インジール
イスラム教
編集イスラム教においては、預言者イーサー(イエス)に下された神(アッラーフ)の啓示の事であり、真性な神とキリスト教徒の共同体(ミッラ)との間に結ばれた契約のひとつであると見なされる。このことから、ムスリム(イスラム教徒)はキリスト教徒のことを指して「インジールの民」と呼ぶこともある。
ムスリムはしばしば誤解されるようにクルアーンのみを啓典としているわけではない。インジールも啓典のひとつとしている。しかし、啓典ではあっても原典は現存しておらず、キリスト教各派によって異同があることから、神の言葉をそのまま写し取ったものではないと考えており、神の言葉を啓示されたそのままに伝えるクルアーンに比べて劣ったものと見なす傾向がある。
また、クルアーンはアラビア語によるアラブ人の共同体の啓典であるが、同時に最後の預言者であるムハンマド・イブン=アブドゥッラーフを通じて全世界の民に下された啓典であり、全世界の民が可能な限りクルアーンを啓典と認めてムスリムの共同体(ウンマ)に加わることがムスリムの大理想とされる。
キリスト教
編集キリスト教徒のアラブ人にとって、インジールとは神(アッラーフ)から神の子イエス・キリストに対する啓示・福音あるいは福音書を意味する。