ドラコン (立法者)

ドラコン (古代ギリシャ語: Δράκων‎, ラテン文字転写: Drakōn: Draco, [ˈdrk]紀元前650年頃-?)は、古代ギリシアアテナイにおける初の立法者である。不文法およびフェーデ法典化した。長音によりドラコーンとも表記される。

生涯編集

ドラコンについて知られていることは少ないが、10世紀に刊行されたとされる『スーダ辞典』によれば、ギリシア七賢人以前の貴族であったとされ、アイギナ島で死んだという伝承とも関係があるとされている[1]紀元前621年及び翌620年に行われた第39回古代オリンピックの間に法典を制定した。この法典を承認させた事について彼の後援者は「ドラコンを苦しめていた多くの帽子、シャツ、上着をドラコンは捨て、其処に捨てた」と言ったとされる。また、一部の歴史学者の説でコスモと呼称されていたとあるが、定かではない[2]

また、アリストテレスは『アテナイ人の国制』の中で、ドラコンがアリスタイクモスのアルコン時に立法したと述べた[3][4]

立法編集

ドラコンの法律θεσμοί - thesmi)はアテナイにおける最初の法であったので、誰もがその存在を知っており、内容は木板(άξονες - axones)に刻まれており、市民は2世紀程にわたって守り続け、その後に三角錐型の石碑κύρβεις - kirvis)に刻まれた。その石碑はアソーンスと呼ばれ、三角錐の軸に沿って回転したので、全方向から読む事が出来たという。また、木板にはインクで無く血で記されたとも言われている。よって、彼の憲法は、特権階級に知られていた独断で内容を変え得る不文法に代わり、アレオパゴス会議に出席出来得る全ての識字可能な市民に判る物となった。

[・・・] 最初の法律はドラコンの名の下に作られた(アリストテレス『アテナイ人の国制』41章1[5])。

しかし、ドラコンの法は厳しい物であった、例えば借金が返済不能となると債務奴隷へと転落し、また量刑も金銭を貸した乃至借りた経歴によって異なるという物であった。また、殺人過失致死傷罪の区別が為されており、死刑も執行数は漸減したものの存在した。これに対してプルタルコスは「ドラコンは何故ほとんどの犯罪で死刑が科されているのかと問われた時、軽微な犯罪でも死刑に値すると考えられ、より重大な犯罪についてはそれ以上重い刑罰はないからだと答えたとされている」と述べた[6]

この法律はソロンによる改革まで存続した。

脚注編集

  1. ^ Cobham, Ebenezer. The Reader's Handbook of Allusions, References, Plots and Stories, p. 451 (via Google Books).
  2. ^ Suidas. "Δράκων". Suda On Line. Adler number delta, 1495.
  3. ^ アリストテレス『アテナイ人の国制』4章1。
  4. ^ Athenian Constitution, Section 4”. Avalon Project. 2022年6月17日閲覧。
  5. ^ Athenian Constitution, Section 41”. Avalon Project. 2022年6月17日閲覧。
  6. ^ Plutarch (translation by Stewart; Long, George). Life of Solon. gutenberg.org.

参考文献編集

  • アリストテレスアテナイ人の国制村川堅太郎訳、岩波文庫(1980年)
  • Carawan, Edwin (1998). Rhetoric and the Law of Draco. Oxford: Clarendon Press; New York City: Oxford University Press. ISBN 978-0-198-15086-2 
  • Gagarin, Michael (1981). Drakon and Early Athenian Homicide Law. New Haven, Connecticut: Yale University Press. ISBN 978-0-300-02627-6 
  • Gagarin, Michael; Cohen, David (editors) (2005). The Cambridge Companion to Ancient Greek Law. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-81840-7 
  • Maine, Sir Henry Sumner (1963). Ancient Law – Its Connection with the Early History of Society and Its Relation to Modern Ideas. Boston: Beacon Press. OCLC 1310967 
  • Phillips, David (2008). Avengers of Blood: Homicide in Athenian Law and Custom from Draco to Demosthenes. Stuttgart: Franz Steiner Verlag. ISBN 978-3-515-09123-7 
  • Stroud, Ronald S. (1968). Drakon's Law on Homicide. Berkeley, California: University of California Press. OCLC 463502977 

関連項目編集