キヌクリジン
IUPAC名1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン
分子式C7H13N
分子量111.18
CAS登録番号100-76-5
形状無色固体
密度1.025 g/cm3, 固体
融点158 °C
沸点100–105 °C(4 mmHg)

キヌクリジン (quinuclidine) は複素環式アミンの一種である。分子式 C7H13N、分子量 111.18、CAS登録番号は100-76-5、IUPAC名1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン 1-azabicyclo[2.2.2]octane である。ピペリジンの架橋体とも言える構造を有している。1,4-エタノピペリジン1,4-エチレンピペリジンと呼ばれることもある。

天然物としてはキニーネの骨格に含まれている。「キヌクリジン」という名も、「quinine」+「nuclear」(核)から命名されたものである。合成医薬としては、頻尿治療剤ソリフェナシンなどがこの構造を含む。

性質・用途 編集

DABCOなどと同様に、環構造によってアルキル基が後ろ手に縛られた構造をとっているために窒素上の非共有電子対まわりの立体障害が小さく、鎖状のアミンと比較すると求核性が著しく高いことが特徴である。これを生かし、森田・ベイリス・ヒルマン反応の触媒などとして用いられることが多い。

キヌクリジンの2位がカルボニル基に置換されたキヌクリドン (quinuclidone) は、アミドでありながら加水分解しやすく、を作るなど、通常のアミドとは違った性質を示す[1]

参考文献 編集

  1. ^ Tani, K.; Stoltz, BM. (2006). "Synthesis and structural analysis of 2-quinuclidonium tetrafluoroborate." Nature 441 (7094): 731–734. doi:10.1038/nature04842. PMID 16760973.

外部リンク 編集