トラファルガー級戦艦(トラファルガーきゅうせんかん、Trafalger class ironclad or battleship)はイギリス海軍が19世紀の終りに保有、運用した草創期の戦艦の艦級。「トラファルガー」と「ナイル」の2隻からなり、いずれもナポレオン戦争の時期にネルソン提督によって勝利した海戦の名から命名されている。

トラファルガー級戦艦
基本情報
艦種 戦艦
命名基準 ナポレオン戦争当時の海戦
前級 ヴィクトリア級戦艦
次級 ロイヤル・サブリン級戦艦
要目
常備排水量 12,590トン
全長 105.2m
最大幅 22.3m
吃水 8.7m
機関方式 円缶 6基
レシプロ 2基2軸
12,000馬力
最大速力 16.8ノット
航続距離 10ノットで6,300浬
乗員 577名
兵装 343mm連装砲 2基
120mm単装速射砲 6基
57mm単装砲 8基
47mm単装砲 9基
356mm水上魚雷発射管 2門
装甲 水線 508mm
甲板 76mm
シタデル 456mm
砲塔 457mm
司令塔 356mm
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概要 編集

トラファルガー級はアドミラル級コリンウッドロドニー級4隻、ベンボウの計6隻をこう総称する)、ヴィクトリア級の発展型として1886年に起工され、「トラファルガー」は1890年、「ナイル」は1891年に竣工した。特に船体中央部の防御に重点を置き、最も厚い部分の装甲は508mmに達した。そのためイギリス戦艦として初めて常備排水量が12,000トンを超えることとなった。本級の防御重量は排水量の35%に達している。

本級の主砲は信頼性の点からロドニー級とおなじ343mm砲に戻ったが、本級では露砲塔でなく密閉した前後各1基の旋回連装砲塔に収められている。副砲は当初127mm砲8門を予定されていたが、水雷艇の撃退のため120mm速射砲6門に変更された。これは1897年に152mm砲に換装された。

本級はイギリス海軍最後の低乾舷戦艦となった。海軍はこれにより砲撃を受ける面積を減らし、装甲を減らすことができるとしたが、一方でわずか5mほどしかない乾舷が荒れた海での行動を著しく制限してもおり、しばしば速力を13ないし14ノットに制限せざるを得なかった。しかし当時の主要な作戦海域は地中海であり、それほど重要な欠陥とはみなされていなかったのも事実である。

「トラファルガー」は1911年、「ナイル」は1912年に売却、解体された。

本級の後に続いて建造されたクラスが、乾舷を高くして航洋能力を向上させたロイヤル・サブリン級であり、それをもって近代戦艦の始まりとされている。

艦名 編集

参考図書 編集

  • 「世界の艦船増刊第30集 イギリス戦艦史」(海人社)

関連項目 編集