オルグ (社会運動)

オルグとは、団体が組織拡大のために、主に労働者・学生に対して、宣伝・勧誘活動で構成員にする行為、又はその勧誘者を指す。この言葉そのものはいわゆる既成左翼・新左翼の内部の肯定的利用、又は外部による批判利用、カルト的宗教団体勧誘批判[1]の意味で主に使われている[2][3][4]。この項目では、主に日本の新左翼における組織拡大のための勧誘行為、行為者について記述する[5]

オルグは、英語のorganizeの略称「org」に由来する。オルグを担当する者をオルガナイザー(Organizer)という。

概要編集

1960年代から1970年代にかけては、安保闘争など大衆運動のネタに事欠かなかったため、左翼各党派は比較的容易に構成員を獲得することができた。

ところが連合赤軍の総括に代表される残虐性や内ゲバが広く知られたことにより、新左翼のイメージは大暴落して構成員の獲得が従来に比べて困難になった。

そのため、時間をかけてじっくりと構成員を獲得していくノウハウが各党派間で編み出されていった。

一方、成田闘争においては現在も中核派などが空港反対派の農民に対して無償奉仕することで組織に取り込み、構成員に仕立てていくオルグ活動を続けている。

勧誘手段編集

選定編集

まず、最初に構成員たるに相応しい人物の選定が行われる。選定の場として利用されるのが大学クラブ活動である。新左翼党派は拠点校となっている大学に偽装サークルを数多く設けて、学生を待ち構えている。これらの偽装サークルは「○○問題研究会」といった知的・真面目な雰囲気を醸し出しており、これに関心を持つ学生も真面目なタイプが多い。そういった学生を最初は偽装サークルに入会させるのである。

そして新入会員に対して、これまでの経歴や性格や家族構成など様々な項目の調査が秘密裏に行われる。この調査を通じて、以下に該当する者が構成員候補として選ばれる。

  • 反社会的人格を持つ人物であること。
  • 親族警察官など「権力機関の構成員」がいないこと。
  • 社会問題に関心はあるものの、特定の価値観に染まっていないこと。

構成員候補への工作編集

構成員候補として選ばれた者は、日々のサークルの学習会とは別に、個別の学習会が行われる。この勉強会では「現代社会の矛盾は資本主義体制にあり」といった新左翼党派のイデオロギーに沿った学習が行われ、次第に「資本主義体制に抗う革命家」を自己の存在理由とするように仕向けるのである。

性的関係に持ち込むことで構成員に勧誘する手法(肉体オルグ)も利用されており、末端の構成員獲得に多大な貢献をしている。

構成員獲得編集

そしてある程度理解が深まったら、正式に構成員として認められる。こうして得られた構成員は信念が強く組織に対する忠誠心が高いと評価されている。

参考文献編集

  • 月刊「治安フォーラム」2009年5月号(立花書房

関連項目編集

  1. ^ 特に大学キャンパス内で勧誘活動をするカルト団体の勧誘批判に使われている。
  2. ^ スリランカ連続テロ 地元グループをIS(イスラム国)がオルグか?(黒井文太郎) - Yahoo!ニュース” (日本語). Yahoo!ニュース 個人. 2021年5月7日閲覧。
  3. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “【戦後70年~沖縄(4)】祖国復帰(下) オルグされた教師たち「僕たちは労働者…」 主婦らが政府動かす「私たちこそ沖縄代表!」” (日本語). 産経ニュース. 2021年5月7日閲覧。
  4. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “【法廷から】「日本赤軍に入るつもりなかった」と語った城崎勉被告の真意とは? 「革命用語」飛び交い法廷はまるで歴史教室に…” (日本語). 産経ニュース. 2021年5月7日閲覧。
  5. ^ 日本国語大辞典,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),デジタル大辞泉,精選版. “オルグとは” (日本語). コトバンク. 2021年5月7日閲覧。