インクリングズInklings、仄聞会)は、オクスフォード大学において、文芸についての討論を行っていたグループである。メンバーはJ・R・R・トールキンC・S・ルイスなどであった。活動期間は1930年代から1949年[1][2]である。

概要 編集

主にメンバーの未完成作品の読合わせと討論が行われた。トールキンの『指輪物語』、ルイスの『マラカンドラ 沈黙の惑星を離れて』、ウィリアムズの『万霊節の夜』などがインクリングズで最初に読まれた小説である。インクリングズとは、「構想途上にあってインクをぱちゃぱちゃさせているだけであったり、仄めかしを聞かせるばかりで一向に筆が進まないインク使い達」のことを洒落にしたものだとトールキンは説明している。

インクリングズの読みあわせと討論はおおむね毎週火曜の夕べにオクスフォード大のモードリン寮のルイスの部屋で行われた。また、セント・ジャイルズ通りのパブの「ザ・イーグル・アンド・チャイルド(鷲と子供亭)」に集結することでも知られた。そこは、彼らの間では「鳥と赤ん坊亭(ザ・バード・アンド・ベイビー)」、さらに略して「鳥(ザ・バード)」ともいう名で呼ばれていた。ただし、彼らはパブでは原稿は読むことはなかった。

メンバー 編集

脚注 編集

  1. ^ Kilby, Clyde S., and Mead, Marjorie Lamp, eds. (1982) Brothers and Friends: the diaries of Major Warren Hamilton Lewis, p. 230. San Francisco: Harper and Row
  2. ^ 中野 & 市田 1978, pp. 293によると1949年10月20日が最後の開催

参考文献 編集

  • ハンフリー・カーペンター 著; 中野善夫 訳; 市田泉 訳『インクリングズ ルイス、トールキン、ウィリアムズとその友人たち』河出書房新社、1978年。ISBN 4-309-20584-4