ダーレク・イン・マンハッタン

ダーレク・イン・マンハッタン」(原題: " Daleks in Manhattan ")は、イギリスSFドラマドクター・フー』第3シリーズ第4話。2007年4月21日に初めて BBC Oneで放送され[1]、同年4月28日に放送された後編「ダーレクの進化」との二部作である。なお邦題「ダーレク・イン・マンハッタン」は2012年1月14日[2]LaLa TV で放送された際のものであり[3]Huluでは「マンハッタンのダーレク」という別邦題で配信されている[4]

ダーレク・イン・マンハッタン
Daleks in Manhattan
ドクター・フー』のエピソード
ショーガールの衣装と豚奴隷
話数シーズン3
第4話
監督ジェームズ・ストロング英語版
脚本ヘレン・レイナー英語版
制作フィル・コリンソン英語版
音楽マレイ・ゴールド
作品番号3.4
初放送日イギリスの旗 2007年4月21日
日本の旗 2012年1月14日
エピソード前次回
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大渋滞
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ダーレクの進化
ドクター・フーのエピソード一覧


本作の舞台は1930年のニューヨーク市である。第2シリーズ「永遠の別れ」を生き延びたスカロの集団は、半分人間で半分豚の奴隷を使役し、ホームレスの人間を拉致して実験に使用する。

本作の視聴者数は669万人に達し、その週に放送されたイギリスのテレビで18番目に多く視聴された[5]

製作 編集

二部作は当初スティーヴン・モファットが脚本を担当するはずであったが、彼は制作チームの不便を補うのではなく、第3シリーズでドクターの登場が少ないエピソード「まばたきするな」の脚本に回された[6]。代わりにヘレン・レイナー英語版が脚本を担当し、シリーズの歴史で初めてテレビ版のダーレクのストーリーを執筆した女性、かつ新シリーズで初めて脚本を担当した女性となった。

本作の撮影の一部はセントラル・パークエンパイア・ステート・ビルディング自由の女神像などニューヨーク市内で行われた[7]。しかし、「大渋滞」のオンラインエピソードコメンタリーで、ニューヨークで撮影したかデイヴィッド・テナントが尋ねられた際には、彼は「してないよ、他の皆はしたのに!」[注 1]と返答した。自由の女神像を前にしたマーサとドクターの全てのシーンは実際にはウェールズで撮影された。制作チームは女神像の基盤に合う壁を見つけた[8]The MillMajestic Theatre の素材としてショットを使用した[8]。なお、2005年に『ドクター・フー』が復活して以降、イギリス以外でのロケが行われたのは初めての事であった。

フーヴァー村のスラム街でのシーンは2006年11月の9 - 11日、13 - 14日にカーディフのビュートパークで撮影された[9]。ダンスシーンはロンドンでリハーサルが行われ、撮影は11月15日にサウスウェールズのトレオーキー英語版で行われた[10][11]

本作にダーレクが登場することは2006年11月12日にニュース・オブ・ザ・ワールドが報じ[12]、12月にBBCが確定させた[13][14]。ダーレク・セクと人間のハイブリッド体は「ダーレク・イン・マンハッタン」が放送されたその週のラジオ・タイムズの表紙に掲載され、ネタバレとなった[15]TV Times でのデイヴィッド・テナントのインタビューでアール・デコダーレクの登場が示唆された[16]が、「ダーレク・イン・マンハッタン」にも次話「ダーレクの進化」にも登場しなかった。

キャスティング 編集

10代目ドクターを演じるデイヴィッド・テナントなどのメインキャスト以外では、以下のような俳優が出演している。

連続性 編集

  • タルーラがマーサにステージに上がった経験があるかを尋ねた際にマーサは「一応シェークスピアを」と答えており、これは「言葉の魔術師」での出来事を反映している。
  • ダーレクが生きていると気づいた際、ドクターは "They always survive, while I lose everything."(日本語版では「生きていたのか、僕のすべてを奪っておいて…」)と発言した。ダーレクは The Daleks(1963 - 64年)、The Evil of the Daleks(1967年)、Remembrance of the Daleks(1988年)、タイム・ウォー、「ダーレク 孤独な魂」(2005年)、「わかれ道」(2005年)、「永遠の別れ」(2006年)で何度も見かけ上の絶滅を繰り返してきた。
  • ダーレク・カーンは「我らの星は失われた。戦争で滅ぼされたのだ」と主張した。Remembrance of the Daleks で、ダーレクの故郷である惑星スカロは7代目ドクターに破壊された。1996年のテレビ映画では無傷のスカロが登場し、第9シリーズ「魔術師の弟子」ではダヴロスがスカロを復活させたことが語られている。

文化的レファレンス 編集

放送と評価 編集

本作の視聴人口の最終的な数値は669万人だった[18]。本作は「ダーレクの進化」、「ラザラスの欲望」、「タイムリミット42」と共に通常版DVDで発売された[19]

