動物

生物分類における界の一つ

動物(どうぶつ、: Animalia、単数: Animal)とは、

  1. 生物学において、動物とは生物の分類群の一つで、一般に運動能力と感覚を持つ多細胞生物である。「動物」という言葉がつく分類群名としては後生動物原生動物がある。後者は進化的に異なる雑多な生物をまとめたグループ(多系統群)とされているが、いずれも後生動物とは別系統である。本稿でいう「動物」は後生動物の方を指す。
  2. 日常語において、動物とは1.の意味の動物のうち、ヒト以外のもの[1]。特に哺乳類に属する生物を指す事が多い[1]
動物界
生息年代: エディアカラ紀 - 現世
Animal diversity.png
各画像説明[注釈 1]
分類
ドメ
イン
: 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
Linnaeus, 1758

本文参照

本項では1の意味を解説する。

目次

概要編集

動物は、哺乳類爬虫類鳥類両生類魚類といった脊椎動物はもちろん、貝類昆虫サナダムシカイメンなど、幅広い種類の生物を含んだ分類群である。

20世紀末の分子遺伝学の知見を踏まえると、生物は真正細菌古細菌真核生物の3つに分かれるが(3ドメイン説[2][3][4]、動物はそのうちの真核生物に属し、他に真核生物に属するものとしては植物菌類(キノコやカビ)、原生生物が挙げられる。なお、原生生物の一部である原生動物ゾウリムシミドリムシアメーバ等)は本稿で言う動物(後生動物)とは別系統であり、しかも多系統である事が判明している。

なお、初等教育では3ドメイン説以前の二界説(2011年まで)ないし五界説(2012年以降)に基づいて生物の分類を説明している[5]。二界説に基づいた説明では原生動物を「動物」とみなしていたが、すでに述べたように3ドメイン説では(後生)動物とは別系統であるとみなされている。一方、五界説での動物は3ドメイン説のものと基本的に同じであり、原生動物は原生生物として動物とは区別されている。

動物は真核生物の中ではオピストコンタ(後方鞭毛生物)という単系統性が強く支持されている分類に属し、ここには動物以外に菌類や一部の真核生物が属する。オピストコンタに属する生物は、後ろ側にある1本の鞭毛で進むという共有形質を持ち、動物の精子ツボカビ胞子が持つ鞭毛がこれにあたる。

さらにオピストコンタにはホロゾアという分類と、Holomycotaという分類があり、動物は前者、菌類は後者に属する。

特徴編集

動物の細胞編集

動物の細胞は、全ての生物の細胞に共通した以下の構造を持つ。

  • 細胞膜:細胞を包んでいる膜[12]。内部は生体物質を含む水溶液があり代謝の場となっている。リボソーム細胞質原形質)といった共通の構成要素を持っている。
  • DNA塩基配列または遺伝暗号 (genetic code)と言うヌクレオチドの塩基部分が並ぶ構造を持ち[13]、遺伝情報の継承と発現を担う。真核細胞のDNA は、一本または複数本の分子から構成される直線状で原核生物よりも多く[14]染色体と呼ばれる[15]
  • 細胞質:細胞の細胞膜で囲まれた部分である原形質のうち、細胞核以外の領域のこと。真核細胞の細胞質には細胞骨格(サイトスケルトン)と呼ばれる微小な管やフィラメント状がつくる網目もしくは束状をした3次元構造[16]がある。これが特に発達した動物の細胞では、細胞骨格が各細胞の形を決定づける。

細胞小器官編集

典型的な動物細胞には、以下のような細胞小器官がある(番号は図のものと対応):

