ダイアジノン英語: Diazinon)は、有機リン殺虫剤の一種で、農薬の商品名もダイアジノン。

ダイアジノン
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識別情報
CAS登録番号 333-41-5
PubChem 3017
ChemSpider 2909
KEGG D07856
特性
化学式 C12H21N2O3PS
モル質量 304.35 g mol−1
外観 無色の油状液体
沸点

120℃で分解

への溶解度 0.006 g/100ml(20℃)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

用途 編集

チバガイギー英語版が開発した殺虫剤で、日本では日本化薬が製造している。1999年の実績では、単剤が1,474トン生産されている。日本での農薬登録は1955年4月22日で、農薬としては稲のウンカツマグロヨコバイ、野菜のアオムシアブラムシ、果樹のシンクイムシカイガラムシに有効。防疫用としてハエゴキブリに対しても使用される。ペット用ノミ取り首輪にも、本剤を使用した製品がある。

性質 編集

120℃以上に加熱すると分解し、窒素酸化物、リン酸化物、硫黄酸化物などを含む有毒なフュームを生じる。強酸や塩基と反応し、猛毒のチオピロリン酸テトラエチルを生成する場合がある。一日許容摂取量は0.002mg/kg/日。吸入・経口摂取・皮膚からの吸収により、縮瞳唾液分泌過多・頭痛嘔吐痙攣などの有機リン化合物共通の中毒症状が現れる。

厚生労働省シックハウス症候群の原因となるとして、室内空気中化学物質濃度の指針値を0.29μg/m3(0.02ppb)と定めている[1]。水生生物に対する毒性が強く、環境中に放出した場合には鳥類ミツバチへの影響がある。日本の毒物及び劇物取締法により劇物に分類されていたが、令和二年政令第二百三号による『毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令』により、5%(マイクロカプセル製剤にあつては、二五%)以下を含有するものを除き、劇物指定された[2]

参考文献 編集

  • 植村振作・河村宏・辻万千子・冨田重行・前田静夫著『農薬毒性の事典 改訂版』三省堂、2002年。ISBN 978-4385356044 
  • 国際化学物質安全性カード

脚注 編集