イーヴァ・ヴィトフェルト (海防戦艦)

イーヴァ・ヴィトフェルト (Iver Hvitfeldt) はデンマーク海軍海防戦艦。デンマーク海軍での類別は装甲艦 (pandserskib, panserskib) であった[2]。艦名は、17から18世紀のデンマーク・ノルウェーの海軍士官の名前である[3]

1890年の「イーヴァ・ヴィトフェルト」[1]
「イーヴァ・ヴィトフェルト」の図面

1884年4月9日起工[3]。1886年4月14日進水[3]。1887年6月1日就役[3]。建造費は3935600クローネであった[3]

鋼鉄製の船体で、水線上に2層の全通甲板を有し、艦中央部には装甲砲廓があった[4]。艦首、艦尾には舷弧が付けられ、航洋性向上が図られていた[5]。排水量3392トン、全長74.02メートル、幅15.12メートル[3]吃水は艦首5.31メートル、艦尾5.60メートルであった[3]

主砲はクルップ35口径10インチ554ctr後装砲2門で、上構の前後に配置された露砲塔に1門ずつ搭載された[6]。射程は9500メートルで、後に12600メートルに延ばされている[7]。砲廓の両側には、クルップ30口径5インチ43str後装砲が4門とホチキス44口径57㎜速射砲が2門が搭載された[7]。他にホチキス37㎜5砲身回転機砲が8門が搭載されている[7]。1897年に回転機砲2門がマキシム37㎜機砲2門に、1906年から1907年に5インチ砲4門がホチキス44口径57㎜砲8門に換えられた[8]。57㎜砲の内、1910年に4門は撤去され、他6門はホチキス47㎜速射砲に換えられた[8]。撤去されたものは「スキョル」に搭載されている[8]。1893年にマキシム8㎜機銃2挺、1897年にノルデンフェルト0.45インチ5銃身機銃2挺が追加された[8]。水雷兵装は38㎝水中魚雷発射管1門が艦首に、35.5㎝水上魚雷発射管が艦中央部に2門と艦尾に1門搭載された[7]。その内、艦中央部のものは1904年に撤去された[8]

機関は、ブアマイスタ&ウェーイン社製水平2気筒2段膨張式蒸気往復動機関2基、円缶8基で出力5100指示馬力[9]。2軸推進で、速力は15.1ノットであった[9]。石炭搭載量は250トンで、航続距離は9ノットで1600浬であった[9]

装甲は水線装甲帯が厚さ292㎜であり、その範囲は艦中央部の32.5メートルであった[7]。砲廓側面と前後面の装甲は厚さ240㎜、甲板は54㎜、砲塔のバーベットは216㎜で、司令塔は115㎜の複合装甲鈑と38㎜の厚鋼板であった[10]

時期により、水雷艇2隻や大型蒸気哨戒艇2隻が搭載されている[8]

1903年12月18日、コペンハーゲンで艦内火災が発生した[8]。1909年に装甲守備艦 (pansrede defensionsskib) に類別され、1912年には守備艦 (defensionsskib) に名称変更された[11]。1918年には予備宿泊艦となった[2]。1919年2月26日除籍[8]。コペンハーゲンのフィリプスン社に売却された[8]

脚注 編集

  1. ^ 『海防戦艦』53ページ
  2. ^ a b 『海防戦艦』27ページ
  3. ^ a b c d e f g 『海防戦艦』54ページ
  4. ^ 『海防戦艦』54-56ページ
  5. ^ 『海防戦艦』55-56ページ
  6. ^ 『海防戦艦』54、56ページ
  7. ^ a b c d e 『海防戦艦』55ページ
  8. ^ a b c d e f g h i 『海防戦艦』57ページ
  9. ^ a b c 『海防戦艦』56ページ
  10. ^ 『海防戦艦』55-57ページ
  11. ^ 『海防戦艦』27ページ。同書57ページには1909年に守備艦に類別とある。

参考文献 編集

  • 橋本若路『海防戦艦 設計・建造・運用 1872~1938』イカロス出版、2022年、ISBN 978-4-8022-1172-7

関連項目 編集