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ナファク基地攻防戦(ナファクきちこうぼうせん、ヘブライ語: הקרב על נפח‎、)とは、第四次中東戦争でのゴラン高原方面において1973年10月7日ナファクとその近郊でイスラエル国防軍(以下イスラエル軍)とシリア軍との間で行われた戦闘の名称である。

ナファク基地攻防戦
הקרב על נפח
Battle of the Nafakh
TAP line - Nafach.JPG
現在のナファク周辺。手前にTAPラインのフェンスがみえる。
戦争第四次中東戦争、ゴラン高原方面
年月日1973年10月7日
場所ナファクヘブライ語版とその周辺
結果:シリア軍の進撃停止
交戦勢力
イスラエルの旗 イスラエル
  • 第36機甲師団
    • 第188機甲旅団
  • 第179予備役機甲旅団
  • 第679予備役機甲旅団
シリアの旗 シリア
指導者・指揮官
ラファエル・エイタン少将
第36機甲師団長
  • イツハク・ベンショハム大佐 
    第188機甲旅団長
  • ラン・サリグ大佐戦傷
    第179機甲旅団長
  • オリ・オル大佐
    第679機甲旅団長
トゥハク・ジェハニ大佐
第1戦車師団長
第四次中東戦争
ヨム・キプール戦争/十月戦争
Yom Kippur War/October War
戦闘序列と指導者一覧
ゴラン高原方面
ゴラン高原の戦いヘブライ語版 - ナファク基地攻防戦ヘブライ語版 - ドーマン5作戦英語版 - 涙の谷 - ダマスカス平原の戦いヘブライ語版 - ヘルモン山攻防戦英語版
シナイ半島方面
バドル作戦英語版 - タガール作戦英語版 - ブダペスト英語版 - ラザニ英語版 - 第一次反撃戦ヘブライ語版 - 10月14日の戦車戦 - 中国農場の戦い - アビレイ・レブ作戦英語版 - スエズ市の戦い英語版
海上戦ヘブライ語版
ラタキア沖海戦 - ダミエッタ沖海戦 - ラタキア港襲撃
アメリカ・ソ連の対イスラエル・アラブ援助
ニッケル・グラス作戦英語版

ゴラン高原のほぼ中央に位置するナファクには開戦時ゴラン高原に駐屯していた師団である第36機甲師団の師団指揮所があり、またゴラン高原を南北に走る道路であるTAPラインと同じく東西にクネイトラ市とヨルダン川にかかるイスラエル本土への入り口、ブノット・ヤーコブ橋英語版を結ぶクネイトラ街道の交差点近くに位置していた。

この戦闘で第188機甲旅団は旅団長のイツハク・ベンショハム大佐以下、副旅団長、作戦参謀を3人とも失っている。

目次

戦闘前(10月6日)の状況編集

 
1973年10月6~7日におけるゴラン高原南部の状況図(ヘブライ語)。"נפח"と書いてあるところがナファク。

1973年10月6日午後2時、ダマスカス平原に展開していたシリア軍の3個歩兵師団はイスラエル軍第36機甲師団第7機甲旅団第188機甲旅団基幹)の守るゴラン高原への進撃を開始した。

第7機甲旅団の守るゴラン高原北部(「涙の谷」参照)ではシリア軍第7歩兵師団の進撃は延滞したものの、第188機甲旅団の守るゴラン高原南部では戦区が広く、停戦ライン「パープルライン」全域に展開する第188機甲旅団の一個機甲旅団に対して第5、第9歩兵師団二個歩兵師団が攻撃したため、6日夜にはシリア軍はやすやすと第188機甲旅団の防衛線を突破してゴラン高原に侵入、南部のエル=アル英語版方面、そしてナファク方面にも進撃しつつあった。第188機甲旅団も戦闘開始時の90輌から15輌にまで稼働戦車数が低下し、6日夜現在、シリア軍とエル=アル、ナファクとの間にイスラエル軍戦車は文字通り一輌もないという状況であったがシリア軍は夜間攻撃を避け、再編成にあたった。

またTAPライン上ではツビ(ツビカ)・グリンゴールド中尉指揮の戦車隊「ツビカ隊」(小隊規模)が6日夜の間シリア軍第5歩兵師団所属の第47個戦車旅団に対してゲリラ戦を仕掛け、約20時間ほどシリア軍の進撃を延滞することに成功した。

戦闘の状況編集

午前中編集

10月7日早朝の7時30分にはエイタンはナファクからの司令部撤収を命じた。エイタンと司令部要員はナファクを出たがエイタンは一時間後にナファクに戻っている。このときナファク周辺に展開していたのは第188機甲旅団長イツハク・ベン=ショハム大佐指揮の部隊(「ツビカ隊」含む)、同副旅団長ダビット・イスラエリ中佐指揮の部隊である(両方とも大体戦車15輌ほど)。

また、このころオリ・オル大佐指揮の第679予備役機甲旅団の先鋒部隊(戦車25輌)がゴラン高原に到着し始めた。エイタンはオルにクネイトラ方面に展開するよう命じた。

シリア軍の攻撃開始編集

シリア軍は11時ころからナファクに対して攻撃を開始、11時45分ごろクネイトラ近郊に展開していた第679予備役機甲旅団の戦車隊がナファクに戻った。シリア軍の戦車は一時ナファクに侵入したがイスラエル軍はこれを撃退した。

第679予備役機甲旅団所属の第93戦車大隊(ロン・ゴットフリード中佐指揮)が新たにナファクに到着した。

ナファクに展開した第679予備役機甲旅団は次のような配置を取っていた。

  • アンダーソン隊(戦車2輌) - ナファク西に展開。ナファク基地に侵入したシリア戦車を迎撃した。
  • エイタン・シェーファー中佐指揮の第289戦車大隊の一部(戦車7輌) - エイン・ツィヴァンから退却してきた部隊を収容、編制した。
  • オリ・オル大佐指揮の旅団主力(戦車15輌) - 北東からシリア軍を攻撃。
  • 副旅団長ダノン中佐指揮の部隊 - 南西からシリア軍を攻撃。

午後編集

シリア軍の攻撃はナファク中央部の数百m手前で阻止された。

ギャラリー編集

脚注編集

参考文献編集

和書
  • 田上四郎『中東戦争全史』原書房、1981年。ISBN 978-4562011902
  • 高井三郎『ゴランの激戦 第四次中東戦争』原書房、1982年。ISBN 4-562-01250-1
  • アブラハム・ラビノヴィッチ『ヨムキプール戦争全史』滝川義人(訳)、並木書房、2009年。ISBN 978-4890632374
  • ジャック・ドロジ、ジャン=ノエル・ギュルガン『イスラエル・生か死か 1 戦争への道』早良哲夫、 吉田康彦(訳)、サイマル出版会、1976年。
  • ハイム・ヘルツォーグ『図解中東戦争 イスラエル建国からレバノン進攻まで』滝川義人(訳)、原書房、1990年。ISBN 978-4562021697
洋書
  • Avigdor Kahalani (1992). The Heights of Courage:A Tank Leader's War on the Golan. Praeger. ISBN 978-0-275-94269-4. 
  • Chaim Herzog (2009). The War of Atonement:The Inside Story of the Yom Kippur War. A GreenHill Book. ISBN 978-1-935149-13-2. 
  • Simon Dunstan; Howard Gerrard (2008). The Yom Kippur War(1):The Golan Heights. Osprey Publishing. ISBN 978-1-84176-220-3. 

関連項目編集