アブロ ランカスター PA474

ランカスター PA474(Lancaster PA474)は、イギリス空軍が保有するランカスター B Mk.I爆撃機である。バトル・オブ・ブリテン記念飛行小隊英語版爆撃軍団英語版の象徴として参加している。

飛行中のPA474号機(2009年)

現存するランカスター爆撃機のうち、飛行可能な状態で保存されているのは、イギリス空軍が保有するPA474号機とカナダ軍用機遺産博物館英語版(CWH)が保有するMk.10MR FM213号機のみである[1]

歴史 編集

 
PA474号機と共に飛行するCWHのFM213号機(2014年)

PA474号機は、第二次世界大戦末期の1945年にチェスターからほど近いヴィッカース・アームストロングブロートン工場英語版で製造され、タイガー・フォース英語版(極東を活動地域とする戦略爆撃隊)に配属された。まもなくして日本が降伏して第二次世界大戦が終結し、PA474号機も任務を解かれた。その後、銃塔を取り外され、アフリカ東部および南部で活動する第82飛行隊英語版に写真偵察機として配属された[2]

第82飛行隊での任務を終えたPA474号機はフライト・リフューリング英語版社に貸し出され、無人航空機に改造された[2]。同社が別のリンカーン爆撃機を入手すると、PA474号機は航空大学に譲られ、ハンドレページ社が開発した層流翼の試験に用いられた[2]。この時、試験用の翼は機体後部の上面に垂直に取り付けられていた[2]

1964年、イギリス空軍博物館での展示を行う為、PA474号機は空軍歴史部英語版に管理されることになる[2]。この頃、映画『クロスボー作戦英語版』(1965年)および映画『ナヴァロンの要塞』(1961年)に出演している[2]。その後、第44飛行隊英語版からの要請を受けてワディントン空軍基地英語版に移され、戦時仕様への復元作業が施された[2]。この際に前方および後方の機銃が再び取り付けられている。

1973年、バトル・オブ・ブリテン記念飛行小隊英語版に配属される[2]。1975年、アルゼンチンで発見されたランカスター爆撃機の中央銃塔がPA474号機に取り付けられた[2]。1995年冬、機体寿命を延ばす為に翼の主けた(main spar)が新しいものに交換された[2]。2015年5月7日、右外側エンジンから出火するも、コニングスビー空軍基地英語版に無事着陸した[3]

脚注 編集

  1. ^ Avro Lancaster”. Canadian Warplane Heritage Museum. 2009年8月6日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j The Lancaster”. Battle of Britain Memorial Flight. 2009年8月6日閲覧。
  3. ^ Fisher, Paul (2015年5月7日). “BREAKING: BBMF Lancaster Bomber catches fire at RAF Coningsby this afternoon”. Boston Standard. 2015年5月8日閲覧。

外部リンク 編集