ウラーン (駆逐艦)
ウラーン (SMS Ulan) はオーストリア=ハンガリー帝国海軍の駆逐艦。フサール級。艦名は槍騎兵のことである[1]。
艦歴
編集1905年9月27日起工[2]。1906年4月8日進水[2]。同年9月21日竣工[2]。
第一次世界大戦
編集モンテネグロのオーストリア=ハンガリー帝国に対する宣戦布告後、オーストリア=ハンガリー帝国はモンテネグロ沿岸の封鎖を宣言[3]。1914年8月16日、封鎖任務に就いていた巡洋艦「ツェンタ」と駆逐艦「ウラーン」はアドリア海に進入してきたフランスの主力艦隊に捕捉された[4]。「ツェンタ」艦長は「ウラーン」にカッタロへ逃げるよう命じると降伏を拒否して戦い、「ツェンタ」は撃沈された[5]。「ウラーン」はフランス戦艦「クールベ」、「ジャン・バール」からの攻撃を受け、また巡洋艦「ジュリアン・ド・ラ・グラヴィエール」に追跡されたものの逃げ切ることができた[6]。
8月28日、「ウラーン」はモンテネグロの沿岸陣地を砲撃[7]。9月17日にはバール近くの無線局を砲撃する戦艦「モナルヒ」を駆逐艦「シャルフシュツェ」とともに掩護した[8]。
10月17日夕方に駆逐艦「シャルフシュツェ」が、夜には駆逐艦「ウラーン」と「シュトライター」がアンティバリの港を砲撃した[9]。または、10月18日夜に駆逐艦「ウラーン」、「シャルフシュツェ」、「シュトライター」、「ウスコケ」はアンティバリ港内に入り砲撃を行った[10]。
11月29日、「ウラーン」は駆逐艦「ブリッツ」などと共にコトル湾に侵入したフランス潜水艦「Cugnot」を追いかけた[11]。
12月17日、「ウラーン」はマカルスカへ向かう潜水艦「Ub.12」と母艦「Emma」を護衛した[7]。
1915年3月1から2日の夜、駆逐艦「ウラーン」、「チコーシュ」、「シュトライター」、水雷艇「57」、「66」、「67」がアンティバリ港を攻撃[12]。この時は水雷艇が港内に入り、駆逐艦はそれを掩護した[12]。この攻撃ではモンテネグロのヨット「Rumija」が沈んでいる[13]。
6月19日に「ウラーン」は巡洋艦「アドミラル・シュパウン」、「ノファラ」などとともにリミニ攻撃に参加した[14]、とも[15]。10月25日、Novigrad付近で潜水艦の雷撃を受けたが、魚雷は外れた[14]。
1918年2月、エルツヘルツォーク・カール級戦艦をプーラから反乱の起きたコトル湾へ護衛した[16]。
戦後
編集要目(1913年以降)
編集- 長さ:68.38m
- 幅:6.25m
- 満載排水量:414トン
- 速力:28.4ノット
- 兵装:45口径7cm砲1、30口径7cm砲5、45cm魚雷発射管2
出典[18]
脚注
編集- ^ Austro-Hungarian Destroyers in World War One, p. 58
- ^ a b c Austro-Hungarian Warships of World War I, p. 42
- ^ Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 27
- ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, pp. 96-97, Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, pp. 8, 27
- ^ Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, pp. 8, 27
- ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 97, Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 8, Clash of Fleets, Battle of Antivari
- ^ a b Austro-Hungarian Destroyers in World War One, p. 64
- ^ Austro-Hungarian destroyers in World War One, p. 70
- ^ Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 28
- ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 117
- ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 121
- ^ a b The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 149
- ^ Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 29
- ^ a b Austro-Hungarian Destroyers in World War One, p. 65
- ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 182によれば、装甲巡洋艦「ザンクト・ゲオルク」、巡洋艦「シゲトヴァール」、水雷艇2隻がリミニなどを攻撃
- ^ a b Austro-Hungarian Destroyers in World War One, p. 67
- ^ a b Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 46
- ^ Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 18
参考文献
編集- Zvonimir Freivogel, The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, Despot Infinitus, 2019, ISBN 978-953-8218-40-8
- Zvonimir Freivogel, Austro-Hungarian Destroyers in World War One, Despot Infinitus, 2021, ISBN 978-953-366-051-6
- Ryan K. Noppen, Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, Bloomsbury Publishing, 2016
- René Greger, Austro-Hungarian Warships of World War I, Ian Allan, 1976, ISBN 0-7110-0623-7
- Vincent O’Hara, Leonard Heinz, Clash of Fleets: Naval Battles of the Great War 1914-18, Naval Institute Press, 2017(電子版)