西洋で古くから使われてきた「スレート屋根」のスレートSlate)の本来の意味は、粘板岩のことである。粘板岩は薄い板状に割れる性質があり、防水性・耐火性・耐候性・耐久性を持ち、屋根材に適していた。歴史的建造物のスレート屋根の中には、数百年の風雪に耐えているものもある。

天然スレートの屋根
裏から見たスレート屋根。イギリスの古民家
化粧スレート

天然素材のスレートを「天然スレート」と呼ぶ。近年は天然スレートが貴重かつ高価なものとなったので、現在一般に使用されているのは「人造スレート」もしくは「化粧スレート」と呼ばれる人工素材である。人工スレートは英語ではセメントボード cement board と言われ、Slate とは呼ばれない。

化粧スレートとは、セメント繊維素材を混ぜて(または表面に吹きつけて)、薄い板状に加工したものである。ただのセメントはひび割れやすい欠点があるので、この欠点を補うため繊維素材を混ぜ、耐性を付けている。繊維素材としてはかつては石綿が用いられたが、アスベスト問題が生じたことから、今日では石綿は用いられなくなった。かわりに用いる繊維素材は短繊維と呼ばれる、ガラス繊維や合成繊維などの短い繊維である。詳細は繊維補強コンクリートの項目参照。

人工スレートには、他にも以下のようなメリットがある[1]

  • 重量が軽いため、耐震性が高い
  • 価格が安い
  • 施工できる業者が多い

このような利点があるので、スレートは、現在もっとも普及している屋根材である[1]

脚注 編集

  1. ^ a b 【建築用語紹介】屋根材・スレートとは?

関連項目 編集

外部リンク 編集