アルコールランプ
アルコールランプ(酒精灯[1]、酒精洋灯[2]、英: spirit lamp[3][4])は、燃料用アルコール(メタノールやメタノールとエタノールの混合アルコール)を燃料としたランプ。
概要編集
手軽に点火・消火できるので広く使われている。おおまかに分けると、照明に用いるものと加熱に用いるものがあり、形状が異なる。
種類編集
照明用と加熱用がある。
照明用は、たとえば高級レストランやバーなど、雰囲気(ムード)を重視する店のテーブルランプに用いられている。
加熱用はアルコールバーナー(英: alcohol burner)とも呼ばれ、次のような用途に使われている。
- サイホン式のコーヒー抽出装置でお湯を沸かすため。主にコーヒー専門店で使われるが、コーヒー好きな人の中には家庭でこれを使う人もいる。
- 初等教育の理科の実験の加熱用。試験管、フラスコ、ビーカー、蒸発皿などを加熱するのに使う(使っていた ※)。
- 微生物の専門家が屋外で加熱したい場合、携行用の簡素なアルコールランプを使うこともある。
- ※近年の日本では、子供がマッチやライターの扱いを知らない[注釈 1]、危険性を気にせず実験に集中させたい、などの思惑から、小学校の理科の教科書からアルコールランプの記述が消えた[5]。2005年度から、低学年用の教科書の多くでガスコンロを推奨している[6]。また高学年生や専門家などは、火力が強く火が安定しているガスバーナーを使うようになる。
加熱用編集
加熱用のアルコールランプ本体は、主に次のパーツで構成される。
- アルコールを入れる容器(ガラス製、金属製、耐熱樹脂製などがある)
- 燃芯になる太い紐状の芯
- 芯を支える部分
- 蓋(キャップ)
アルコールにひたされた芯の一端が瓶の口から出ており、ここに火をつけて用いる。芯の内部をアルコールが毛細管現象により吸い上げられて燃えるが、芯自体は先が焦げるものの、そこから下はほとんど燃えずに炎を上げ続ける。
実験で試験管を加熱する場合は、試験管の底あたりを、炎であぶる。 フラスコやビーカーを加熱する場合はいくつか方法があり、ひとつは三脚(五徳)の上に「セラミック金網」などと呼ばれるものを配置しそれらの下にランプを置く方法であり、もうひとつの方法は下の写真のような支持装置を使う方法である。
消火する時には、蓋(キャップ)を横側から寄せつつ芯の部分にかぶせる。
最近では、ループ状の銅管の内部にガラス繊維などでできた芯が通してあり、この銅管に開けられた小さな孔からメタノール蒸気を噴出させて燃焼させるトーチ式のものも多い。
出典編集
- ^ 三省堂百科辞書編輯部編 「アルコールランプ」『新修百科辞典』 三省堂、1934年、102頁。
- ^ 落合直文著・芳賀矢一改修 「あるこおるらんぷ」『言泉:日本大辞典』第一巻、大倉書店、1921年、161頁。
- ^ 守誠・著『小学校で習った言葉 さか上がりを英語で言えますか?』64ページ1行目左列より。
- ^ 守誠・著『小学校で習った言葉「行ってきます」を英語で言えますか?』2ページ16行目、68ページ2行目より。
- ^ “「マッチを使える子どもが激減」アルコールランプが学校から消えた衝撃の理由”. ABEMA TIMES (2020年8月16日). 2020年8月19日閲覧。
- ^ 学校から消えたもの?の巻 - スマ町銀座商店街(2015年4月6日付、同日閲覧)
注釈編集
- ^ 余談ではあるが2010年以降製造のライターはCR(チャイルド・レジスタンス)機構が義務化されたため、握力が発達途上の小学生には多少扱いづらいものとなっている。
関連項目編集
外部リンク編集
- アルコールランプ 理科ねっとわーく(一般公開版) - ウェイバックマシン(2017年10月3日アーカイブ分) - 文部科学省 国立教育政策研究所