チオテルピネオール (thioterpineol)、別名グレープフルーツメルカプタン (grapefruit mercaptan) はグレープフルーツに含まれる有機化合物の一種である。チオール基(メルカプト基)を持つモノテルペンで、テルピネオールヒドロキシ基がチオールで置き換えられた構造を持つ。揮発性のあるチオールは一般的に非常に強い悪臭を持つが、チオテルピネオールのにおいは不快ではない。グレープフルーツの香りの主成分であり[1]、これは2つのエナンチオマー(鏡像異性体)のうち (R) 体に由来する[2]。最もにおい閾値の低い化合物のひとつとされ、ヒトの鼻は10−4 ppb の濃度でも感じることができる[3]

チオテルピネオール
識別情報
CAS登録番号 71159-90-5 (ラセミ体) チェック, 83150-78-1 (R エナンチオマー) ×
PubChem 6427135
ChemSpider 21163535 チェック
UNII 7AT54D0N8R チェック
EC番号 275-223-1
特性
化学式 C10H18S
モル質量 170.31 g/mol
密度 1.03 g/cm3
融点

< 25℃

沸点

58℃ (at .33 mmHg)

危険性
GHSピクトグラム 急性毒性(低毒性)
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H302, H315, H319
Pフレーズ P264, P270, P280, P301+312, P302+352, P305+351+338, P321, P330, P332+313, P337+313, P362, P501
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

純粋なチオテルピネオール、またはこれを多く含む柑橘類由来の精油は香料や食品添加剤として利用される。チオテルピネオールは分解すると不快臭を持つ化合物を生じるため、代替品が探索されている。

参考文献

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  1. ^ Buettner, A.; Schieberle, P. (1999). "Characterization of the most odor-active volatiles in fresh, hand-squeezed juice of grapefruit (Citrus paradisi Macfayden)." J. Agric. Food Chem. 47: 5189–5193. doi:10.1021/jf990071l.
  2. ^ Lehmann, D.; Dietrich, A.; Hener, U.; Mosandl, A. (1994). "Stereoisomeric flavor compounds. LXX: 1-p-menthene-8-thiol: separation and sensory evaluation of the enantiomers by enantioselective gas chromatography-olfactometry." Phytochem. Anal. 6: 255–257. doi:10.1002/pca.2800060506.
  3. ^ Ohloff, G. (2003). Düfte – Signale der Gefühlswert. Weinheim: Wiley-VCH. ISBN 3906390306.

関連項目

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