 
典型的な動物細胞の模式図
  1. 核小体(仁):細胞核の中に存在する、分子密度の高い領域で、rRNAの転写やリボソームの構築が行われる。
  2. 細胞核:細胞の遺伝情報の保存と伝達を行う。
  3. リボソームmRNAの遺伝情報を読み取ってタンパク質へと変換する機構である翻訳が行われる。
  4. 小胞細胞内にある膜に包まれた袋状の構造で、細胞中に物質を貯蔵したり、細胞内外に物質を輸送するために用いられる。代表的なものに、液胞リソソームがある。
  5. 粗面小胞体リボソームが付着している小胞体の総称。
  6. ゴルジ体:へん平な袋状の膜構造が重なっており、細胞外へ分泌されるタンパク質の糖鎖修飾や、リボソームを構成するタンパク質のプロセシングに機能する。
  7. 微小管細胞中に見いだされる直径約 25 nm の状の構造であり、主にチューブリンと呼ばれるタンパク質からなる。細胞骨格の一種。細胞分裂の際に形成される分裂装置(星状体紡錘体染色体をまとめてこう呼ぶ)の主体。
  8. 滑面小胞体リボソームが付着していない小胞体の総称。通常細管上の網目構造をとる。粗面小胞体ゴルジ複合体シス網との移行領域、粗面小胞体との連続部位に存在する。トリグリセリドコレステロールステロイドホルモンなど脂質成分の合成やCa2+の貯蔵などを行う。
  9. ミトコンドリア:二重の生体膜からなり、独自のDNAミトコンドリアDNA=mtDNA)を持ち、分裂、増殖する。mtDNAはATP合成以外の生命現象にも関与する。酸素呼吸好気呼吸)の場として知られている。また、細胞のアポトーシスにおいても重要な役割を担っている。mtDNAとその遺伝子産物は一部が細胞表面にも局在し突然変異は自然免疫系が特異的に排除[17] する。ミトコンドリアは好気性細菌でリケッチアに近いαプロテオバクテリア真核細胞共生することによって獲得されたと考えられている[18]
  10. 液胞:電子顕微鏡で観察したときのみ、動物細胞内にもみられる。主な役割として、ブドウ糖のような代謝産物の貯蔵、無機塩類のようなイオンを用いた浸透圧の調節・リゾチームを初めとした分解酵素が入っており不用物の細胞内消化、不用物の貯蔵がある。
  11. 細胞質基質細胞質から細胞内小器官を除いた部分のこと。真核生物では細胞質基質はどちらかと言えば細胞の基礎的な代謝機能の場となっている。
  12. リソソーム生体膜につつまれた構造体で細胞内消化の場。
  13. 中心体細胞分裂の際、中心的な役割を果たす。

細胞外マトリックス編集

動物の細胞はコラーゲンと伸縮性のある糖タンパク質からなる特徴的な細胞外マトリックスで囲まれている[19]。細胞外マトリックスは細胞外の空間を充填する物質であると同時に、骨格的役割(石灰化による貝殻、海綿骨針といった組織の形成[20] )、細胞接着における足場の役割(例:基底膜フィブロネクチン)、細胞増殖因子などの保持・提供する役割(例:ヘパラン硫酸に結合する細胞増殖因子FGF)などを担う。また動物細胞は、密着結合ギャップ結合接着斑などにより細胞結合細胞接着している[21]

海綿動物平板動物のような少数の例外を除き、動物の体は組織に分化しており[22]、組織としては例えば筋肉神経がある。

生殖、発生、分化編集

生殖編集

 
トンボの交尾

ほぼ全ての動物は何らかの形で有性生殖を行い[23]、その際減数分裂により一倍体配偶子を作る。2つの配偶子が融合する事で新しい個体が生まれるが、この場合小さくて運動性がある配偶子を精子、大きくて運動性を持たない配偶子を卵子といい[24]、配偶子が融合する過程を受精、受精の結果できあがった細胞を受精卵という[25]。また精子を作る個体をオス、卵子を作る個体をメスという。一つの個体が精子と卵子を両方作れる場合は雌雄同体であるという。

発生編集

一倍体である精子と卵子が受精する事で、二倍体の受精卵が形成される。この際精子由来のミトコンドリアは酵素により分解されるので[26]、ミトコンドリアは卵子からしか受精卵に伝わらない。

