・「veins」などと呼ばれ、ヒレを支える骨幹として機能をする部分と思われる[3]

通常は1体節に腹側からの1対のみ発見されていたが、エーギロカシスラガニアなどフルディア科のものは、背側から退化的なヒレ(dorsal flaps)の存在が確認されており、その付け根はSetal bladesに接続していた(この場合、腹側のヒレは「ventral flaps」と呼ぶ)。この発見により、アノマロカリス類の基本体制および他の汎節足動物の付属肢対応関係が書き替えられた(エーギロカシス#発見の意義を参照)[5]

多くの種類は体に並ぶ大きなヒレの他に、頭部の付近、いわゆる"首"に当たる部分にも3-4対の退化的なヒレ(head flaps、anterior flaps)が並んでいる[3][15]アンプレクトベルアなどの場合、この退化的なヒレの付け根には「gnathobase-like structure」(GLS)という顎基らしい構造をもつ[6][12]

尾部編集

 
1対の尾ヒレと1本の尾を具えたシンダーハンネス

多くのアノマロカリス類の胴体の後端には、対をなしに特殊化したヒレ状の付属体(tail fans、tail fins)がある。アノマロカリスライララパクスなどは3対、フルディアシンダーハンネスは1対、ラガニアエーギロカシスは尾ヒレを持たず、尾端は単純の鈍い突起である[5]。少なくともアノマロカリス・カナデンシスの場合、第3対の尾ヒレの間にはもう1本の小さな尾ヒレがある[3]アンプレクトベルア科のものは、1対の尾毛が加えている[24]シンダーハンネスは、尾ヒレの次には1本の剣状の尾がある[2]。アノマロカリス類の近縁とされたオパビニアケリグマケラも、それぞれ特殊化した3対の尾ヒレと1本の尾がある。

この尾ヒレの役割に関しては、遊泳の動作を安定させるために使っており[2]飛行機尾翼のように横安定性を維持し、鳥類尾羽のようにターンを行う効率を上げる機能をもつ、などの説がある[25]

内部構造編集

内部の器官は、消化管筋肉組織と神経系が発見されている。消化管は他のステムグループ節足動物(シベリオン科Gilled lobopodians)と基盤的な真節足動物と同様に、中腸は体節に応じて数対の分岐(消化腺)が並んでいる[26]。それより外縁の領域ではヒレの対数に応じた筋組織が詰まっている[3][4]。神経系はライララパクスの化石から最初に発見され、有爪動物に似通う単純なはしご形神経系である。脳の神経節は前大脳1つだけで、触手と複眼の神経はそれぞれ前大脳の前部と両側に繋がっている[4]

生態編集

 
三葉虫を捕食するアノマロカリス・サロンの想像図。

アノマロカリス類は自由遊泳の生活をする動物であったと思われる。当時の海棲動物の多くに比べると、アノマロカリス類は飛び抜けて敏捷だったと考えられる。体の脇のヒレを波打たせることにより、速いスピードでの移動や、水中停止などの動作もできたと思われる。この動作は、現生のエイや、コウイカの仲間と比較できる[27]。アノマロカリス類のクチクラは、彼らの獲物よりもしなやかであり、これにより動作に有利になっている。

かつては全般的に獰猛な捕食者であったと考えられたが、アノマロカリス類の生態は必ずしもそうとは限らず、多様だったと推測される。特にその食性を示唆する触手の形は、捕食性に適したアノマロカリス属の捕脚状とアンプレクトベルア属の鋏脚状から[19]ペユトイアフルディアの捕食籠のようになるものや[19][28]エーギロカシスタミシオカリスのような懸濁物食や濾過摂食に適した櫛状まで多岐していた[5][8][11]。体型・ヒレ・歯・眼など種によって各部位の相違点も、本群の生態と当時の食物連鎖における役割の多様性を示唆する[11]

代表的な例として、アノマロカリス属とペユトイア属(ラガニア属)を比較すると、アノマロカリスは流線型の体と発達した尾部のヒレを有し、複眼も大きく口の両側にあって、活発な遊泳性の捕食者であったことを示唆する[29]。一方で、ラガニアでは尾部のヒレを欠いており、体型はくびれの無い楕円形で、眼はやや小さく口の後方にあった。これらの特徴は能動的な捕食について不利であり、ラガニアを遊泳する濾過摂食者もしくは海底の底生動物を摂るものであったと考えられる[28][30]。他にも、ライララパクスは多くのアノマロカリス類とは対照的に小型で、鋏のような触手と1対の尾毛がある。フルディア属などの頭部には、体長の半分を占めるほどの大きな殻が具わっている。

長い間に三葉虫の捕食者と考えられてきたアノマロカリス属については、のちに三葉虫のような硬い生物を食べることができなかったと考えられる。この件に関する議論は該当記事を参照のこと。

