メロカ
メロカ(Meroka)は、スペインの特殊素材技術研究センター(CETME)が開発した機関砲[1]。まず陸上用の対空機関砲が開発されたのち、これをもとにした艦載版のCIWSが開発された[2]。
メロカ CIWS | |
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軽空母「プリンシペ・デ・アストゥリアス」に装備されたメロカ | |
種類 | 近接防御火器システム |
運用史 | |
配備期間 | 1986年-現在 |
配備先 | 採用国と装備艦艇を参照 |
開発史 | |
開発者 | バサン |
開発期間 | 1975年 |
諸元 | |
重量 | 4,500kg |
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口径 | 20mm |
銃砲身 | 12本 |
仰角 | -20度~+85度 |
旋回角 | 360度 |
発射速度 | 毎分1,440発 |
初速 | 1,215m/秒 |
最大射程 | 3,000m |
設計
編集本砲は、ボレーガンに範を取り、エリコンKAAのものをもとにした20mm口径・120口径長の砲身12本を2段に配列した特徴的な設計を採用している[3]。砲身の軸線は12門が同一方向ではなく、やや外側に向けて設定してあり、広い射弾分布によって目標迎撃範囲を拡大することを狙っている[4]。これらの砲身は共通の砲尾ブロックを使用しており、同時に再装填される[1][3]。給弾機構はベルト式で、上下の段ごとに設けられており、同時に6発が装填される[3]。自動機構は圧縮空気によって駆動される[3]。
反動を軽減して射撃精度を向上させるため、12門の砲身は同時にではなく、0.08秒かけて3門ずつ4群に分けて発射される[1][2][3]。12門の発射が終わると、0.42秒かけて再装填が行われ、発射可能な状態になる[3]。すなわち、1回の発射サイクルの所要時間は0.5秒であり、持続射撃の際の発射速度は毎分1,440発となる[3]。使用する弾薬の寸法はエリコンKAAと同じく20×128mm弾だが、雷管を電気発火型としたことから通常の弾薬は使用できず、専用に開発されたAPDS弾のみを使用する[3][注 1]。搭載弾数は、メロカ2Aでは720発、2Bでは2,160発となった[5]
CIWSとして用いる場合、射距離1,500メートルで最初の命中弾を得て、500メートルで目標を撃破する想定とされている[2]。
CIWS版
編集CIWSとしての開発はバサン社が担当しており、1975年より着手されて、実艦への最初の搭載は1986年後半に行われた[2]。当初の試作機では機関砲と追尾レーダーを含む射撃指揮システムとは別々に設置されていたが、1980年代に入ってからの実用機では両機器が合体された[4]。なおシステム固有の捕捉レーダーは備えておらず、目標捜索・捕捉は艦のRAN-11L/Xレーダーによって行って、PDS-10戦術情報コンソールを介して目標指示を受ける方式としている[2]。
最初の実用機であるメロカ2では、目標を追尾するためのセンサとしてはAN/VPS-2追尾レーダーを備えるのみであったが、電子攻撃を受けている状況を想定して、1988年からはレーダーを補完する光学追尾装置としてイスラエル製の超低光量カメラ(LLLTV)が導入され、これはまもなくENOSA(Epresa Nacional de Optica)によって更新された[2][5]。1992年に実用化されたメロカ2Aでは赤外線撮像装置も追加された[2][4][5]。また1990年代後半には射撃管制コンピュータをアナログ式からデジタル式に換装し、全自動射撃モードを導入したメロカ2A3改修が登場した[4]。さらにその後開発されたメロカ2Bでは、AN/VPS-2をイタリア製のRTN-30Xに、またRAN-11L/XをRAN-12L/Xに更新しており、メロカ2Aに対しても順次に同様の改修が行われる計画となっている[2][4][5]。
採用国と装備艦艇
編集脚注
編集注釈
編集- ^ Cullen & Foss 1992, pp. 188–189では、エリコン社製のHE-I弾も使用可能としている。
出典
編集参考文献
編集- Cullen, Tony; Foss, C.F. (1992), Jane's Land-Based Air Defence 1992-93 (5th ed.), Jane's Information Group, ISBN 978-0710609793
- Friedman, Norman (1997), The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998, Naval Institute Press, ISBN 978-1557502681
- Wertheim, Eric (2013), The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World (16th ed.), Naval Institute Press, ISBN 978-1591149545
- Williams, Anthony G. (2022), Autocannon : A History of Automatic Cannon and Ammunition, Crowood Press, ISBN 978-1785009204
- 多田智彦「現代の艦載兵器」『世界の艦船』第986号、海人社、2022年12月。CRID 1520012777807199616。