プント・イン・アリア
プント・イン・アリア(伊:Punto in Aria 空中ステッチ)とは、16世紀のイタリアを発祥とする初期のレースである。布の上にステッチするのではなく、糸だけでステッチして作成することから、最初の真実のニードルレースとされている。
レティセラから派生したニードルレースであり、同時期の両者のデザインは非常に類似している。プント・イン・アリアの技法は、レティセラの技法を改良したものであるが、ニードルレースを革新的に飛躍させたことで非常に重要とされる。
歴史
編集レティセラは、16世紀半ばに作成された刺繍レースである。布の芯を必要とし、ステッチを行った後に糸を引き、布を切り取ることで、布地の無い模様を形作った。布にステッチした後にデザインを形作ることが必要であった。デザインが発展するにつれ、完成させるために多くの糸を布から取り去ることが当然となり、多くの糸を取り去ることで布地の芯は、薄く少なくなっていった。 17世紀になって、ヴェネツィアのレース工により、布地の芯を必要としない技法が考案され、プント・イン・アリアとして知られることとなった。プント・イン・アリアは、1620年頃から1650年頃にかけて盛んに作られた。
特徴
編集プント・イン・アリアは、レティセラの特徴を残しながらも、幾何学模様から自由に形作ることが可能となった。リンネルと羊皮紙を組み合わせた土台がレース工により考案された。この土台は、模様を描いた羊皮紙を上にして、2~3層の織物でできており、荒い目で閉じ合わせられている。パターンは糸の束と共に、模様に合わせてステッチされ、ステッチされたパターンは、粗い目で支えの布に縫い止められる。レース作成が終わると、粗い目の糸を布の間で切り、レースだけをはずす。
参考文献
編集- ブリュッセル王立博物館 『ヨーロッパのレース』株式会社学習研究社、1981年、ISBN 4050047764
- Anne Kraatz 訳:深井晃子 『レース 歴史とデザイン』株式会社平凡社、1989年、ISBN 4582620132
- 吉野真理 (レース蒐集家) 『アンティーク・レース』里文出版、1997年、ISBN 4898062695