発見史編集

 
アノマロカリス・カナデンシスの触手化石。かつてはコノハエビ類の腹部として考えられてきた。

ほとんどの部位は柔軟であったため、遺骸の各部分ばらばらになりやすく、フルディアの場合はその脱皮殻でも同様と考えられた[18]。そのため、完全な全身化石が残ることは非常にまれであり、散在した部位は、独立した別の生物やその一部と誤解されることもあった。

当初、化石は部分が発見され、口の前方につながっていた関節を持つ触手は、「アノマロカリス」(Anomalocaris)というコノハエビ類の腹部として記載されており[14]、全身像が復元されるまでは、この「甲殻類の腹部」と誤解されていた化石が、つねに頭部を欠いているのが謎とされていた。口の部分はクラゲの化石と考えられ、「ペユトイア」(Peytoia)と呼ばれた。また、胴体は海綿の一種と見なされ「ラガニア」(Laggania)と名付けられた[31]。それぞれが関係しているとは考えられていなかった。これらの要素が再構成された1980年代以降、何種類かのが発見記載された。それらは、触手の細部、尾部のヒレの有無、口の配置、その他の特徴に違いが見られる[32]。また、アノマロカリス類として再構成されるうちに、ある種のものとされた触手や口などの部位は、実は別の種類のものであり、混同されることがその後に判明したものもある[33]

「奇妙なエビ」を表す「Anomalocaris」(アノマロカリス)という名称は、もともとちぎれた前部付属肢に対して付けられた名称だったが、その後この動物体全体の名称として使用された。これはその後次々と再構成されたラガニア(現ペユトイア)やフルディアと同様に、学名の先取権の原則によるものである。

アノマロカリス類は、カンブリア紀を通じてごく一般的であり、ポーランドの初期カンブリア紀のバージェス型動物相の化石から発見されている。これは既知の最古の三葉虫化石と真節足動物の生痕化石に先んじるものであり、アノマロカリス類と真節足動物の間には中間的化石が欠如していることを示唆する[1]

分類編集

系統関係編集

汎節足動物

有爪動物



緩歩動物



様々な葉足動物側系統群)




シベリオン科




パンブデルリオン



ケリグマケラ




オパビニア



アノマロカリス類



節足動物






アノマロカリス類などを含んだ簡略化した汎節足動物の内部系統関係[5][8][18]

アノマロカリス類は、オパビニアパンブデルリオンケリグマケラなどと共に、節足動物葉足動物から一歩ずつ分化する過程に当たる、その系統発生の様子を推定する重要な動物群として注目される。これらの動物群はいずれも一連のヒレ状付属肢と特殊化した前部付属肢という共有形質が見られ、Dinocaridida[14]というステムグループ節足動物(節足動物の初期脇道系統)の1群としてまとめられる。一見では節足動物に類似しないが、いずれも基盤的な真節足動物らしい消化腺をもち[26]、特にアノマロカリス類は、関節肢(触手)と複眼など節足動物との重要な共有形質が出揃っている。アノマロカリス類の背腹2対のヒレや、パンブデルリオンなどの同時に葉足とヒレを持った体制も、節足動物二叉型付属肢の起源を示唆する形質と見なされる[5]。アノマロカリス類の頭部における背側の甲皮も、フキシャンフィア類オダライアなどの基盤的な真節足動物の頭部における小さな外骨格と同様に複眼と前大脳に対応(先節由来)であるため、相同性が挙げられる[17]

これらの動物は、節足動物のステムグループに属すると考えられ、そのうちアノマロカリス類、オパビニアと真節足動物はお互いの姉妹群とする知見が一般的である[8][34][35]デボン紀のアノマロカリス類であるシンダーハンネスの発見は、アノマロカリス類が真節足動物をも含んだ側系統である可能性も示していた[2]が、この異説はのちに否定的とされる向きがある[9]該当記事を参照)。

他にもMegacheira類に類縁と考え、お互いの大付属肢(前部付属肢)を相同器官と見なし、共に鋏角類のステムグループに属する[36]、もしくは放射状の歯に基づいて、汎節足動物以外の脱皮動物袋形動物および環神経動物 Cycloneuralia)に類縁する[7]などの異説が提唱されたが、いずれも多くの学説に否定的とされる[5][4]。前者は、神経解剖学的証拠に基づいてお互いの大付属肢は別の体節に由来する相似器官であると判明した[4]。後者の基準となった放射状の歯は、あくまでも脱皮動物共有原始形質にすぎず[23]はしご形神経系の発見も、アノマロカリス類と環神経動物の類縁関係を否定し、汎節足動物であることを示唆する強力な証拠となる[4]

近縁編集

 
アノマロカリス類の近縁であると考えられるオパビニア

近縁の古生物として、上述のオパビニアOpabinia)、パンブデルリオンPambdelurion)とケリグマケラKerygmachela)がある。いずれもアノマロカリス類と同様にDinocaridida綱に属し、一連のヒレと特化した前部付属肢を持ち、「Gilled lobopodians」(鰓のある葉足動物)とも呼ばれた動物群である。アノマロカリス類に似通う特徴は他にもいくつか見られ、例えばオパビニアの特殊化した尾ヒレ・「setal blades」を有し・眼が眼柄にあることが本群と共通し、パンブデルリオンは放射状の歯をもち[22]ケリグマケラ複眼様の多数のレンズからなる眼がある[37]

