ガンゼキラン(Phaius flavus (Blume) Lindl.)は、単子葉植物ラン科に属する多年草である。形の上ではエビネによく似ているが、花の形はかなり異なっている。観賞用に栽培されることも多い。

ガンゼキラン
ガンゼキラン
保全状況評価
絶滅危惧II類環境省レッドリスト
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: ラン目 Orchidales
: ラン科 Orchidaceae
: ガンゼキラン属 Phaius
: ガンゼキラン P. flavus
学名
Phaius flavus
(Blume) Lindl.
和名
ガンゼキラン
図版

特徴

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常緑樹林内の地上に生える地性ランで、地表には偽球茎が並ぶ。偽球茎は卵形で高さ3cmにもなる。葉は数枚が偽球茎の先端から伸びる。その基部は葉鞘状に巻いて少し伸び、先端で葉身が分かれ、大きいものは高さ50cm程に伸びる。葉は楕円形で大きく、少し縦しわがある。

は初夏に咲く。偽球茎の基部の横から花茎が伸び、葉の上近くまで出て十数個前後の花を穂状につける。花は鮮やかな黄色。花弁はやや細長く、全体に筒状に咲いて花びらは広がらない。唇弁には縦じわが多く、やや赤みが濃くなっている。

日本国内では本州では静岡県紀伊半島、およびそれ以南の四国九州伊豆諸島琉球列島に分布し、国外では台湾からフィリピンマレーシアインドに分布する。

利用

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古くからエビネ類とともに観賞用に栽培された。花も喜ばれるが、葉が黄色い水玉模様斑入りになる株があり、これもよく栽培された。この斑入りのものを特にホシケイランと呼ぶ。

ただし、このように採集が行われたために、現在では日本国内では野生株を見るのは困難な状況にある。

性質は強健であるが、凍結させると株が弱ってしまう。また、乾燥を嫌う。

近似種

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この種を含むガンゼキラン属は熱帯アジアを中心に約50種が知られる。日本では屋久島以南にカクチョウラン(P. tancarvilleae (Banks) Blume)がある。姿はガンゼキランに似るが、高さ1mになる、日本で最も大きな地生ランである。花皮片外面は蝋細工のように白く内面は赤褐色、唇弁の内側と先端近くが濃い紅色をしている。これもツルランリュウキュウエビネなどとともによく栽培される。