受精卵は卵割という細胞増殖を繰り返す事で多細胞の胚を形成する[26]。一般的に卵割の際は核は複製されるが細胞質は卵細胞のものを分割して使うという特徴がある[26]

 
胞胚形成英語版1 桑実胚2 - 胞胚

一般的に、卵割が進むと胚の内部に隙間が形成され、この隙間が広くなったものを胞胚腔といい、大きな胞胚腔が形成される時期の胚は胞胚と呼ばれる[27]。なお、昆虫両生類など多くの動物では、卵割期の細胞増殖を急激に行うために通常の細胞分裂で行われる一部の過程(G1期とG2期の過程)が省略され[28]、胞胚中期になるとこの省略が終わる(中期胞胚転移)[29]。それに対し胎生の哺乳類ではこういった省略は起こらない[29]

胚が形成される過程で、体軸という体の向きが決定がなされ、その向きには前後軸、背腹軸、左右軸などがある[30]。例えば両生類では精子が受精した位置により背腹軸が決まり、受精した側が腹側、その反対側が背側になる。

一部の原始的な動物(前左右相称動物[注釈 2])以外は胞胚後期になると胚葉が形成される(形態形成運動[31][32]。胚葉には将来消化管になる内胚葉、将来表皮神経系などになる外胚葉、そして体のそれ以外の所(例えば体腔循環系内骨格筋肉真皮)になる中胚葉の3種類がある。典型的にはこの際内胚葉の部分が陥没し、原腸が構成される。この時期の胚を原腸胚という[注釈 3]

なお、前左右相称動物の場合は、海綿動物のように胚葉が形成されないものや[33](無胚葉性の動物と呼ばれる)、内胚葉外胚葉の2つのみしか形成されない動物(二胚葉性の動物)もいる[注釈 4]。これに対し胚葉が3つとも形成されるものを三胚葉性の動物という。

脊椎動物などではこの後神経管が形成される神経胚期へと進む。例えばニワトリでは、外胚葉に神経板という領域ができ、それが胚の内側に丸まる事で神経管ができ、さらに直下に脊索が形成される[34]。神経管の前方には前脳中脳後脳という3つの膨らみが形成され、これらが将来になる[35]

細胞分化と器官形成編集

脊椎動物などでは、組織や器官を形成するため、胚細胞が特定の機能を持った細胞に変化する(細胞分化[36]。この際、基本的な細胞機能の維持に必要な遺伝子(ハウスキーピング遺伝子)の機能は残しつつ、特定の機能に必要な遺伝子を新たに発現し、逆に分化後には不必要になる遺伝子をDNAメチル化により不活性化する[36]

脊索の両側の沿軸中胚葉から体節が形成され、体節と隣接した外側の中間中胚葉からは腎節が形成される[37]

体節はやがて皮節筋節硬節に分かれ、これらはそれぞれ皮膚の真皮層骨格筋椎骨などが形成され[37]、腎節からは腎臓や生殖腺が形成される[37]

中間中胚葉のさらに外側には予定心臓中胚葉という、将来心臓関連の組織になる部分があり、これは壁側中胚葉と臓側中胚葉に転移する[38]。前者からは体腔を覆う胸膜腹膜が形成され、後者からは心筋平滑筋血管血球などが形成される[39]

心臓は生命の維持に不可欠なので、発生の早い段階で中胚葉から形成される[40]。なお、予定心臓中胚葉は中胚葉の正中線を隔てた両側に2つ存在するが、これら2つは移動して胚の前方で合流して心臓を形成する[40]

脊椎動物では外胚葉と中胚葉の相互作用で四肢が形成される[41]ヒトの手足は水鳥と違い、指の間に水かきがないが、これはアポトーシスの作用で水かき部分の細胞を「自殺」させている為である[42]

起源と進化編集

起源編集

動物の起源については、単細胞生物の襟鞭毛虫が集まって多細胞化する事で海綿動物のような動物になっていったと考えられる[43]

