ユーチラ鋳造所
ユーチラ鋳造所(フィンランド語:Juutilan valimo または Metallivalimo H & E Juutilainen)はカーヴィのヴェンカラーティ村に存在する1881年に設立されたフィンランド国内において現存する最も古い ベル鋳造所である。
種類 | 合名会社 [1] |
---|---|
業種 | 鋳造業 |
事業分野 | 砂型鋳造 |
設立 | 1881年 |
創業者 | Heikki Juutilainen |
本社 | カーヴィ、 |
主要人物 | Eljas Juutilainen |
製品 | 鐘 (教会の鐘, ジングル, スレイベル), レリーフ, 銘板, 墓クロス, クレスト, 贈り物 |
ウェブサイト | Juutila Foundry, (英語) |
Juutila Foundry Museum (ユーチラ鋳造博物館) | |
---|---|
施設情報 | |
開館 | 2004年 |
所在地 | カーヴィ, フィンランド |
位置 | 北緯63度07分16.67秒 東経28度44分02.78秒 / 北緯63.1212972度 東経28.7341056度 |
外部リンク | Juutila Foundry Museum (英語) |
プロジェクト:GLAM |
また隣接する鋳造博物館 はかつての鋳造施設であり、伝統的な砂型鋳造の展示を行なう博物館としては北欧諸国の中で唯一である[2]。
歴史
編集ユーチラ鋳造所は銅と真鍮を鋳造する場として設立された。一度の鋳造で最大500キログラム(1100ポンド)の金属製品を鋳造することができる設備を持っている。
設立初期において、数種類のベルと乳鉢が主要な生産品であった。完成品はカレリア地方のヴィボルグ、ソルタヴァラまで運ばれ、販売された[3]。また、製品の中にはサンクトペテルブルクまで運ばれる物もあった[4]。
1940年代には、5人の作業員が当時働いており、多数の学校のベルを鋳造していた。1960年代には後の1980年代、1990年代に主要な製品となる教会のベルを作成し始めた[5]。
現在、ユーチラ鋳造所において年間6口の教会ベルが鋳造されている[6]。
建物については、設立から100年あまりは旧式の工場だったが、1982年に現在のレンガ造りによる工場となった。
設立からの職人の歴史
編集現在はエルヤス・ユーティライネン(Eljas Juutilainen)氏によって砂型鋳造の伝統が保たれている状況である。鋳造作業員と技術はユアンコスキ鉄工所より彼の祖父の叔父よりユーチラ農場に伝えられ、この年(1881年)よりユーチラ鋳造所は稼働している。
エルヤス氏は3世代目の職人であり、鋳造所において40年以上製品を作り続けている。彼は1975年にFinnish State Award of Industrial Arts(フィンランド州工業美術賞)を受賞している[4][6][7]。
製品
編集多くの種類のベル(教会ベル、ジングル・ベル(スレイベルとも呼ばれる)、燭台、レリーフ、墓石に据え付ける十字架、商用の贈呈品などを作成している[7]。
使用されている場所
編集フィンランド国内において、ユーチラ鋳造所製のベルが使われている教会は以下のとおりである。
- イーサルミ
- カーヴィ, ルイコンラハティにある木造教会, (Luikonlahden tšasouna, Luikonlahti Orthodox Chapel)[8]
- カンガサラ (Sahalahden kirkko, Sahalahti Church)
- ケンペレ (Kempeleen kirkko, Kempele Church)
- キウルヴェシ (Lapinsalon kirkko, Lapinsalo Church)[9]
- コンティオラハティ, コンティオラハティ聖堂 (Kontiolahden kirkko, Kontiolahti Church)
- クオピオ (ユアンコスキ) (Ylösnousemuksen kirkko, Church of the Resurrection of Christ)
- 真鍮製ベル2口 (1990年)
- うち大きい方: 直径およそ77センチメートル(およそ30インチ)、重量265キログラム(約584ポンド)、シ音階
- うち小さい方: 直径およそ60センチメートル(およそ24インチ)、重量135キログラム(およそ298ポンド)、レ音階[11]
- クオピオ (ユアンコスキ), ユアンコスキ 正教会 (Juankosken ortodoksinen kirkko, Juankoski Orthodox Church)[12]
- クオピオ (ニルシア) (Murtolahden kappeli, Murtolahti Chapel) [13][14]
- 真鍮製ベル (2005年)
- 直径およそ41センチメートル(約16インチ)[11]
- ニヴァラ (Karvoskylä Chapel)[15]
- ラハティ (Mukkulan seurakuntakeskus, Mukkula Parish Centre)
- ラピンラハティ (Alapitkän kirkko, Alapitkä Church)[16]
- ラッペーンランタ (Lappeenrannan ortodoksinen kirkko, Orthodox church of Lappeenranta) [17][18]
- ノキア (Pinsiön kirkko, Pinsiö Church)[19]
- ピュハヨキ, ピュハヨキ聖堂 (Pyhäjoen kirkko, Pyhäjoki Church)[20]
- ピュハヤルヴィ, ピュハヤルヴィ聖堂 (Pyhäjärven kirkko, Pyhäjärvi Church)
- リスティヤルヴィ, リスティヤルヴィ聖堂 (Ristijärven kirkko, Ristijärvi Church)[21]
- サヴォンリンナ (Haukiniemen tšasouna, Haukiniemi Orthodox Chapel)[22]
- ウツヨキ, ヌオルガム[23]
ロシアの Koltuši (Колтуши)地方にある教会にもユーチラ鋳造所製の鐘が据え付けられている。また輸出先としてはボリビア、オーストラリア[23], ケニア、ナミビア、セネガル、タンザニア、ウルグアイも挙げられる[4][6][7]。
鋳造博物館
編集2004年には伝統的な鋳造技術の保護を目的として鋳造博物館が設立された。展示品はFinnish National Board of Antiquities (フィンランド国立アンティーク委員会)の専門的な助言を受け2000点近くの展示品が鋳造所より選ばれている[4]。旧施設は広場を挟んで反対側に移設され、特に鋳造技術における砂型鋳造について紹介されている[24]。夏季のみ営業している[2][5]。