これらの動物のアノマロカリス類との主な相違点は、前部付属肢は左右開閉で関節肢化せず、アノマロカリス類とは逆の畳み方を持ったヒレ、鰓らしき櫛状構造「setal blades」がヒレの表面に張り付き、腹側には脚(葉足)が有する、などの特徴が挙げられる[5]。従って、これらの動物はアノマロカリス類より初期に分化し、葉足動物共有原始形質を色濃く備えた群であると見なされる[5]

カリョシントリプスCaryosyntrips)とククメリクルスCucumericrus)は、通常ではアノマロカリス類と見なされる[5][19][21][38]。しかしカリョシントリプスの触手は、左右開閉の構造をもつなどアノマロカリス類との相違点が見られており[39]、それ以外の部位も未だに発見されていない。ククメリクルスの触手は未だに発見できず、ヒレの下面には脚を具えており、しかも葉足と関節肢の中間的形態をもつ[40]。全身化石が出揃っていないこれらの古生物はアノマロカリス類として記載されるものの、アノマロカリス類としての形質がしばしば疑問視される。

下位分類編集

アノマロカリス類

カリョシントリプス





パラノマロカリス


アノマロカリス科

アノマロカリス・カナデンシス


アンプレクトベルア科

アノマロカリス・サロン




Laminacaris



Ramskoeldia




ライララパクス



アンプレクトベルア







タミシオカリス科

アノマロカリス・ブリッグシ



タミシオカリス



フルディア科

シンダーハンネス



Pahvantia



エーギロカシス



ペユトイア




スタンレイカリス



フルディア







記載された属のみを表記し、簡略化されたアノマロカリス類の内部系統関係[5][11]

アノマロカリス類とされるものは以下のが知られている。

新たな分類がVinther et al., 2014 により創設されて以降、アノマロカリス類(アノマロカリス亜目 Anomalocarida ないし放射歯目 Radiodonta)は以下の4つのに細分される[44]カリョシントリプスをこの類に含まれる場合、本属はどの科にも属しない基盤的なアノマロカリス類とされる[5][8][11]

アノマロカリス属は往々にして非単系統であるとされ、分岐学的にはタイプ種であるアノマロカリス・カナデンシスよりも、別のアノマロカリス類に近い系統に位置される種類がほとんどである[11][4][44]

本群とは見なされなかった古生物編集

 
アノマロカリス類として解釈され、否定的になったパラペユトイアの復元図。

希少かつ保存状態の良くない化石によって知られ[5][46]、長い間に「脚のあるアノマロカリス類」として復元されたパラペユトイアParapeytoia[7]については、2010年代以降から従来のアノマロカリス類とする復元が否定的になり、ヨホイアなどが属するMegacheira類という別系統の節足動物であると判明した[47][48][49][3][5][46]パラペユトイア#系統関係も参照)。最初はフルディア科の甲皮と考えられ、Tauricornicaris として記載された化石[16]も、のちにアノマロカリス類としての形質が否定的と見なされた[50]

参考文献編集

  • Briggs, Derek; Collier, Frederick; Erwin, Douglas. The Fossils of the Burgess Shale. Smithsonian Books, 1995.
  • James W. Valentine. On the Origin of Phyla. University Of Chicago Press, 2004.
  • Tim Haines & Paul Chambers. The Complete Guide to Prehistoric Life. BBC Books, 2005.
  • Conway Morris, Simon. The Crucible of Creation. Oxford University Press, 1998.

脚注編集

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  2. ^ a b c d e f Kühl, G.; Briggs, D. E. G.; Rust, J. (Feb 2009). “A Great-Appendage Arthropod with a Radial Mouth from the Lower Devonian Hunsrück Slate, Germany”. Science 323 (5915): 771–3. doi:10.1126/science.1166586. ISSN 0036-8075. PMID 19197061. 
  3. ^ a b c d e f g h i j C., Daley, Allison; D., Edgecombe, Gregory. “Morphology of Anomalocaris canadensis from the Burgess Shale” (英語). Journal of Paleontology 88 (01). ISSN 0022-3360. https://www.academia.edu/6947803/Morphology_of_Anomalocaris_canadensis_from_the_Burgess_Shale. 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l Peiyun Cong; Xiaoya Ma; Xianguang Hou; Gregory D. Edgecombe; Nicholas J. Strausfeld (2014). “Brain structure resolves the segmental affinity of anomalocaridid appendages”. Nature 513 (7519): 538–42. doi:10.1038/nature13486. PMID 25043032. 
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関連項目編集

外部リンク編集