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コールタール(coal tar)とは、コークスを製造する時にコークス炉で石炭乾留して得られる副生成物の一つ。黒色の液体で芳香族化合物に独特の臭気(タール臭)を持ち、ナフタレンベンゼンフェノールクレゾールペンゾ[a]ピレンフェナントレンを含む。IARC発がん性リストのグループ1(発癌性あり)に分類されている。

コールタールの2016年度日本国内生産量は 1,380,943 t 、工業消費量は 309,969 t である[1]。シャンプーなどに配合されることがある。

目次

組成編集

芳香族化合物を多量に含み、ナフタレン(5%–15%)、ベンゼン(0.3%–1%)、フェノール(0.5%–1.5%)、クレゾールペンゾ[a]ピレン(1%–3%)、フェナントレン(3%–8%)などが含まれている。

応用編集

石炭起源のコールタールと、石油起源のアスファルトは外見は似るものの、性質や用途は別物なので使い分けが必要である。

かつては枕木や木電柱など、木材防腐剤として、またトタン屋根の塗料として表面に塗布されて使われたが、それぞれコンクリート製の普及や建材の移り変わりにより、使われなくなってきている。

第二次世界大戦前は石炭化学プラントでの重要な製品であった。大戦後に石油化学が盛んになってからは重要度が低下しているものの、現在でも分留して芳香族化合物クレオソート油ピッチなどが生産され、染料カーボンブラックの原料として利用されている。

医療編集

コールタール製剤には角質溶解・形成作用、止痒作用がある[2]

皮膚疾患の乾癬(かんせん)では、かつてコールタールを外用するゲッケルマン療法が行われていた。だが発癌性が指摘されてから行われなくなった。(その後、松を由来で多環芳香族炭化水素の含有が少ない木タールを使う傾向がある)

コールタールの軟膏やシャンプーなどの製品があり、乾癬脂漏性湿疹(脂漏性皮膚炎)、頭垢(フケ)などに有効な、濃度が低い安全性の高いものが使用されている。現在は発癌性の問題はないといわれている。米国では大手ブランドのニュートロジーナ英語版により、コールタールを含む頭垢シャンプー (製品名 T/Gel) が販売されている。

2015年のイタリアの調査では、今日では脂漏性湿疹にはほとんど使われないとされる[3]

安全性編集

世界保健機関の下部組織IARC発がん性リストでは、コールタールは発癌性があるグループ1に分類されている(発癌性も参照)。

コールタールは最初に確認された発癌性物質である。山極勝三郎はウサギの耳にコールタールを塗擦し続けるという実験を3年以上に渡って反復することで、1915年に世界ではじめて化学物質による人工癌の発生に成功した。

一方、メイヨー・クリニック でゲッケルマン療法を行った乾癬患者280人を25年間追跡調査した結果、皮膚癌の発生率は一般と比べて増加していなかった。アメリカ食品医薬品局 (FDA) もまた、治療レベルでリスクの上昇は認められなかったとしている。

出典編集

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  1. ^ 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編
  2. ^ R. E. W. Halliwell (1991). “Rational use of shampoos in veterinary dermatology”. Journal of Small Animal Practice 32 (8): 401-407. doi:10.1111/j.1748-5827.1991.tb00965.x. 
  3. ^ Naldi L, Diphoorn J (May 2015). “Seborrhoeic dermatitis of the scalp”. BMJ Clin Evid 2015. PMC: 4445675. PMID 26016669. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4445675/. 

関連項目編集