イラン学 (Iranian studies、Iranology、Iranistics) は、 イランの文化英語版の総合的認識を目的とする学問で、東洋学におけるより広い分野の一部である。

概要編集

イラン学は、楔形文字による古代ペルシア語、およびアラビア文字によるイスラーム化以後のペルシア語の資料を対象とする。ペルシア文学よりもより広いものである[1]。また、イランの文化を研究するイラン研究の総称[1]。古代オリエント学の諸分野の1つ。広くイランの民族・文化全般を扱うイラン学は、オリエント学よりも長い時期を研究対象とするが、楔形文字を使用した(アケメネス朝時代の)古代ペルシア語文化も扱っているため、この場合はオリエント学(もしくはアッシリア学)の一部門とみなされる[1]

前近代イランにおけるイラン研究編集

楔形文字の古代ペルシア語碑文やパフラビー文字の碑文などの解読、アヴェスターソグド語コータン語などの出土文書など言語学的研究からイラン学は始まったとされ、古期および中期のペルシア語研究が進んだ。ヴィルヘルム・ガイガークーンE.Kuhn氏らによる「イラン言語学概論 (1895年1904年)」などはそれらによるもの[1]

現代イランにおけるイラン研究編集

イラン言語学によりパミール方言などのイラン文化圏の方言調査も行われ、イラン学の言語学的基礎が20世紀に入ってから成立した。イランの歴史は約2500年にもわたる非常に長いものであり、他民族の侵入・支配や政治的断絶など様々な問題が起きてきたが、イランの文化の伝統への認識は高まった[1]。そのため、イランの文化は西アジアインド中央アジアなどにもその影響を残している[1]ペルシア文学に関しては、イラン学の中で最も研究が行われている[1]ゾロアスター教マニ教などの宗教や、シーア派の問題などのイスラム教の歴史英語版におけるイラン人の貢献などは、宗教学哲学社会学などの分野として扱われる。近年では前述のゾロアスター教の研究や、近世におけるシーア思想の見直しなども行われている[1]。イランの美術品工芸品が収蔵されている美術館は世界各地に存在する[1]。また、ペルセポリスなどの遺跡を研究する考古学的な分野もイラン学には含まれる。こうした、イランの美術や考古学の比較研究は、東西文化交流などユーラシアにおける文化の研究にも貢献している。イラン学によってもたらされる、イランの文化の愛好者やイラン学者は、世界各地にいる。しかし、ペルシア語による文献はオリジナルのままのことが多く、ほとんどは刊行されたり翻訳されたりしていない[1]

出典編集

関連項目編集