なお従来は、上述した襟鞭毛虫類から進化したとするヘッケルの説と繊毛虫類から進化したとするハッジの説が対立していたが、分子遺伝学の成果によれば、18S rDNAに基づいた解析等により、動物は襟鞭毛虫類を姉妹群に持つ単系統な群であることが示されており、ヘッケルの説が有力とされている[43]

古生物編集

30億年以上前に地球上初めての生物が誕生したと考えられており、真核生物の最古の化石は21億年前の地層から発見されている[44]

動物の起源は10~12億年前まで遡れると分子系統解析と古生物学的証拠から推定されている[45]

動物のものかもしれない最古の化石は南オーストラリア州から発見された6億6500万年のTrezona Formationで、初期のカイメンではないかと考えられている[46]

次に古いと思われる多細胞生物の化石は6億2千万年~5億4千2百万年前のエディアカラ生物群である[47]。これらは刺胞動物環形動物棘皮動物の仲間であるという解釈もあれば、一部には現生動物とは全く違う動物群とする解釈もあるなど見解が定まっていない[47]。 エディアカラ生物群は新原生代クライオジェニアン紀の全地球凍結(スノーボールアース)の後に進化的に拡散[訳語疑問点]Evolutionary radiation)したと考えられ(Avalon explosion、5億7500万年前)[48][49]カンブリア爆発の頃にその多くは姿を消した(カンブリア中期の5億1000万年前~5億年前まで生き残っていたものはまれである)。

古生代カンブリア紀になると、化石に残る硬い骨格を動物達が獲得し、短期間で多くのボディプランを持つ動物群が登場し[50]海綿動物軟体動物腕足動物節足動物棘皮動物環形動物脊索動物など、現在の動物門のほとんどをしめる30余りの動物門が生じたとされる(カンブリア爆発[50]

ただし分子系統解析によればこれらの動物門は最古の化石より10億年以上遡ると推定されている[50]。カンブリア紀に突然生物が増えたように見えるのは、この時期に化石に残りやすい生物種が増えたからに過ぎない [51][52][53][54]

カンブリア爆発は2000万年[55][56]から2500万年[57][58]続いた。オルドビス紀にはカンブリア紀までに登場した動物門が大きく適応放散している[50]

オルドビス紀末に大量絶滅O-S境界)があったが[50]無顎類(顎の無い脊椎動物)は生き残り、シルル紀に多様化し、顎のある脊椎動物も登場した[50]デボン紀には硬骨魚類が多様化し、石炭紀には両生類が繁栄、ペルム紀には爬虫類が繁栄した[50]

シルル紀には最古の陸上動物の化石である節足動物多足類が登場し、デボン紀に節足動物が多様化、石炭紀には翅を持つ昆虫類が登場した[50]

シルル紀末には地球史上最大の大量絶滅(P-T境界)が起こり、中生代三畳紀には海洋生物が大量に絶滅[50]哺乳類が登場した[50]

ジュラ紀には恐竜が反映し、鳥類も登場した[50]。また、軟体動物の殻を破るカニ類硬骨魚類が進化し、これに対抗して厚い殻をもつれ合い軟体動物が進化した(中世代の海洋変革)[50]白亜紀までには現生の昆虫類のほとんどが登場[50]

白亜紀末には巨大隕石の衝突による大量絶滅がおこる(K-Pg境界[50]

新生代は哺乳類が優勢になり、鳥類、昆虫類、真骨魚類適応放散し、現在と同様の動物相が形成される[50]。新生代の後半にあたる第四紀には人類も出現した。

化石動物についての動物門編集

化石動物について、上記の分類される現存動物門のいずれにも属さないとして、新たな動物門が提唱されることがある。これらについては、うたかたのごとく提唱されては消えていくものも少なくないが、主なもののみ挙げる。

