スポロシスト

スポロシスト (sporocyst) あるいはスポロキストはある種の寄生虫生活史のステージの1つで、胞子芽胞 (spore) をもつ嚢子シスト (cyst) を意味する。原生動物アピコンプレックス門の生活史のステージの1つと、扁形動物吸虫の生活史に登場する幼生の1つにこの名称で呼ばれるものがある。

目次

アピコンプレックス門のスポロシスト編集

アピコンプレックス門の寄生性の原虫は、宿主の体内で雌雄のガモント(生殖母体)が融合するとオーシスト(接合子嚢)を形成する。このオーシストの中で接合子が分裂して複数の胞子母細胞(スポロブラスト)を形成し、さらに被嚢を形成したスポロブラストの内部で細胞分裂が行われて多数の胞子(スポロゾイト)を形成する。このスポロゾイトを多数内蔵する被嚢を内部のスポロゾイトとともにスポロシストと呼ぶ。ただし、種類によってはスポロブラストは被嚢の内部で分裂せずに、そのままスポロゾイトとなる。

吸虫のスポロシスト編集

吸虫の二生類では、一次中間宿主である巻貝ミラシジウム幼生が進入すると、これが進入部位の近辺で繊毛衣を脱ぎ捨て、さらに変態、発育して嚢状体となる。これがスポロシスト幼生である。この嚢状態は消化管、排泄系、分泌腺を欠き栄養摂取も体表からの吸収によるが、ミラシジウムから引き継いだ体壁の胚細胞は発達しており、これが無性的な発生によってレジア幼生、あるいは母体と同様のスポロシスト、つまり娘スポロシストに発育して脱出してくる。

娘スポロシストの胚細胞はレジアや娘スポロシストにではなく、セルカリア幼生に発育し、これが母体のスポロシストを、さらには中間宿主の巻貝からも脱出して水中に泳ぎだす。

参考文献編集

  • 石井敏雄 『獣医寄生虫学・寄生虫病学(1)総論/原虫』 講談社サイエンティフィク 1998年 ISBN 4061537156
  • 石井敏雄 『獣医寄生虫学・寄生虫病学(2)蠕虫 他』 講談社サイエンティフィク 1998年 ISBN 4061537172
  • 獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4885006104
  • 山田常雄ほか編 『岩波 生物学辞典 第3版』 岩波書店 1983年 ISBN 4000800183
  • 八杉龍一ほか編 『岩波 生物学辞典 第4版』 岩波書店 1996年 ISBN 4000800876
  • 吉田幸雄 『図説人体寄生虫学 第4版』 南山堂 1991年 ISBN 4525170247

関連項目編集