キアン(Khyan, 在位:紀元前1630年頃 - 1610年頃または 1610年頃 - 1580年頃)は、古代エジプト第15王朝の第3代ファラオ(王)

キアン
Khyan
キアンのカルトゥーシュが刻まれたライオン(大英博物館蔵)
キアンのカルトゥーシュが刻まれたライオン(大英博物館蔵)
古代エジプト ファラオ
統治期間 紀元前1630年頃 - 紀元前1610年頃
または紀元前1610年頃 - 紀元前1580年頃,エジプト第15王朝
前王 ヤコブヘルあるいはサハルキル
次王 アペピ
子息 ヤナッスイ
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概要 編集

ヒクソスの王たちの中では比較的多くの記録が残っている人物である。第15王朝の首都アヴァリスの宮殿跡からはキアンの名前をカルトゥーシュで囲んだ印鑑が見つかっている。この宮殿の壁からはギリシャミケーネ様式の壁画の跡も残っており、当時のヒクソスがエーゲ文明と接触していたことが明らかになった。また、ミノア文明の中心地であるクレタ島クノッソス宮殿からもキアンの名前を記した水差しが発見され、ヒッタイトの首都であるハットゥシャでも名前が確認されている。そして、キアンのものと思われる花崗岩製のスフィンクス像に至ってはイラクバグダッドの美術市場で発見されているため、バビロニアとも外交関係にあった可能性がある。このように、キアンにまつわる遺物の多くが当時のヒクソスが広範囲にわたる交易、外交を展開していたらしいことを示している[1]

家族 編集

アヴァリスから出土した石碑からヤナッスイという息子がいたことが判明している。しかし、キアンの後は彼ではなくアペピという人物が王位を継承している。

脚注 編集

出典 編集

参考文献 編集

  • ピーター・クレイトン『古代エジプトファラオ歴代誌』吉村作治監修、藤沢邦子訳、創元社、1999年4月。ISBN 978-4-422-21512-9 
  • エイダン・ドドソン、ディアン・ヒルトン『全系図付エジプト歴代王朝史』池田裕訳、東洋書林、2012年5月。ISBN 978-4-88721-798-0 
  • K.S.B. Ryholt, The Political Situation in Egypt during the Second Intermediate Period, c.1800-1550 BC (Carsten Niebuhr Institute Publications, vol. 20. Copenhagen: Museum Tusculanum Press, 1997).
先代
ヤコブヘル
あるいはサハルキル
古代エジプト王
前1630年頃 - 1610年頃
あるいは1610年頃 - 1580年頃
次代
アペピ