絶滅した動物編集

現生の動物の分類編集

分類編集

下表は動物界を生物の分類の分類階級である「」に分類したものであり[62]、各動物門に属する生物はそれぞれの「門」独自の基本設計(ボディプラン)を共有している。

ただし、2018年現在、分子系統解析が進展中ということもあり、下表は今後も若干の修正が加えられていくものと思われる。

動物分類表[62][63]
上位分類 種の数 動物の例
後生動物 (前左右相称動物)[注釈 2] 海綿動物 約7000種[64]   カイメン、  カイロウドウケツ
平板動物 1種[65]   センモウヒラムシ
刺胞動物 約7620種[66]   クラゲ  サンゴ
有櫛動物 約143種[67]   クシクラゲ
左右相称動物 冠輪動物 直泳動物 25種[68]   キリオキンクタ
二胚動物

菱形動物門[68]とも)

約110種[68]   ニハイチュウ
扁平動物 扁形動物 約20000種[注釈 5]   プラナリア  吸虫  サナダムシ
顎口動物 約100種[69]  
輪形動物 約3000種[70]   ワムシ
鉤頭動物 約1100種[71]  
微顎動物 1種[72]   リムノグナシア
腹毛動物 約450種[73]   イタチムシオビムシ
外肛動物 約4500種[74]   コケムシ
触手冠動物 箒虫動物 約20種[75]   ホウキムシ
腕足動物 約350種[75]   シャミセンガイホオズキガイ
担輪動物 紐形動物 約1200種[76]   ヒモムシ
軟体動物 約93195種[77]   貝類  イカ  タコ
星口動物 約320種[78]   ホシムシ
環形動物 約16650種[注釈 6]   ミミズ  ゴカイ  ユムシ
内肛動物 約150種[79]   スズコケムシ
有輪動物 2種[80] シンビオン
脱皮動物 線形動物 線形動物 約15000種[81]   回虫
類線形動物 約320種[82]   ハリガネムシ
有棘動物 動吻動物 約150種[83] トゲカワ
胴甲動物 約23種[84]   コウラムシ
鰓曳動物 約16種[85]   エラヒキムシ
汎節足動物 緩歩動物 約800種[86]   クマムシ
有爪動物 約160種[87]   カギムシ
節足動物 約110万種[88]   昆虫類  甲殻類
毛顎動物 約130種[89]   ヤムシ
新口動物 珍無腸動物門 無腸動物珍渦虫
棘皮動物 約7000種[90]   ヒトデ  ナマコ  ウニ
半索動物 約90種[91]   ギボシムシ、フサカツギ
脊索動物 約51416種[92]   ナメクジウオ  ホヤ  脊椎動物

なお、上述の分類において

  • 左右相称動物は体腔の違いにより、旧口動物、新口動物に分けられていたが、1990年代の18S rRNA遺伝子の解析により、体腔の違いは進化とは関係ない事が判明し、冠輪動物、脱皮動物、新口動物の3つに大別されることが分かった[93]。しかし以降の系統解析でも、旧口動物が単系統であること自体は支持されている[94][95][96]
  • 刺胞動物有櫛動物は外形的に類似しているので腔腸動物門としてまとめられていたが、有櫛動物は刺胞がなく、上皮細胞が多繊毛性であり、決定性卵割であるといった刺胞動物との決定的違いがあり、しかも分子系統解析により腔腸動物が単系統とならないがわかったので2010年現在は両者は別の門として分けられている[97]
  • 中生動物門は直泳動物門と二胚動物門に分けられている[62]。なお中生動物門は原生動物から後生動物に進化する過程であると過去には見られていたが、2010年現在では寄生生活により退化した後生動物であると見られている[98]
  • 外肛動物は触手冠動物とされてきたが、箒虫動物や腕足動物のような他の触手冠動物どは異なる系統である事がわかった[99]。2010年現在系統上の一は定まっていない[99]
  • 有髭動物門ユムシ動物門は環形動物門に入れられている[62][63]
  • 舌形動物門は節足動物門に入れられている[62]
  • かつて扁形動物門に分類されていた珍渦虫無腸動物については、新口動物の新たな門として珍無腸動物門が設立された[100][101]。しかし2016年の2つの分子系統解析は、珍無腸動物門が他の左右相称動物の姉妹群となることを支持した[102][94]

