P(s), Q(s) は共通因子を持たない実数係数多項式で、次数は P の方が小さいとし、有理関数 F(s) = P(s) / Q(s) のラプラス変換による原像を求めたいものとする。代数学の基本定理より、分母 Q(s) は複素数の範囲で一次式の積に分解できて
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となる。これを部分分数分解すれば
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の形になる。ここに、各係数は
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で与えられる。各部分分数の原像は
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で与えられるので、F(s) の原像が求まる。
以上より、有理関数のラプラス逆変換は理論的には求まるが、計算しやすい公式の形で与えられたものを「展開定理」と称することが多い。その式の形は文献によって多少の差異があるが、本質的には同じものである。
Q(s) が虚根を持つ場合、一旦は虚数が現れるが、オイラーの公式を用いて三角関数に変形すれば、実関数の範囲で原像が求まる。計算上は、複素数の範囲で一次式に分解するのではなく、実数の範囲で高々二次式にまで分解しておき、
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などを用いる方が実践的である場合もある。
分母が単根のみを持つ有理関数
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の原像は
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で与えられる。Q′(ai) は、より具体的には
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として計算できる。
分母がn重根 a を持つ有理関数
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に対しては、
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であるから、
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が成り立つ。右辺第1項は
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と同じものである。