ペロイド(英:Peloid)は、石灰泥からなる不定形の粒子[1]。直径は30 - 200マイクロメートルで、微細構造が不明瞭な不透明粒子である[2]。内部に砕屑物粒子や生物の遺骸に由来する粒子を含むこともあるが、特に内部構造は見られない[2]ウーイドイントラクラストなどと同じく非生物骨格粒子であり、炭酸塩堆積物を形成する[3]

石灰岩に見られる腕足動物の殻とペロイド

成因 編集

ペロイドの成因は多様であり、顕微鏡を用いた観察のみでは識別が困難な場合もある[2]

  • 糞源ペレット
腹足類[1]節足動物環形動物などのが海底で急速に固結して化石化したもの。ペレット自体の粒径や形状は揃っているが、内部の石灰泥の粒径・形状は揃っておらず、不規則な配列を示す[2]
  • Algal peloids
石灰藻の炭酸塩骨格が破壊されて粒子になったもの、あるいは石灰質マイクローブの破片を起源にもつもの。粒径は不揃いで、形状は角ばっている。内部に石灰藻骨格の微細構造が保存されている場合もある[2]
  • Mud clasts
石灰泥の破片が海底で固結したもの。イントラクラストと起源を同じくする。形状は不規則である[2]
  • Micritised grains
穿孔性微生物の作用により生物骨格粒子やウーイド全体がミクライト質になったもの[1]
  • Peloidal cement
マグネシウムに富む方解石が海底で結晶成長を遂げて形成されたもの。粒径や形状や分布密度は均一で、直径は他のペロイドよりも小さい30 - 50マイクロメートル程度のものが多い[2]

出典 編集

  1. ^ a b c 保柳康一、公文富士夫、松田博貴『フィールドジオロジー3 堆積物と堆積岩』共立出版、2004年4月15日、36-37頁。ISBN 978-4-320-04683-2 
  2. ^ a b c d e f g ペロイド”. 炭酸塩アトラス. 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻狩野研究室. 2021年8月11日閲覧。
  3. ^ 保柳康一、公文富士夫、松田博貴『フィールドジオロジー3 堆積物と堆積岩』共立出版、2004年4月15日、31頁。ISBN 978-4-320-04683-2