上位分類編集

前左右相称動物編集

前左右相称動物[注釈 2]に属する動物は体の左右相称性(=左右対称性)がない。ここに属する4つの門の間の関係、およびこれら4つの門と左右相称動物との関係は2010年現在、分子系統解析でも定まっていない[103]。おそらく動物全体の中で、前左右相称動物である海綿動物が最も祖先的で最初に分化した後生動物であり[104][105]、相称性がなく胚葉がないなど最も単純なボディープランを持つ[104]。海綿動物の細胞は分化するものの、組織を形成することはなく[106]、複雑な器官をもたない[107]

刺胞動物有櫛動物の体は放射相称性を持ち、唯一の腔所である胃腔の開口は口と肛門を兼ねる[108]。これらの動物門の細胞は組織に分化しているものの、器官を形成していない[109]。中胚葉が形成されない二胚葉性の動物であるとされるが、細胞性である間充織を中胚葉とみなし、ヒドロ虫綱以外の刺胞動物と全ての有櫛動物を三胚葉性とみなす事も多い[110]

左右相称動物編集

4つの門を除いた全ての動物門が左右相称動物である。左右相称動物は完全な三胚葉性で[99]、体が左右相称(=左右対称)[99]。もっとも祖先的な左右相称動物は珍渦虫Xenacoelomorphaである[111][112][113]

左右相称動物は肛門、およびこれらをつなぐ消化管をもち、体内に体腔ないし偽体腔(線形動物、輪形動物など)を持つ。左右相称動物のボディプランは、前方(運動のとき体の進む方向)と後方の区別、腹側と背側の区別がある傾向があり、したがって左側と右側の区別も可能である[114][115]。運動のとき体の前方へと進むという事は、前方にあるものを識別する感覚器や餌を食べる口が前方に集まる(頭化という)傾向にある。多くの左右相称動物は環状筋縦走筋のペアを持つので[115]、ミミズのような体が柔らかい動物では水力学的骨格英語版蠕動により動く事ができる[116]。また多くの左右相称動物には繊毛で泳ぐことができる幼生の時期がある。

以上の特徴は例外も多い。例えば棘皮動物の成体は(幼生とは違い)放射相称であるし、寄生虫の中には極端に単純化された体の構造をもつものも多い[114][115]

 
Idealised bilaterian body plan.[注釈 7] With an elongated body and a direction of movement the animal has head and tail ends. Sense organs and mouth form the basis of the head. Opposed circular and longitudinal muscles enable peristaltic motion.

Genetic studies have considerably changed zoologists' understanding of the relationships within the Bilateria. Most appear to belong to two major lineages, the protostomes and the deuterostomes.[117]

Protostomes and deuterostomes編集

 
The bilaterian gut develops in two ways. In many protostomes, the blastopore develops into the mouth, while in deuterostomes it becomes the anus.

Protostomes and deuterostomes differ in several ways. Early in development, deuterostome embryos undergo radial cleavage during cell division, while many protostomes (the Spiralia) undergo spiral cleavage.[118] Animals from both groups possess a complete digestive tract, but in protostomes the first opening of the embryonic gut develops into the mouth, and the anus forms secondarily. In deuterostomes, the anus forms first while the mouth develops secondarily.[119][120] Most protostomes have schizocoelous development, where cells simply fill in the interior of the gastrula to form the mesoderm. In deuterostomes, the mesoderm forms by enterocoelic pouching, through invagination of the endoderm.[121]

The main deuterostome phyla are the Echinodermata and the Chordata.[122] Echinoderms are exclusively marine and include starfish, sea urchins, and sea cucumbers.[123] The chordates are dominated by the vertebrates (animals with backbones),[124] which consist of fishes, amphibians, reptiles, birds, and mammals.[125] The deuterostomes also include the Hemichordata (acorn worms).[126][127]

Ecdysozoa編集
 
Ecdysis: a dragonfly has emerged from its dry exuviae and is expanding its wings. Like other arthropods, its body is divided into segments.

