数学の、特に実解析の分野におけるディニ微分(でぃにびぶん、: Dini derivative)とは、微分の概念を一般化したある一類の総称である。

定義

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連続関数 f: RR上側ディニ微分(しばしば右上微分とも呼ばれる[1])は、

 

により定義される。ここで limsup上極限を表す。同様に、下側ディニ微分

 

により定義される。ここで liminf下極限を表す。

fベクトル空間上で定義される汎函数のときは、t における、方向 d への上側ディニ微分が

 

により定義される。

注意
  • 補完数直線上では、各ディニ微分は常に存在する。しかし、それらの値は有限とは限らず、+∞ や −∞ となることもある(すなわち、ディニ微分は「拡張実数値」の意味において、常に存在する)。
  • f が局所リプシッツ連続ならば、ディニ微分   は有限である。もし ft において微分可能ならば、その t における各ディニ微分は通常の意味での微分に等しい。

D 記法と追加の定義

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しばしば   の代わりに  ,   の代わりに   が記号として用いられ[1]、また

 

が定義される。つまり、ディニ微分の「D 記法」は、プラスかマイナスかの符号によってそれぞれ左側、右側からの微分を表し、その符号の位置が上か下かによってそれぞれ上極限、下極限を表すのである。

関連項目

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参考文献

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この記事は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示-継承 3.0 非移植のもと提供されているオンライン数学辞典『PlanetMath』の項目Dini derivativeの本文を含む

個別出典
  1. ^ a b Khalil, H.K. (2002). Nonlinear Systems (3rd ed.). Upper Saddle River, NJ: Prentice Hall. ISBN 0-13-067389-7. http://www.egr.msu.edu/~khalil/NonlinearSystems/ 
全般参照