The Stage のマーク・ライトは本作に肯定的で、舞台の踏査やダーレク、デイヴィッド・テナント、脇役を称賛した。二部作であることから時間がかかることを述べ、彼は「今作の脚本は現代『ドクター・フー』で提供されなければならない最高の作品の1つとして頂点に至る」と結論付けた[20]SFX の批評家リチャード・エドワーズは二部作に一般的に肯定的であったが、「ダーレク・イン・マンハッタン」のクリフハンガーはラジオ・タイムズがダーレク・セクのハイブリッド化を暴露したことでネタバレされたとした[21]IGNのトラヴィス・フィケットは上記2名ほど好意的でなく、本作を10点満点で6.5と評価した。彼はダーレクが間抜けでほとんどコミックリリーフであると思い、ライトの批評とは異なってタルーラを不快なステレオタイプに感じ、他のアメリカ人も迷惑なストックキャラクターであるとした。さらに彼は、テナントとアジェマンの演技は良質で、良いイメージも劇中にあるとしたが、メッセージ性が乱されてその前提も意味をなさないと批判した[22]

注釈 編集

  1. ^ ("I didn't, everybody else did!")

出典 編集

  1. ^ “Doctor Who UK airdate announced”. News (Dreamwatch). (2007年2月27日). オリジナルの2007年3月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070312164215/http://www.dwscifi.com/articles/show/227 
  2. ^ ドクター・フー (TV Series) Daleks in Manhattan (2007) Release Info”. インターネット・ムービー・データベース. 2020年2月24日閲覧。
  3. ^ エピソード紹介”. ジュピターエンタテインメント. 2013年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月21日閲覧。
  4. ^ ドクター・フー (字) マンハッタンのダーレク”. Hulu. 2020年2月24日閲覧。
  5. ^ Daleks in Manhattan - Final Ratings”. Outpost Gallifrey News Page. Outpost Gallifrey (2007年5月2日). 2007年12月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月24日閲覧。
  6. ^ Ask the Execs: Angels and Arrivals”. BBC (2012年8月21日). 2012年8月22日閲覧。
  7. ^ Davies, Russell T (2007-12-03 cover date). “Production Notes: 12 Facts a-Facting!”. Doctor Who Magazine (377): 66. "Seven hours a-flying! That's how long it took for our director, James Strong, and his team to fly to JFK, for the Official First Ever Doctor Who Shoot in New York!" 
  8. ^ a b "A New York Story". Doctor Who Confidential. 第3シリーズ. Episode 4. 21 April 2007. BBC Three. BBC
  9. ^ Walesarts, Bute Park, Cardiff”. BBC. 2010年5月30日閲覧。
  10. ^ Phil Collinson, James Strong (21 April 2007). "Daleks in Manhattan: 21 Apr 2007". BBC.co.uk (Podcast). BBC. 2007年4月23日閲覧[リンク切れ]
  11. ^ Walesarts, Parc Dare & Theatre, Treorchy”. BBC. 2010年5月30日閲覧。
  12. ^ Richardson, Rachel (2006年11月12日). “Dalek return”. ニュース・オブ・ザ・ワールド. p. 31 
  13. ^ “Doctor battles Daleks in New York”. BBC News (BBC). (2006年12月27日). http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/6211731.stm 2006年12月27日閲覧。 
  14. ^ “Script Doctors: Helen Raynor”. Doctor Who Magazine #379 (Panini). (2007年2月28日) 
  15. ^ Matthewman, Scott (2007年4月17日). “When is a spoiler not a spoiler?”. The Stage. 2013年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月10日閲覧。
  16. ^ Hollingworth, David (10–16 February 2007 (cover date)). “Who's a busy boy!”. TV Times (IPC Media) 201 (7): 4. 
  17. ^ a b Fact File”. bbc.co.uk. 2007年4月21日閲覧。
  18. ^ Top 30 Programmes”. Broadcasters' Audience Research Board. 2014年1月18日閲覧。
  19. ^ Shaun Lyon (2007年5月17日). “Series 3 Volume 2 DVD”. Outpost Gallifrey. 2004年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年5月20日閲覧。
  20. ^ Wright, Mark (2007年4月22日). “Doctor Who 3.4: Daleks in Manhattan”. The Stage. 2013年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月18日閲覧。
  21. ^ Edwards, Richard (2007年4月28日). “Doctor Who 3.04: Daleks in Manhattan, Doctor Who 3.05: Evolution of the Daleks”. SFX. 2014年1月18日閲覧。
  22. ^ Fickett, Travis (2007年8月1日). “Doctor Who: "Daleks in Manhattan" Review”. IGN. 2014年1月18日閲覧。

外部リンク 編集