The Ecdysozoa are protostomes, named after their shared trait of ecdysis, growth by moulting.[128] They include the largest animal phylum, the Arthropoda, which contains insects, spiders, crabs, and their kin. All of these have a body divided into repeating segments, typically with paired appendages. Two smaller phyla, the Onychophora and Tardigrada, are close relatives of the arthropods and share these traits. The ecdysozoans also include the Nematoda or roundworms, perhaps the second largest animal phylum. Roundworms are typically microscopic, and occur in nearly every environment where there is water;[129] some are important parasites.[130] Smaller phyla related to them are the Nematomorpha or horsehair worms, and the Kinorhyncha, Priapulida, and Loricifera. These groups have a reduced coelom, called a pseudocoelom.[131]

Spiralia編集
 
Spiral cleavage in a sea snail embryo

The Spiralia are a large group of protostomes that develop by spiral cleavage in the early embryo.[132] The Spiralia's phylogeny has been disputed, but it contains a large clade, the superphylum Lophotrochozoa, and smaller groups of phyla such as the Rouphozoa which includes the gastrotrichs and the flatworms. All of these are grouped as the Platytrochozoa, which has a sister group, the Gnathifera, which includes the rotifers.[133][134]

The Lophotrochozoa includes the molluscs, annelids, brachiopods, nemerteans, bryozoa and entoprocts.[133][135][136] The molluscs, the second-largest animal phylum by number of described species, includes snails, clams, and squids, while the annelids are the segmented worms, such as earthworms, lugworms, and leeches. These two groups have long been considered close relatives because they share trochophore larvae.[137][138]

Animals are monophyletic, meaning they are derived from a common ancestor and form a single clade within the Apoikozoa. The Choanoflagellata are their sister clade.[139] The most basal animals, the Porifera, Ctenophora, Cnidaria, and Placozoa, have body plans that lack bilateral symmetry, but their relationships are still disputed. As of 2017, the Porifera are considered the basalmost animals.[140][141][142][143][144][145] An alternative to the Porifera could be the Ctenophora,[146][147][148][149] which like the Porifera lack hox genes, important in body plan development. These genes are found in the Placozoa[150][151] and the higher animals, the Bilateria.[152][153] 6,331 groups of genes common to all living animals have been identified; these may have arisen from a single common ancestor that lived 650 million years ago in the Precambrian. 25 of these are novel core gene groups, found only in animals; of those, 8 are for essential components of the Wnt and TGF-beta signalling pathways which may have enabled animals to become multicellular by providing a pattern for the body's system of axes (in three dimensions), and another 7 are for transcription factors including homeodomain proteins involved in the control of development.[154][155]

The phylogenetic tree (of major lineages only) indicates approximately how many millions of years ago (mya) the lineages split.[156][157][158][159]

前左右相称動物編集

前左右相称動物[注釈 2]に属する4つの門の間の関係、およびこれら4つの門と左右相称動物との関係は2010年現在、分子系統解析でも定まっていない[103]

左右相称動物編集

冠輪動物編集
直泳動物・二胚動物編集
扁平動物編集

もともとは扁形動物門、輪形動物門、鉤頭動物門に対して名付けられた門で、これら3つには体表に繊毛があり、体節がなく、循環系を欠き、無体腔または偽体腔であるという特徴がある[162]。顎口動物門、輪形動物門、鉤頭動物門の系統上の位置は2010年現在安定していないが、扁形動物の一部と近縁であると考えられている[99]

外肛動物編集
触手冠動物編集
担輪動物編集
脱皮動物編集

体を覆うクラチラの脱皮を行うという共通の特徴を持つ[99]。脱皮動物内の系統は2010年現在はっきりしないが、分子系統解析と形態から総合的に考えて線形動物、有棘動物、汎節足動物の3つに分類がなされている[99]。毛顎動物の系統は2010年現在不明だが、節足動物との近縁性が示唆されれる成果もある[99]