脚注
編集- ^ “Juutilan valimo, avoin yhtiö” (フィンランド語). Taloussanomat (2013年1月13日). 2013年1月13日閲覧。
- ^ a b “Juutila Foundry” (英語). Municipality of Kaavi (2013年1月12日). 2013年1月12日閲覧。
- ^ Historic ironworks in Savo, 1999
- ^ a b c d “Valumestari Eljaksen kellot kaikuvat jouluna kautta maan” (フィンランド語). Taloussanomat (1998年12月24日). 2013年1月12日閲覧。
- ^ a b “Pohjois-Savon kulttuuriympäristöselvitys: Kaavi” (フィンランド語). Pohjois-Savon liitto (Regional Council of Pohjois-Savo) (2009年). 2013年1月12日閲覧。
- ^ a b c d Kaavin kellot kumajavat Hangossa asti, Savon Sanomat (newspaper), March 7, 2012, page 3 (フィンランド語)
- ^ a b c Leskelä, Hilkka: Kaskenviertäjien ja kivenraivaajien Kaavi, Jyväskylä, 1998, ISBN 952-910-451-0 (フィンランド語)
- ^ “ルイコンラハティにある木造教会 Luikonlahden ortodoksinen tšasouna” (フィンランド語). Ortodoksi.net (2013年1月12日). 2013年1月12日閲覧。
- ^ “Lapinsalon hautausmaa (Lapinsalo Cemetery” (フィンランド語). Kiuruveden seurakunta (Kiuruvesi Parish) (2013年11月16日). 2013年11月16日閲覧。
- ^ “Seurakunnan pääkirkko, Kontiolahden seurakunta (コンティオラハティ聖堂)” (フィンランド語). Kontiolahden seurakunta (Kontiolahti Parish) (2013年1月12日). 2013年1月12日閲覧。
- ^ a b “Arkipäiväisistä katseilta suojatuiksi - Nilsiän emäseurakunnan alueen kirkonkellot” (フィンランド語). Katja Lappalainen, Jyväskylän yliopisto (University of Jyväskylä) (2006年). 2013年1月12日閲覧。
- ^ “ユアンコスキ 正教会 Juankosken ortodoksinen kirkko” (フィンランド語). Ortodoksi.net (2013年1月12日). 2013年1月12日閲覧。
- ^ “Murtolahden kyläyhdistys (Murtolahti village)” (フィンランド語). Murtolahden kyläyhdistys (2013年1月12日). 2013年1月12日閲覧。
- ^ “Murtolahden siunauskappeli (Murtolahti Chapel)” (フィンランド語). Nilsiän seurakunta (Nilsiä Parish) (2013年1月12日). 2013年1月12日閲覧。
- ^ Karvoskylä Village, Facebook
- ^ “Alapitkän kirkko” (フィンランド語). Lapinlahden seurakunta (Lapinlahti Parish) (2013年1月12日). 2013年1月12日閲覧。
- ^ Etelä-Saimaa: Ortodoksikirkko saa lahjoituksen uuden kirkonkellon, September 30, 2016
- ^ Yle: Kellonsoittajalla jo seitsemän kelloa – ortodoksikirkon kaikki kellot soivat käsipelillä, October 14, 2016
- ^ “Pinsiöön rakennetaan kellotapuli talkoilla” (フィンランド語). フィンランド国営放送 (2011年12月22日). 2013年1月12日閲覧。
- ^ “Kotikirkkomme” (フィンランド語). Raahelainen (newspaper) (2005年12月17日). 2013年1月12日閲覧。
- ^ “Tilat - Kirkko ja kellotapuli (Ristijärvi Church)” (フィンランド語). Ristijärven seurakunta (Ristijärvi Parish). 2014年1月13日閲覧。
- ^ “Haukiniemen tsasouna (Haukiniemi Orthodox Chapel)” (フィンランド語). Haukiniemen kulttuurikyläyhdistys ry (2013年10月15日). 2013年10月15日閲覧。
- ^ a b Molempikätisyys, lehmän hermot ja pikkutarkkuus ovat hyvän valajan ominaisuuksia, Koillis-Savo (newspaper), November 19, 2015, page 11 (フィンランド語)
- ^ “Kaavi, Juutilan kellovalimon siirto Moving Old Foundry to New Location” (フィンランド語). Finnish National Board of Antiquities (2013年1月12日). 2013年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月12日閲覧。
関連項目
編集- 写真: Moving old foundry to new location (building Foundry Museum)
- 写真: Juutila's horse bell,直径10.7センチメートル(約4インチ)、リエスカ博物館(Pielisen museo)より