トランスクリティーク カントとマルクス
(トランスクリティークから転送)
『トランスクリティーク カントとマルクス』とは柄谷行人の著作。『群像』誌上での1998年秋から1999年春まで続いた連載をほぼ全面的に改稿し、大幅加筆したもの。2001年に協同組合型出版社・批評空間から刊行された。批評空間解散後は、岩波書店から再刊された。「NAM (政治運動)」の理論的基盤となった[1]。
概要
編集前半の「カント」の部で「超越論的」とはどういうことかが示され、後半の「マルクス」の部で批判が行われる。
柄谷によれば、現代のさまざまな社会問題が解決しないのは、「資本=ネーション=国家」という体制に問題がある。歴史を前に進めるためには、この中でぐるぐる回っているだけでは駄目で、これを乗り越える必要があるという[2]。
柄谷によれば、カントやマルクスが見出した「強い視差」は、後世の継承者によって消されてしまった。その結果、カントやマルクスに間違ったイメージが付いてしまったという[3]。
岩波書店のページから本書の概要を読むことができる[4]。
評価・反響
編集- フレドリック・ジェイムソンが英語版の帯に「マルクス主義とアナーキズムを綜合する新たな企て」と書いた。
- スラヴォイ・ジジェクが「ニューレフトレビュー」で書評を書いた。
- 柄谷自身によると、北米や韓国以外での海外的名声はこの著作によって得られたものだという[5]。
- 柄谷の主著として海外で広く知られる[6]。
書誌
編集- 柄谷行人『トランスクリティーク――カントとマルクス』岩波書店、2010年、ISBN 9784006002336
翻訳
編集Transcritique: On Kant and Marx (MIT Press) Sabu Kohso英訳
関連書籍
編集- 可能なるコミュニズム(太田出版)
- 倫理21(平凡社)
上記の両書とも、本書から派生した[7]。
関連項目
編集出典
編集- ^ 『NAM生成』(太田出版)10頁~11頁
- ^ 柄谷行人『トランスクリティーク――カントとマルクス』岩波書店、508頁。
- ^ 柄谷行人『トランスクリティーク――カントとマルクス』岩波書店、17頁。
- ^ “トランスクリティーク - 岩波書店”. 2024年6月25日閲覧。
- ^ 『「世界史の構造」を読む』(インスクリプト)184頁 「生産点闘争から消費者運動へ」の章
- ^ “トランスクリティーク - 岩波書店”. 2024年6月24日閲覧。
- ^ 「NAM生成」 11頁