線形動物編集
  • 線形動物 - 以下の2つに分類される[165]
    • 双腺綱:双腺(感覚器官のひとつ)を持つ。ほとんどは寄生生活を送る。自由生活する種のほとんどは陸上で生活[164]
    • 双器綱:双腺を持たない。ほとんどの種が水中で自由生活[164]
  • 類線形動物 - 以下の2つに分類される[166]
    • ハリガネムシ目:寄生生活を送る。水生昆虫を中間宿主とし、カマキリなどを終宿主とする。
  • *遊線虫目:生活史の詳細は不明。
有棘動物編集
汎節足動物編集
  • 緩歩動物 - 緩歩動物門に属する動物はクマムシとも呼ばれ、以下の3綱に分類される[169]
    • 異クマムシ綱:多くは海に住む
    • 中クマムシ綱:オンセンクマムシ一種のみ
    • 真クマムシ綱:陸上、淡水に生息するものがほとんど
  • 有爪動物 - 有爪動物門に属する動物はカギムシと呼ばれる。カンブリア紀に多様化したが、現生種は真有爪目のみ[170]
  • 節足動物
毛顎動物編集
新口動物編集

2010年現在は棘皮動物と半索動物が姉妹群をなすという説が大勢を締めており[174]、これら2つは幼生の形態、三体腔性、軸器官などの共通性を持つ[174]

参考文献編集

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脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 左上から順に、1段目:ヒトデの一種(棘皮動物門星形動物亜門ヒトデ綱)、カイメンの一種(海綿動物門)、Sepiola atlantica軟体動物門頭足綱)、
    2段目:ミズクラゲ刺胞動物門鉢虫綱)、en:Giant leopard ribonia''節足動物門六脚亜門昆虫綱)、Nereis succinea環形動物門多毛綱)、
    3段目:Tridacna squamosa軟体動物門二枚貝綱)、シベリアトラ脊索動物門脊椎動物亜門哺乳綱)、Polycarpa aurata脊索動物門尾索動物亜門ホヤ綱)、
    4段目:クマムシの一種(緩歩動物門異クマムシ綱)、淡水産コケムシの一種(外肛動物門掩喉綱)、Enchelycore anatina脊索動物門脊椎動物亜門条鰭綱)、
    5段目:Liocarcinus vernalis節足動物門甲殻亜門軟甲綱)、Corynosoma wegeneri鉤頭動物門古鉤頭虫綱)、アオカケス脊索動物門脊椎動物亜門鳥綱)、
    6段目:ハエトリグモの一種(節足動物門鋏角亜門蛛形綱)、Pseudoceros dimidiatus扁形動物門渦虫綱)、ホウキムシ類のアクチノトロカ幼生(箒虫動物門
  2. ^ a b c d 「前左右相称動物」というのは左右相称動物以外の動物門について述べるための便宜的な名称で、「前左右相称動物」という系統群があるわけではない(藤田10, p.113.)
  3. ^ 両生類では内胚葉の形成と原腸の形成が同時に起こるが、鳥類や哺乳類では、内胚葉の形成がのみが原腸胚期に行われ、原腸の形成は神経胚期になってから行われる(浅島・駒崎(2011), p.126.)
  4. ^ 刺胞動物有櫛動物が二胚葉性であるとされるが、細胞性である間充織を中胚葉とみなし、ヒドロ虫綱以外の刺胞動物と全ての有櫛動物を三胚葉性とみなす事も多い(藤田10 p122)
  5. ^ この数字は2010年の学術書藤田10, p.126によるが、扁形動物門のうち無腸動物については、別系統である事がわかり、珍無腸動物門に移された(馬渡 (2013), p27-p29)為、無腸動物の分を数字から引く必要がある。
  6. ^ 藤田10, pp.142-144.ではユムシ動物門約150種、環形動物門約16500種としているが、馬渡 (2013)ではユムシ動物門を環形動物門の一部としているため、合計した値をここに記した。
  7. ^ Compare File:Annelid redone w white background.svg for a more specific and detailed model of a particular phylum with this general body plan.

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関連項目編集