トランス・ワールド航空553便空中衝突事故

トランス・ワールド航空553便空中衝突事故 とは1967年3月9日に発生した空中衝突事故である。

トランス・ワールド航空 553便
個人所有機
事故の概要
日付 1967年3月9日 (1967-03-09)
概要 空中衝突
現場 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国オハイオ州シャンペーン郡コンコード
北緯40度11分49秒 西経83度48分46秒 / 北緯40.19694度 西経83.81278度 / 40.19694; -83.81278座標: 北緯40度11分49秒 西経83度48分46秒 / 北緯40.19694度 西経83.81278度 / 40.19694; -83.81278
負傷者総数 0
死者総数 26 (全員)
第1機体

事故機と同型のTWA機
機種 マクドネル・ダグラスDC-9-15
運用者 アメリカ合衆国の旗 トランスワールド航空
機体記号 N1063T
出発地 アメリカ合衆国の旗 グレーター・ピッツバーグ空港
目的地 アメリカ合衆国の旗 デイトン市営空港
死者数 25
第2機体

事故機と同型のビーチクラフトバロン55
機種 ビーチクラフトバロン55
運用者 個人所有
機体記号 N6127V
乗員数 1
死者数 1
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ピッツバーグデイトン行きのTWA553便(DC-9-15)はデイトンへのアプローチ中、デイトン市営空港(当時、現・デイトン国際空港)から南に 29マイル (25 nmi; 47 km)の地点で個人所有の ビーチクラフト バロン空中衝突を起こし、両機体に乗っていた併せて26人全員が死亡した[1]

概要編集

グレーター・ピッツバーグ空港(当時、現・ピッツバーグ国際空港)から飛び立った553便はコロンバス上空通過後、航空管制よりFL200 (海抜20,000フィート (6,000 m)ほど)から3,000フィート (900 m)への降下指示が出た。事故機は無制限空域を飛んでいたが、デイトンのアプローチのエリアに入っていた。事故18秒前に管制官は553便へやや右に曲がり1マイル先にVFR方式で進入するよう指示し、553便のクルーも了解した。553便が高度4,500フィート (1,400 m)付近を南西方向に323ノットで飛行していた所、前方右側に北から飛んできたビーチクラフトバロンが衝突[2]。衝突した両機はシャンペーン郡アーバナ近郊にあるコンコードのウッドビル・パイクとメロディー・レーンの交差点の北東に墜落した[1]

原因編集

事故発生時は両機が「見て回避する」というのが原則だった有視界飛行方式で飛行していた。その上に管制官は事故発生の22秒前になるまでビーチクラフト機をレーダー上で確認する事は出来なかったと証言している。管制官はその上で事故が発生した空域はレーダーで小型機を探知する事は難しいと証言していたが、周辺のフライトチェックで原因を特定する事は出来なかった[1]

国家運輸安全委員会は事故調査に乗り出し、553便の降下角度が高すぎた上にビーチクラフト機を手遅れになるまで視認出来なかった事が原因だと結論付けた。事故当時の天候は広く散らばった薄い雲と小雨で、視界はVFRで必要な3マイル (5 km)の2倍程の6 - 7マイル (10 - 11 km)程度であった[1]

影響編集

1960年ニューヨーク空中衝突事故を受けて1961年に施行されたFARパート91.85では目的地の空港より30海里以内の高度10,000フィート (3,000 m)以下の空域に速度制限を設けていた。この事故を受けて10,000フィート (3,000 m)以下の高度では250ノット (290 mph; 460 km/h)以下のIASで飛ぶよう義務付けられた。また、この事故は 連邦航空局が発着回数が多い空港周辺にターミナルコントロールエリア (TCA)を設ける動機になった。ただし事故が発生したデイトン国際空港周辺の空域はTCAに指定される事なく1980年代にクラスC空域に指定された。

出典編集

  1. ^ a b c d AIRCRAFT ACCIDENT REPORT. TRANS WORLD AIRLINES INC., DOUGLAS DC-9, TANN COMPANY BEECHCRAFT BARON B-55 IN-FLIGHT COLLISION NEAR URBANA, OHIO, MARCH 9, 1967”. National Transportation Safety Board (1968年6月19日). 2019年9月11日閲覧。"AIRCRAFT ACCIDENT REPORT. TRANS WORLD AIRLINES INC., DOUGLAS DC-9, TANN COMPANY BEECHCRAFT BARON B-55 IN-FLIGHT COLLISION NEAR URBANA, OHIO, MARCH 9, 1967" (PDF). National Transportation Safety Board. June 19, 1968. Retrieved September 11, 2019.
  2. ^ Ranter. “ASN Aircraft accident Douglas DC-9-15 N1063T Urbana, OH”. aviation-safety.net. 2019年9月12日閲覧。

外部リンク編集