タマ(たま)は、日本の飼いにしばしば与えられる名前。

日本で猫に名付ける際の定番の名前であり[1][2][3][4]、「猫の名前と言えば」との街頭インタビューでは8割の人が「たま」と答えたという調査もある[1]。実際にタマと名付けられた猫についてはタマ#猫の名前を参照。

定番の名前として認識はされている一方で実際に名付けられる名前としての人気は波があり、2015年までの8年間の猫の名前ランキングでたまはトップ10に入っておらず[1]、2008年のランキングでは18位[5]、2014年のランキングでは26位[4]となっていたが、2016年のランキングでは2位となっている[6]

由来 編集

タマの名の由来には諸説あるが[2][3]招き猫発祥の地と言われる東京都世田谷区豪徳寺で飼われていた猫が「たま」という名前だったことから広まったという説[1][3]があり、次のような逸話が残る。

1633年彦根藩井伊直孝は世田谷の地を拝領した。ある日、鷹狩の帰りに弘徳寺(後の豪徳寺)の前を通ったところ、一匹の猫が手招きをするのでそのまま寺に入った[7]。和尚は直孝を本堂に通して茶を出して法話を聞かせた。そうこうするうちに雨が降り、雷も鳴り出したため、「猫のおかげで難を避け、法話も聞けた」と喜んだ[8]直孝は、弘徳寺を一族の菩提寺に定め、その後寺は繁栄したという[7]1659年には弘徳寺は直孝の法名に基づき豪徳寺と改名した[9]。この時の猫の名前が「たま」だったという[10]

豪徳寺説の他には、宝玉のように可愛く大切な存在だからという説[2][3]、玉のように丸くなって寝るからという説[2][3]、猫を神秘的な動物ととらえ霊魂に由来するという説[2][3]、猫に女性の名前を付ける習慣に由来する説[3]などがある。

出典 編集

  1. ^ a b c d 日本人が飼い猫につけたがる「あの名前」”. 東洋経済オンライン. TBS世にも不思議なランキング なんで?なんで?なんで?』取材班 (2015年8月28日). 2021年11月19日閲覧。
  2. ^ a b c d e 「猫といえばタマ」の理由は? 猫の“定番ネーム”の諸説や名付けのコツが面白い”. ねとらぼ. ペット手帳 (2020年10月25日). 2021年11月19日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g 猫の名前が「タマ」になる由来”. ライブドアニュース. マイナビニュース (2014年7月23日). 2021年11月19日閲覧。
  4. ^ a b エボル (2014年7月25日). “猫の定番の名前「タマ」はなんと26位-ペットの名前ランキング”. マイナビニュース. 2021年11月19日閲覧。
  5. ^ 猫の名前ランキング1位「モモ」、「タマ」は18位”. オリコンニュース (2008年2月15日). 2021年11月19日閲覧。
  6. ^ 2016年 猫の名前ランキング 1位「チビ」、2位「タマ」”. niftyニュース (2016年2月19日). 2021年11月19日閲覧。
  7. ^ a b 「地球の歩き方」編集室『御朱印でめぐる江戸・東京の古寺』ダイヤモンド・ビッグ社、2013年9月20日、90-91頁。ISBN 978-4-478-04469-8 
  8. ^ 荒川千尋『招き猫百科』(初版第2刷)インプレス、2016年8月21日、50頁。ISBN 978-4-8443-3873-4 
  9. ^ 金岡秀友『古寺古刹辞典』(5版)東京堂出版、1971年3月10日、103頁。 
  10. ^ 須磨章『猫は犬より働いた』柏書房、2004年12月25日、183頁。ISBN 4-7601-2654-6 

関連項目 編集